JRA-VANコラム
上がり1位の馬が勝ちまくる阪神大賞典を分析する
今週は土曜日、日曜日にそれぞれ2つの重賞が行われる。今回は天皇賞(春)の前哨戦である阪神大賞典に注目した。過去10年のレース傾向をJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して分析する。
過去10年(以下、同様)の阪神大賞典の人気別成績を調べたところ、1番人気【6.1.1.2】が勝率60.0%、連対率70.0%、複勝率80.0%と非常にいい成績を収めていた。2番人気や3番人気の複勝率も50.0%あり、上位人気馬がかなり強い一戦であることがうかがえる。最も頭数が多かった場合でも14頭立てと、例年出走頭数が少ないことも堅い決着になりやすい要因であると思われる。
次に年齢別成績を調べたところ、4歳【4.4.3.10】が連対率38.1%、複勝率52.4%と優秀。5歳【4.3.4.18】も好走馬の数は4歳と互角。6歳【2.3.3.21】も十分に好走馬が出ているが、7歳以上【0.0.0.33】は好走例がない。同じ芝3000m以上の重賞(G1以外)であるダイヤモンドSやステイヤーズSは7歳以上の馬も活躍しているが、阪神大賞典においては不振だ。
前走クラス別成績を調べたところ、JRAのG1【6.6.3.8】が勝率26.1%、連対率52.2%、複勝率65.2%と抜群で他のクラスを圧倒している。好走馬の内訳は有馬記念【5.6.2.6】とジャパンC【1.0.1.2】だけで占めている。現役トップクラスが集う芝2400m以上のG1で戦っていた馬にまずは注目すべきだ。
次に良い成績なのがJRAのG2【3.1.3.26】組。同G3【1.1.2.20】も悪くないが、3勝クラス【0.2.1.12】の方が連対率や複勝率は良い。
脚質(決め手)と上がり3ハロン別の成績を調べたところ、上がり3ハロン1位の成績が【9.2.1.0】と際立っていた。少頭数でスローペース必至の芝長距離戦ということで、逃げ・先行馬の粘り込みも気になる状況ではあるが、阪神大賞典はとにかく決め手を問われるレースであることがわかる。前走3勝クラスの松籟Sを勝ったばかりだったトーセンカンビーナ(20年)が5番人気ながら、メンバー中1位タイの上がりをマークして2着に食い込んだ例もある。
また、15年に7番人気で2着(上がり3ハロンは2位)に入った牝馬のデニムアンドルビーの存在も印象的。芝3000m以上の経験は全くなかったが、地力の高さと鋭い決め手を発揮し好走してみせた。
【結論】
前走上がり1位で重賞を勝った2頭に注目
21年と22年の阪神大賞典を連覇しているディープボンドは近2走、ジャパンC10着、有馬記念15着と大敗が続いているが、メンバー中唯一の前走有馬記念組というアドバンテージがある。ただ、7歳馬である点がデータ的にはネック。23年の阪神大賞典は3番人気で5着と敗れている点も気になる。
落馬競走中止となった22年天皇賞(春)以外は芝長距離で安定した走りを見せているシルヴァーソニックは8歳馬であり、長期の休み明けでもある。
テーオーロイヤルも芝重賞実績では上位。特に近2走はメンバー中1位の上がり3ハロンをマークし、ステイヤーズS2着、ダイヤモンドS1着と結果を出している。6歳と年齢的な心配がない点も大きい。
あとは前走日経新春杯連対馬のブローザホーンとサヴォーナも有力だろう。長距離適性や実力は拮抗しているはずだが、上がりの速さが問われる一戦なのでブローザホーンに分があるとみたい。
ライタープロフィール
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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