JRA-VANコラム
【オークス × 過去データ分析】桜花賞上位3頭の争いか!?

今週は東京競馬場で3歳牝馬クラシックの第二弾・オークスが行われる。大半の馬にとっては、2400mという未知の距離に挑む一戦だ。過去10年では4頭が桜花賞から連勝を飾り、うち3頭は秋に秋華賞も制し牝馬三冠を達成した。今年は桜花賞馬・エンブロイダリーが牝馬二冠を達成するのか、それともライバルがこれを阻止するのか。JRA-VAN Data Lab.とTarget frontier JVを利用して過去10年の傾向を分析してみたい。

前走レース別の成績は、桜花賞組が【7.5.7.63】と3着以内馬30頭中19頭を占め、複勝率も23.2%と上々。別路線組は【3.5.3.84】で複勝率は11.6%と、桜花賞組とは差のある成績だ。桜花賞以外で出走馬が多いのはトライアルのフローラS組【1.3.1.36】だが、複勝率は12.2%止まり。該当馬は少ないが忘れな草賞組が【2.0.1.9】でオークス組を上回る複勝率25.0%を記録している。

人気別成績をみると、優勝馬はすべて3番人気以内。中でも前走桜花賞組のオークス2番人気以内馬は【6.4.3.3】複勝率81.3%と優秀で、該当馬も多く狙いやすい。その一方で、桜花賞組がオークスで6番人気以下の支持にとどまると【0.0.2.46】と連対がなく、複勝率も4.2%と低い。同じオークス6番人気以下でも、前走が桜花賞以外だった馬は【0.4.2.73】と2着4回、3着2回で複勝率は7.6%。穴を狙うなら桜花賞組よりも別路線組を優先して考えたい。

表3は前走桜花賞組について、桜花賞での脚質・着順別にオークスでの成績を調べたものである(脚質はTarget frontier JVによる分類)。桜花賞の脚質が「逃げ」または「先行」だった馬は、オークスで計【0.0.1.14】と大不振。桜花賞馬でも15年レッツゴードンキがオークス10着、17年レーヌミノルが同13着、そして21年ソダシが同8着に敗れている。オークスでの脚質は17年の優勝馬ソウルスターリング(通過順3-4-2-2)のように「先行」でも問題ないが、前走の桜花賞で「逃げ」「先行」だった馬は大幅な割引が必要だ。
一方、桜花賞で「中団」または「後方」だった馬はオークスで【7.5.6.49】と18頭が好走。特に「中団」「後方」から4着以内に入った馬は【6.4.3.9】同59.1%と高い安定感を示している。中でも桜花賞馬は【4.1.0.0】と信頼性は抜群。同じ桜花賞馬でも「逃げ」「先行」だった馬が前述のように【0.0.0.3】に終わっているのとは対照的だ。

表3にあったように桜花賞6着以下からオークスで3着以内に入った馬も5頭を数え、桜花賞の走りを「差し脚不発」や「後方まま」と評されるような馬にも警戒は必要だ。ただ、その5頭のうちドゥーラを除く4頭には「2走前の重賞を1番人気で優勝」「桜花賞4番人気以内」「オークス4番人気以内」という共通点があった。桜花賞で人気を大きく裏切る結果に終わっても、ふたたびオークスで上位人気に支持されるくらいの馬でなければ好走は困難だ。なお、ドゥーラは1600m【0.0.0.3】に対し1800m(以上)では札幌2歳S優勝など【2.0.0.1】という実績だった。

最後に別路線組の好走馬も見ておきたい。この組の好走馬11頭中9頭は前走1着馬。前走2着以下だった2016年3着のビッシュと21年1着のユーバーレーベンはフローラS組で、この2頭はオークスで5、3番人気の支持を受けていた。別路線組を買うなら前走1着馬か、フローラSで敗れながらもオークスで5番人気以内に推されるほど素質や実績を評価されている馬、ということになる。
また、表5の11頭中9頭はオークス前までの成績が勝率40.0%以上、連対率50.0%以上、3着内率66.7%以上だった。これに該当しないユーバーレーベンは【1.1.3.1】で3着内率83.3%、ハギノピリナは【2.0.0.2】で勝率・連対率50.0%と、少なくとも1項目はクリアしていないと狙えない。
【結論】
桜花賞馬・エンブロイダリーが最有力!
オークスは前走桜花賞組の好走が多く、特に桜花賞で「中団」「後方」から4着以内に入った馬の好走確率が高い(表3)。今年は桜花賞馬のエンブロイダリーと2着馬のアルマヴェローチェが桜花賞「中団」からの差しで、3着馬のリンクスティップは「後方」からの追い込みだったため、3頭揃って今回も有力と考えていいだろう。中でも桜花賞馬・エンブロイダリーは連対する可能性がかなり高そうだ(表3本文)。また、3頭とも上位人気必至という点も桜花賞組としてはプラス材料になる(表2)。
別路線組(表5)では、忘れな草賞を制したサヴォンリンナが【2.1.0.1】、スイートピーSを制したルージュソリテールが【2.0.0.1】で、表5本文で記した勝率などの条件をクリア。表2にあったように桜花賞組に比べ別路線組は人気薄の好走も多いだけに、穴党にとっては楽しみな存在になる。特に、複勝率が高い忘れな草賞組(表1)のサヴォンリンナは軽視禁物だ。また、前走がフローラSではなくフラワーC2着だが、パラディレーヌが5番人気以内に入るようなら念のため注意したい(表5本文)。
もう1頭挙げれば、桜花賞「後方」から9着だったブラウンラチェットだろうか。表4の条件に当てはまるタイプではないが、初勝利が1800m戦だったという点ではその表4で例外的な存在だったドゥーラと同じ。穴候補の3番手としてもいいだろう。
ライタープロフィール
浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
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