JRA-VANコラム
【紫苑S×過去データ分析】混戦模様の今年は1周回ってオークス組!?

関東の秋華賞トライアル・紫苑Sは、今年から京成杯AHと入れ替わるかたちで中山開幕週の日曜開催となった。重賞に格上げされた16年以降の過去9年分のデータから、レースの傾向を読み取っていきたい。データ分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

過去9年の1着馬の内訳を見ると、1番人気と2番人気が各3勝で、4番人気が1勝、5番人気が2勝となっている。また、1~3着馬という括りでも1~6番人気が27頭中23頭を占め、人気馬が順当に走っている印象だ。なお、1番人気については、G1出走歴を持っていれば【3.1.2.0】だが、G1未出走だと【0.0.0.3】と明暗が分かれていることも補足しておきたい。

過去9年の紫苑S1~3着馬27頭のうち、半数以上の15頭が前走でG1に出走しており、好走率も高い。出走例が最多なのは前走1勝クラス。ただ、複勝率は1割に満たず、しっかり絞り込む必要がある。そのほか、前走G2、前走G3、前走2勝クラスにも複数の好走例があるが、今年の登録馬には該当する馬がいなかった。

前走G1出走の紫苑S1~3着馬15頭中14頭は前走オークス(出走取消を含む)。今年も前走オークスという馬が2頭登録している。そこで、前走オークスに絞ったデータを紹介する。この場合、中山への出走歴がありながら1着実績がなかった5頭はすべて4着以下に終わっており、中山未出走馬は別として、出走歴があれば1着実績が必須だ。
距離実績の傾向も興味深い。前走オークス出走馬の場合、紫苑Sと同距離の芝2000mの1着実績より、芝1600mや芝1800mの1着実績のほうが結果につながりやすいのだ。昨年コースレコードが出たように、紫苑Sではしばしば速いタイムが計時されることも、距離に関する実績別成績と関係しているのかもしれない。

前走1勝クラス出走馬に関しては、表4の3つのデータをチェックしたい。それぞれ「前走1着」「前走芝2000m」「前走から中4~8週」のほうが好走しており、3つの条件をすべて満たせば【1.1.1.0】と凡走がない。具体的には、16年2着のヴィブロス、19年1着のパッシングスルー、21年3着のミスフィガロが好走した3頭だ。23年に「前走3着」「前走芝1800m」「前走から中2週」で3着に入ったシランケドの例もあるが、確率としては3条件を満たす馬のほうが明確に優位だ。

キャリア別成績では、過去9年で4勝の「キャリア4戦」がベスト。「キャリア5戦」も計8頭の好走馬を出しており、これに次ぐ。しかし、これらより実戦経験が少ない「キャリア2~3戦」は合わせて【0.0.0.14】と好走例がない。表5を見る限り、キャリアが多いほど有利とまでは言えないが、キャリア3戦以下だと経験不足の可能性はある。
【結論】
1周回ってオークス組のリンクスティップ
今年の紫苑Sは登録15頭で、全馬が出走可能。このうち前走G1出走馬は2頭で、いずれもオークス以来となる。ところが、該当するリンクスティップとサヴォンリンナは芝2000mの勝ち鞍しかなく、表3のデータからすると不安も残る。ただし、桜花賞3着のリンクスティップに関しては、芝1600mの距離実績がまったくないわけではないことを付記しておく。なお、中山は2頭とも未出走である。
前走1勝クラス出走馬は11頭が登録も、「前走1着」「前走芝2000m」「前走から中4~8週」の3条件をすべて満たす馬は見当たらない。2条件を満たすのはサタデーサンライズ、ダノンフェアレディ、ロートホルンで、今回のデータ分析から挙げるとすればこの3頭か。2戦2勝のラブリージャブリー、3戦2勝のジョスランなどはポテンシャルを秘めていそうだが、どちらも満たすのは1条件だけで、表5のデータからキャリア不足の懸念もある。
以上の状況を踏まえると、オークス組、特にリンクスティップの実績を改めて評価せざるをえないか。また、出走例が少なく傾向を読み取りづらい前走3勝クラス出走馬も、今年のメンバー構成なら格上と言え、テリオスララにも注目したい。
ライタープロフィール
出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。
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