JRA-VANコラム
今年も多彩な顔ぶれが集結! NHKマイルCを分析する
天皇賞・春が終わると、中央競馬では東京G1の5連戦がスタートする。その初戦となるのが3歳春のベストマイラーを決めるNHKマイルC。今年も興味深いメンバーが揃った一戦を過去10年のデータから分析してみたい。データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
表1は人気別成績。1番人気は過去10年で5勝を挙げている一方で、勝てなかった5頭はすべて4着以下と両極端な成績になっている。むしろ、複勝率60.0%の2番人気のほうが安定感では上回る。また、10番人気以下からも計7頭が3着以内に入っており、穴馬の激走も期待できるようだ。
表2は、前走から距離が「延長」「同距離」「短縮」となる馬の成績を比較したもの。これは一目瞭然で「今回短縮」の馬が有利。また、「同距離」は好走率としては水準に満たないものの、1着馬が7頭出ており、十分に吟味して狙っていきたい。そして「今回延長」となる馬は苦戦傾向となっている。
距離に関するデータをもう少し見てみたい。表3は、NHKマイルCまでに芝1400m戦で挙げていた勝利数別の成績だが、芝1400mで多く勝っていた馬ほど振るわないことがわかる。また、1番人気で4着以下に敗れた5頭のうち、13年のエーシントップ、17年のカラクレナイ、18年のタワーオブロンドンの3頭は、芝1400mで2勝以上を挙げていた馬であることも指摘しておくべきだろう。前項で見た距離延長の馬が苦戦というデータにも通じる部分があり、芝1600m未満の実績はあまり参考にならない様子が見てとれる。
表4は、芝1600mの重賞で1、2着の実績を持つ馬、持たない馬の成績を比較したもの。当然ではあるのだが、同距離の芝1600m重賞で実績を持つ馬のほうが明らかに好走率は高い。なかでも、NHKマイルCと同じ「左回りの芝1600m重賞」である新潟2歳S、サウジアラビアRC(14年のいちょうSを含む)、アルテミスS、クイーンCで1、2着の実績を持つ馬は【3.2.1.10】、勝率18.8%、複勝率31.3%、単勝回収率90円、複勝回収率142円と抜群。ただし、今年の登録馬には該当する馬がいなかった。
表5は、芝1800mもしくは2000mの重賞で1~3着の実績を持つ馬、持たない馬の成績を比較したもの。表2の項で見た距離短縮が好成績というデータにも通じるが、「実績あり」が5項目すべての数値で上回っている。NHKマイルCより距離が長い重賞で好走してきた馬が好走しやすいレースと言えるだろう。
表6は前走レース別成績で、好走例のある前走のみを掲載している。1着馬4頭を含む最多の好走馬8頭を送り出しているのがニュージーランドT。ただし、その好走率は高いとは言えず、しっかりとした見極めは欠かせない。牡牝のクラシック一冠目から転戦してくるパターンも多く、桜花賞より皐月賞のほうが好走率は高い。これは牡牝の差もあるのだろうが、表2や表5の項で確認したデータを踏まえると、皐月賞は2000m、桜花賞は1600mという距離の違いも影響していそうだ。
これら3レース以上と同じぐらい注目したいのが、いずれも阪神の芝外回りで行なわれる毎日杯およびアーリントンCから臨む馬。合わせて7頭の馬がNHKマイルCで好走を果たしているが、そのうち5頭は前走で上がり1位を記録しており、要注意のパターンとなっている。そのほか、スプリングS、フラワーC、弥生賞、京成杯といった芝1800、2000m重賞から回ってくる馬も侮れない。
表7は、前走ニュージーランドT出走の好走馬を一覧にしたもの。該当する8頭のうちニュージーランドTで1着だった馬は12年のカレンブラックヒルのみで、11年のリアルインパクトのように11着から巻き返した馬もいる。むしろニュージーランドTの着順より表4の項で見た芝1600m重賞実績を有するほうが重要で、これは13年のマイネルホウオウを除く7頭が持っていた。また、その7頭中4頭は前年の朝日杯FSで3着以内に入っており、4着だった馬も1頭いることも記しておきたい。
表8は、前走皐月賞出走の好走馬を一覧にしたもの。皐月賞15着から巻き返して激走した14年のキングズオブザサンもいるが、基本的にはひとケタ着順には入っておきたいところ。また、5頭中4頭は芝1800、2000m実績を持っていたことに加え、芝1600m重賞実績に関しても出走歴があった3頭は満たしている。
表9は、前走桜花賞出走の好走馬を一覧にしたもの。2頭とも桜花賞で掲示板には載っており、NHKマイルCでは1、2番人気と高く評価されている点で共通する。また、両馬ともに芝1600m重賞実績を満たしており、同条件のクイーンCで連対歴を持つことを補足しておきたい。
【結論】
今年の登録馬でもっとも注目されるのは、2歳女王のレシステンシアだろう。前走の桜花賞では2着に入り、もちろん阪神JF1着で芝1600m重賞の実績も満たしている。反面、芝1400mで2勝を挙げている点は看過できないところで、距離の不安はないにしても、やや危険なパターンに該当することには触れておかなくてはならない。
ニュージーランドT組では、まずは無傷の3連勝を飾ったルフトシュトローム。ただし、ニュージーランドT1着馬が意外と結果を出していないのは表7の項で見た通りで、東京は初出走と未知の部分も多い。この組では、芝1600m重賞の実績を有するもう1頭のウイングレイテストの名前を挙げておく。
好走率の高い阪神芝外回りの2重賞では、そこで上がり1位を記録している馬の好走が多かった。今年は毎日杯をサトノインプレッサ、アーリントンCをタイセイビジョンが、それぞれ上がり1位を記録して1着。ただし、タイセイビジョンは芝1400mで2勝を挙げている点を無視できず、データ的には距離短縮での出走となるサトノインプレッサを重視すべきか。
ほかには芝1600m重賞で連対歴があり、朝日杯FSで掲示板に載ったプリンスリターン、あるいは芝1800m重賞で好走歴のあるストーンリッジ、ラインベック、サクセッションの計4頭もチェックはしておきたい。
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