展望
リバティアイランドら阪神JF組の優位か、チューリップ賞組の対抗は?
2023年4月4日 10:00配信
今年の3歳牝馬戦線は、阪神JFの上位馬がチューリップ賞に出走しないという珍しい事態となった。ただ最近は前哨戦を使わず本番で一発勝負に成功する馬が増えているし、基本的には阪神JF組が優位と考えてよいのではないかと思う。
阪神JFを勝ったのがリバティアイランド。デビュー戦と2戦目は速い上がりの競馬で連対し、一転して阪神JFは上がりのかかる競馬で勝ち切った。展開がどうなっても対応できるのは能力の高さ。血統のスケール感も大きいし、この舞台でも好走する可能性は高い。
ドゥアイズは阪神JF3着でその後クイーンC2着。勝ったのは新馬戦だけだが、4着以下がない堅実派だ。札幌2歳Sは道中で押し上げる競馬、阪神JFは後ろから、クイーンCは道中3番手からと、レースによってさまざまな戦法を使い分けている。展開ひとつで結果が大きく変わりやすい3歳牝馬戦において、その対応力は武器になるだろう。
ライトクオンタムは、ディープインパクト産駒最終世代の1頭。少ないこの世代の産駒からクラシックの有力候補が現れてきたあたりは、さすがディープインパクトという印象だ。シンザン記念は相手関係に恵まれた面もあるのでどこまで評価してよいのかは難しいが、2戦2勝と負けていない点はやはり魅力だ。
ハーパーはクイーンCを勝っての参戦。当時は前走比12キロ減でレースをしたので、今回は馬体・状態の維持がテーマになる。ただ関西馬で今回は輸送がなくなるので、そのぶんやりやすい面はあるはず。派手さはないタイプだが、キャリア3戦で2,1,1着と底を見せていないし、阪神JF組など他の臨戦過程の馬と一緒に走っていないぶんこちらが実は強いという可能性も残している。
ラヴェルは阪神JFで11着と大敗したが、展開次第ではまだ再浮上がありうる馬だ。阪神JFでは18番枠が響いたし、上がりのかかる展開でこの馬には向かなかった。アルテミスSでは上がり3ハロン33秒0という末脚を使ってリバティアイランドを下しており、瞬発力だけの勝負なら強みを発揮する。阪神JFのような展開が再現されると苦しいが、阪神外回りコースでよくある、残り400~200mが最速ラップになるような展開ならば、この馬も怖い存在になってくる。
今年はチューリップ賞組の注目度が低いという珍しい年になっているが、やはりこのレースは重要な前哨戦。勝ったモズメイメイは正直展開に恵まれた面はあったが、もう一度恵まれるという可能性もある。2着コナコーストもデビューから1,2,2着、何年かに一度G1級を出すエルフィンSでも2着しており不気味な存在だ。今回は紹介した頭数が多くなったが、それだけ今年の桜花賞は混戦ということである。
text by 須田 鷹雄