JRA-VANコラム
平成の天皇賞(春)優勝馬を振り返る
今週は天皇賞(春)が行われる。ちょうど1年前の同レースは平成最後のJRA・G1という位置づけだった。よって今年は令和最初の天皇賞(春)ということになる。具体的なレース展望は週半ばに行うことにして、今回は平成の天皇賞(春)を優勝馬の顔ぶれを思い出しながら振り返ってみることにする。データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
優勝馬の性別はすべて牡馬。平成の天皇賞(春)における牝馬成績は【0.0.0.18】。優勝どころか好走例が全くない。現在はG1での牝馬の活躍は当たり前になっているだけに意外な結果だ。そもそも31年間で出走頭数18頭というのが少なすぎる。
優勝馬の年齢は4歳と5歳が多い。6歳以上になると好走率が大きく下がり、7歳以上は優勝馬がいない。昨年のステイヤーズSはモンドインテロ、今年のダイヤモンドSはミライヘノツバサと7歳馬が優勝しているように、長距離ではむしろベテランの馬は侮れない。しかし、G1の天皇賞(春)だけは事情が違うようだ。
騎手では武豊騎手が8回も優勝している。平成元年から平成4年にかけていきなり4連覇を達成した。次に多く勝利しているのは3勝の横山典弘騎手と蛯名正義騎手。武豊騎手と年齢が近い関東のベテランが上位にきた。
優勝馬の人気は年代によって傾向が明らかに違う。平成元年から平成14年までは上位人気馬の勝利が目立った。「2強」あるいは「3強」と言われる勢力図の中、人気を集めた強い馬が好レースを演じた。実力馬でも崩れることはあったが、驚くような人気薄が勝つことはなかった。
しかし、平成15年からは一変した。ヒシミラクルが7番人気で勝利したのを皮切りに、イングランディーレやスズカマンボ、マイネルキッツは二けた人気で激走。平成24年は14番人気のビートブラックが勝利し、単勝配当は1万5960円の大波乱となった。このあたりの年代に1番人気で勝利したのは平成18年のディープインパクトだけだ。ちなみにこの年の勝ち時計3分13秒4(良)は当時のレコード。単勝は110円という低配当だった。
そして平成25年からはまた一変。上位人気馬の勝利が多くなってきた。近5年は1~2番人気馬が優勝。かつての傾向に戻っている印象だ。ただ、昨年はクビ差2着に6番人気のグローリーヴェイズがきて、平成28年はハナ差の2着に13番人気カレンミロティックが激走している。勝ったのは人気馬だが、その差は紙一重だ。3200mの距離を走り切り、手に汗握る接戦が多いというのは素晴らしいことだ。
時代は令和となり、果たして今年はどのようなドラマが生まれるか。平成と令和を股にかけて連覇を狙うフィエールマンの存在は特に注目と言えるだろう。
ライタープロフィール
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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