展望
春の中距離王決定戦!クロノジェネシスを中心に混戦の予感
2021年9月7日 09:50配信
回避予定の馬も含めて登録14頭とやや寂しい今年の大阪杯だが、既にタイトルを持つ馬もいれば今後タイトル奪取が期待できる馬もおり、見る側にとっては興味深い一戦となっている。
牝馬だが近走の実績から有力視されるのがクロノジェネシス。京都記念は古牡馬の骨っぽいところがいなかったとはいえ、積極的な競馬で完勝。自身より斤量が1キロ軽いカレンブーケドールを抑えており、そのカレンがジャパンカップで2着していることを考えると通用しておかしくないという勘定になる。距離も京都記念の2,200mより大阪杯の2,000mのほうが合いそうだ。
初タイトルを目指すのがダノンキングリー。これまで5勝はいずれも1,800m以下なので距離が課題ということになるが、2,000mの皐月賞で3着、2,400mのダービーで2着なら大きな不安材料にはならないだろう。脚質に自在性があって展開に左右されない面がある一方、速い上がりの競馬になると特に強みを発揮する。
ラッキーライラックは完全復調の雰囲気。折り合いの問題はあるにせよ、距離そのものは2,000mくらいあったほうがよさそうで、その意味では中山記念からの上積みも期待できる。器用なタイプではないので阪神競馬場の内回りコースがどうかだが、頭数が多くないことは捌きに苦労せずのびのび差し脚を伸ばせるという観点からプラスになるのではないかと思う。
ブラストワンピースは上がりの速い競馬でなく、持続力を要求されるレースになったとき強みを発揮しそう。そのためにも逃げる馬には強いペースを作ってほしいところだ。雨も歓迎なはずで、とにかく上がりタイムの数字が大きくなればなるほどチャンスが増える。有馬記念優勝馬ではあるが、展開さえ向けば2,000mは悪い条件ではない。
ワグネリアンは一昨年の神戸新聞杯を最後に勝ち星から遠ざかってしまっているが、すべて掲示板以内には収まっており、能力が足りないわけではない。若いときはキレ味で勝負していたが、古馬になってからは持続力型にシフトしているような印象もある。その意味では好走するときはブラストワンピースあたりとセットになって伸びてきそうなイメージがある。
ステイフーリッシュはこのメンバーだと逃げを担う可能性がある。いわゆる溜め逃げをしてしまうと決め手のある馬に差されるので、逃げるなら自分の良さであるスタミナの余裕と持続力を生かしたい。誰かを行かせて2番手に構えるにしても展開の行方は握るので、ファンのイメージ以上に好走の可能性を秘めた馬だ。
text by 須田 鷹雄