JRA-VANコラム
阪神JFで2歳女王に輝く馬は?
今週は阪神ジュベナイルフィリーズ(以下阪神JF)が行われる。1991年より牝馬限定戦となり、同年のニシノフラワーをはじめ数多くの名牝がここでG1初制覇を飾ってきた。また昨年の優勝馬・リバティアイランドや2020年のソダシのように本競走から桜花賞に直行する馬も近年は出てきており、2歳女王決定戦であると同時に桜花賞の前哨戦としても見逃せない一戦となっている。そんな阪神JFの傾向をJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して分析したい。
※脚質はTarget frontier JVによる分類
過去10年の脚質別成績を調べると、好走馬の多くは本競走、前走ともに「先行」または「中団」だった(脚質はTarget frontier JVによる分類)。不振なのは前走で逃げていた馬で、【1.0.0.19】と2015年に優勝したメジャーエンブレム以外はすべて馬券圏外に敗退している。また、2走前以前も含めJRAのレースで逃げた経験のある馬は【1.2.1.44】複勝率8.3%と好走確率が低くなってしまうため割り引きが必要だ。
前走クラス別ではJRAの重賞に出走していた馬が【8.5.8.70】と好走馬の3分の2以上を占め複勝率は23.1%。中でもキャリア2~3戦だった馬が【8.4.8.46】同30.3%と安定している。次いでオープン特別組が複勝率18.2%だが、好走した2頭はともにアイビーS優勝馬で今年は不在。1勝クラス組は【1.3.2.44】同12.0%、そして新馬戦組は昨年2着のシンリョクカ1頭しか好走していない。未勝利戦組は全馬が馬券圏外だ。
好走馬の多い前走重賞組の中では、アルテミスS連対馬が【5.2.2.7】で連対率43.8%・複勝率56.3%の好成績を残している。特にアルテミスSでの脚質が「先行」または「中団」で連対した馬は【4.2.2.2】複勝率80.0%と優秀だ。ファンタジーS組は同レース優勝馬が【2.0.1.4】で連対率28.6%・複勝率42.9%。その他の重賞組は前走1着馬が【1.1.0.9】と苦戦しているが、3着候補としてなら前走2着馬【0.0.3.4】複勝率42.9%を狙う手もある。
前走1勝クラス組の好走馬6頭はすべて前走1着。加えて2走前も新馬戦か未勝利戦を勝ち上がっており、2連勝中であることが好走条件になる。ただ「前走1勝クラス+2連勝中」の馬でも計【1.3.2.15】連対率19.0%・複勝率28.6%と、アルテミスS連対馬やファンタジーS優勝馬との比較では劣勢だ。
最後に枠番別の成績も見ておきたい。1枠から8枠まですべての枠から優勝馬が出ているが、複勝率では【1.1.0.27】の8枠がひと桁の6.9%と苦戦を強いられている。過去10年の1番人気【5.1.0.4】のうち馬券圏外に敗れた4頭中3頭はこの8枠。他の人気馬にも凡走した馬が多く、8枠を引いた馬は減点が必要だろう。一方、好走確率が高いのは5、6枠。表には4番人気以内の成績を記しているが、5、6枠で3番人気以内の支持を受けた馬は【3.3.2.0】で複勝率100%だ。
【結論】
アルテミスS「中団」から2着のサフィラが最有力
前走重賞組・キャリア2~3戦馬の好走が目立つ阪神JF(表2)。最終的な決断は枠順確定後に下したいレースだが(表5)、確定前の現時点ではアルテミスS2着でキャリア3戦のサフィラ、ファンタジーS1着でキャリア2戦のカルチャーデイが有力候補。どちらも「先行」または「中団」からの競馬を続けており脚質的な問題もなく(表1)、特にアルテミスS「中団」から2着になったサフィラは強調できそうだ(表3本文)。
その他の重賞組では前走2着のボンドガールが回避したため、上記2頭に次ぐ候補は前走1勝クラス組から。未勝利戦、アスター賞と2連勝中のキャットファイトがその筆頭に挙げられる(表4)。同じく「逃げ」経験のないキャリア3戦馬だ。
ライタープロフィール
浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
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