JRA-VANコラム
人気薄の激走が目立つフローラSの穴候補は?
G1の谷間となる今週は春の東京、京都開催が開幕。土曜には福島牝馬S、日曜にはフローラS、マイラーズCと3鞍の重賞が行われる。今回はオークストライアルのフローラSをピックアップ。上位2着までにオークスの優先出走権が与えられるが、過去10年でみても3連単10万円以上が6回、うち2回は100万円以上と波乱傾向が強い一戦だ。今回は過去10年のデータからフローラSにおける馬券の狙いどころを探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
まず表1はフローラS過去10年の人気別成績。1番人気馬が一昨年のサトノワルキューレら最多の4勝をあげ、連対率・複勝率50%。2番人気馬は15年シングウィズジョイの1勝のみも、複勝率は70%でトップだ。以下、3番人気馬が昨年のウィクトーリアら2勝、4・9・12番人気馬が1勝ずつ。2・3着馬も下位人気まで幅広く分布。特に9番人気以下の人気薄が2勝、2着3回、3着5回と10頭も馬券圏内に入っている。
逆に5~8番人気馬はのべ【0.1.1.38】。専門紙の予想などでは、△などが並び伏兵視されるゾーンではあるが、勝ち星がなく、不振傾向にある。むしろ9番人気以下でほぼ無印になるような人気薄の方が激走している。昨年は9番人気ジョディーが3着に激走。2010年・15年を除いて、毎年9番人気以下の人気薄が激走している。思い切った人気薄を狙ってみても面白いレースだ。
表2は枠順別成績。黄色で強調した内めの1~3枠で過半数の6勝をあげている。特に3枠に入った馬は12年ミッドサマーフェアら2勝をあげ、複勝率47.4%と優秀だ。1枠・3枠ともに複勝回収率290%と非常に高く、9番人気以下の人気薄も1枠から2頭、3枠から3頭好走している。外めでは大外の8枠が16年チェッキーノら2勝で、複勝率は17.9%だ。
表3はキャリア別成績。1戦の馬は7頭すべて着外に敗れ、2戦の馬も3着以内に入ったのは14年1着サングレアルのみ。対して、3・4戦の馬で合わせて7勝と多くの勝ち星をあげている。
また、7・8戦の馬は複勝率が高く、複勝回収率も300%以上と優秀だ。なお、9戦以上の馬からは3着以内馬が出ていない。
表4は前走クラス別成績。未勝利組は13年デニムアンドルビーら2勝、出走数最多の500万下(現1勝クラス)組は昨年のウィクトーリアら6勝と、前走が下のクラスだった馬の勝ち星が目立つ。対して、オープン特別組は16年チェッキーノ(前走アネモネS1着)の1勝のみ。前走G3組も10年サンテミリオン(前走フラワーC3着)の1勝に終わっている。
G2組・G1組の3着以内馬がいないことからも、前走の格はまったく関係ないレースだ。波乱傾向が強い最大の要因はここにあるといえる。
表5は前走着順別成績。前走1着だった馬が近5年の勝ち馬を含む8勝と勝ち切る傾向が強い。勝率・連対率もトップで、3着以内馬13頭中4頭は9番人気以下の人気薄だった。複勝率トップは前走3着馬だが、好走した4頭はいずれも5番人気以内の人気馬だった。
複勝回収率328%で注目したいのが前走6~9着だった馬。3着以内に入った4頭はいずれも13番人気以下だった。前走6~9着の馬は大穴候補でチェックしておきたい。なお、前走10着以下だった馬はすべて馬券圏外に敗れている。
表6は好走馬が多い前走500万下(現1勝クラス)組の前走着順別成績。前走1着馬が昨年のウィクトーリアら5勝をあげ、連対率・複勝率ともに高い。単勝回収率・複勝回収率ともに100%を超えている。なかでも前走1800mで勝利した馬が【4.1.0.5】と好成績をあげている。対して、前走2000m勝ち馬は【0.1.0.6】で2着1回のみだった。
前走2着馬は複勝率28.6%で前走1着馬に次いで高い。前走6~9着馬は複勝率20.0%、複勝回収率542%と非常に高く、穴候補でチェックしておきたいゾーンだ。
最後に表7は実際に9番人気以下で激走した馬の一覧。これら10頭中7頭は前走芝1800m戦を使われていた。あとは前走芝2000m戦が2頭、前走芝2400m戦が1頭。また、ハービンジャー、ステイゴールド、ダイワメジャーの各産駒が2頭ずつ入っていた。
今年の出走予定馬は表8のとおり。
1番人気に推されそうなのが前走京成杯2着のスカイグルーヴ。東京芝2000mで新馬戦を勝利しているが、キャリア2戦は気になるところだ。能力の高さは間違いないが、絶対視は危険だろう。この馬が馬券圏外に敗れることがあれば、大波乱の決着も考えられる。
レッドルレーヴはキャリア3戦。新馬戦では今回と同じ東京芝2000mで半馬身差の2着に敗れているが、勝ったのは続く共同通信杯で3着のフィリオアレグロ。重馬場で時計も優秀だった。全兄は青葉賞2着のランフォザローゼス。データからもレッドルレーヴを上位に見たい。
これまでのデータから人気薄の穴候補として、セイウンヴィーナスとシャレードの2頭を挙げておきたい。セイウンヴィーナスは前走クイーンCで12番人気ながら3着と好走。勝ったミヤマザクラとは0秒1差と際どく、4着アカノニジュウイチを0秒2離している。フロック視されそうなのは昨年3着のジョディーと同じパターン。ジョディーもクイーンCで逃げて3着になりながら、フローラSは9番人気と人気薄だった。
シャレードは前走芝1800mの君子蘭賞で7着と敗退。表6で示した前走1勝クラス6~9着の範囲に当てはまる。また、左回り巧者の可能性が高く、2走前のフローラルウォーク賞は4着ながら僅差だった。出走してくれば、大穴候補として推奨しておきたい。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。
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