JRA-VANコラム
【天皇賞・秋×過去データ分析】前走JRA・G1での人気馬に注目!
今週は東京競馬場で天皇賞(秋)が行われる。過去2年、1番人気に応えて優勝を果たしたイクイノックスが引退したことで、今年はやや混戦模様だろうか。皐月賞馬ジャスンミラノが故障で回避となったのは残念だが、ドウデュースやリバティアイランドを中心に役者は揃った。いつものようにJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用し、過去10年のデータを分析した。
過去10年の前走クラス別成績(表1)を調べたところ、前走JRA・G1の成績が【6.7.4.19】・勝率16.7%、連対率36.1%、複勝率47.2%と優秀だった。単・複の回収値はそうでもないが、好走率はJRA・G2やG3組を遥かに上回っている。また、前走海外の成績は【0.0.0.5】と不振。サンプル数は少ないが、他のG1では海外組の成績がかなり良い場合が多いだけに意外な感じがする。2016年はエイシンヒカリが12着、22年はシャフリヤールが5着、23年はドウデュースが7着と、2番人気に支持された馬が3頭いたが好走できなかった。
前走JRA・G1組の前走着順別成績(表2)を調べたところ、前走1着【1.2.1.3】、前走2着【3.0.1.0】、前走3着【1.2.0.3】の成績が良かった。前走4~5着は連対例がなかったが、前走6~10着【1.1.0.3】や前走10着以下【0.2.0.5】の巻き返しはあった。前走レース別では宝塚記念や安田記念、日本ダービー組の成績が良く、天皇賞(春)や大阪杯組からの好走例もあった。
前走JRA・G1組の前走人気別成績(表3)を調べたところ、前走1番人気の成績【5.2.2.1】が圧倒的に良かった。23年1着イクイノックスら9頭が好走し、4着以下に敗れたケースはわずか1回(18年スワーヴリチャード10着)。勝率50.0%、連対率70.0%、複勝率90.0%、単勝回収値108、複勝回収値131という素晴らしい成績だった。前走2番人気の成績【1.3.1.1】も良く、複勝率83.3%をマーク。前走3番人気の成績【0.2.0.5】はまずまずだが、前走4番人気以下の成績【0.0.1.12】はかなり悪かった。前走JRA・G1組は前走着順だけでなく、前走人気もチェックした方が、有力馬の絞り込みに役立つだろう。
前走JRA・G2組で3着以内に好走した13頭(表4)を調べたところ、とある実績に注目すべきことがわかった。13頭中9頭には、国内外の芝1600~2400m・古馬G1で3着以内に好走した実績があった。天皇賞(秋)はG1の中でも特にハイレベルな一戦だけに、前走G2組もG1組同様の格・実績が求められる。残り4頭の好走馬を調べたところ、14年1着スピルバーグは東京芝で5勝、同年3着イスラボニータは同年に重賞3勝、18年2着サングレーザーは同年に重賞2勝という実績があった。G1実績がない場合は、替わりに何か別の目立つ実績が必要だ。
【結論】
前走宝塚記念1~2番人気馬の巻き返しを警戒
上位人気が予想されるリバティアイランドは前走ドバイシーマクラシック3着以来の休み明け。昨年、3歳牝馬三冠を達成し、ジャパンCは2着と実力・実績は申し分ないが、このローテーションがどうでるか。ダノンベルーガも前走ドバイターフで3着と好走しているが、前走海外G1組である点がデータ的にはマイナスだ。
中心となりうる前走JRA・G1組はジャスティンパレス、ソールオリエンス、タスティエーラ、ドウデュース、ベラジオオペラ。このうち宝塚記念で好走を果たしたのはソールオリエンスとベラジオオペラだが、同レースで1番人気だったのはドウデュースで、2番人気はジャスティンパレスだ。実際、レース結果は重馬場の影響が強く反映されたことを考えると、ドウデュースとジャスティンパレスの巻き返しを期待してみたい。
前走JRA・G2組の注目馬はレーベンスティール。過去にG1好走実績がない点はマイナスだが、エプソムC→オールカマーと重賞を連勝中。今秋のG1シリーズ好調のC.ルメール騎手が乗る予定である点も見逃せない。
ライタープロフィール
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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