JRA-VANコラム
【ローズS × 過去データ分析】中心はオークス組。条件戦組の取捨がカギに

今週の中央競馬では3重賞が組まれているが、チャレンジCは今年から条件が変更されておりデータ分析が難しく、セントライト記念は3連単が3年連続1万円未満など堅い決着が多め。今回は波乱も期待できるローズSについて、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して過去10年の傾向を中心に分析したい。

過去10年、1~2番人気は計【4.4.3.9】で複勝率55.0%とまずまず。ただ3~5番人気が【3.0.2.25】同16.7%と今ひとつで、その分、6~7番人気は計【2.3.2.13】同35.0%、11番人気以下は【0.3.3.53】同10.2%など穴馬の好走も多い。中京で代替された年のほうが波乱度は高めながら、阪神開催時でも6回中3回が3連単10万馬券以上だ。
以前はローズSというと平穏なレースという印象が強く、2005~14年は単勝4倍未満の馬が【7.4.2.3】で複勝率81.3%を記録していた。しかし2015~24年は同【3.2.1.4】複勝率60.0%と、4倍未満に支持される馬が減った上に好走確率も低下している。

前走との間隔別の成績を見ると、中3週以内だった馬は【0.1.2.33】と好走例が少なく、複勝率も8.3%とかなり低い。穴馬の好走が多いレースではあるが、格上挑戦馬でもレース間隔はある程度しっかり取っている馬のほうが狙いが立つ。2023年には6月の条件戦以来だった馬が1~3着を独占した。前走オープン・重賞組は3着以内に好走した全馬が、オークス以前のレースからの休み明けだった。

前走クラス別で好走馬を出しているのは、1、2勝クラスと中央G2、G1。好走馬の数や勝率・連対率には差があるが、複勝率はどのクラスでもほぼ互角。条件戦組のほうが穴馬の好走が多く、G1組はローズS上位人気かつ前走でオークスに出走していた馬が中心だ。
このうち、好走馬のもっとも多いG1組は取捨のポイントがわかりやすい。前走3着以内だった馬は該当馬が少なく【1.1.0.2】複勝率50.0%。そして前走4~7着馬が【4.0.4.8】で複勝率は同じ50.0%と、前走7着以内でさえあれば信頼度に差はない。前走8着以下になると【1.1.0.31】同6.1%と劣勢だ(取消を挟む馬を除く)。
また、この組は前走のG1での人気が9番人気以内なら【6.2.3.25】複勝率30.6%に対し、10番人気以下だった馬は【0.0.1.16】同5.9%。前走着順だけでは絞りきれない場合は、前走の人気も参考にしたい。
なお、前走G2で唯一好走したクロコスミア(2016年2着、フローラS14着以来)は、重賞で3着2回の実績馬だった。

前走条件戦組の好走馬は表4の17頭。表3にあった通り1勝クラス(旧500万条件)組の好走馬が多いが、特に近年目立つのが1勝クラスの中でも平場戦に出走していた馬だ。1勝クラスであれば1着がほぼ必須、2勝クラスなら負けていても問題はない。また、近4年の好走馬はすべて前走で芝1800~2000mのレースに出走していた。

今年のローズS登録馬を見ると、前走が条件戦だった馬のうち3頭は、2走前にオークスに出走していた。これら「前走条件戦+2走前中央重賞」という馬は過去10年で13頭が該当し【0.1.0.12】。2017年のカワキタエンカ1頭しか好走馬が出ていない。一方で、同じ前走条件戦組でも2走前がオープン特別なら【2.2.0.6】連対率40.0%とまったく問題なく、前走、2走前ともに条件戦だった馬も表5にあるように多数好走している。
また、2走前が新馬・未勝利戦だった好走馬3頭のうち2頭はローズSで2番人気以内。残る1頭・14番人気で激走したムジカは、距離を1800mに伸ばしたデビュー3戦目以降は【1.3.3.0】と崩れることなくここに駒を進めていた。
【結論】
カムニャックとパラディレーヌの争いに1勝クラス組が絡むか
ローズSはオークスを中心とした前走G1組と、1勝クラス組の好走が多いレース。G1組で好走確率が高い「前走7着以内」を満たす登録馬はカムニャック、チェルビアット、パラディレーヌの3頭。ただ、チェルビアットは前走がオークスではなくNHKマイルCで、前走人気も12番人気と低かった点で他の2頭よりやや評価が下がる。オークス馬のカムニャックと、オークス4着のパラディレーヌが上位だ。
1勝クラス組は前走の芝1800~2000m戦から中4週以上で、2走前が重賞以外というあたりがチェックポイント。2走前も1勝クラスの馬ならマトラコーニッシュ、2走前が新馬・未勝利戦の馬なら2戦2勝のセナスタイルや、芝で8戦連続4着以内のコンドゥイアあたりが穴候補としておもしろい。ほかに、前走2勝クラスのテレサやミッキージュエリーにも好走のチャンスはありそうだ。
ライタープロフィール
浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
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