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JRA-VANコラム

秋のG1にもつながる短距離重賞・キーンランドCを分析!

2020年8月27日 15:15配信
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ビリーバー

今週日曜の重賞は新潟2歳SとキーンランドCが組まれている。今年取り上げるのは札幌芝1200mで行なわれる後者。昨年はここで2着だったタワーオブロンドンがスプリンターズSを制したように、秋のG1にもつながってくる一戦を過去10年のデータから分析する。ただし、函館で開催された13年は除くため、実際の集計対象は9年分となる。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

■表1 人気別成績

表1は人気別成績。昨年、1~3番人気がそのまま1~3着を占めたように、1~3番人気の数値は概して良好。以下、4~9番人気もポツポツ2、3着に入っているが、延べ56頭が出走した10番人気以下からは17年1着のエポワスがいるだけで、大きな穴は滅多に出ない傾向が見られる。なるべくひとケタ人気には収まっておきたいところだ。

■表2 枠番別成績

表2は枠番別成績。1着馬に着目すると、1~3枠からは1頭しか出ておらず、残りの8頭は4~8枠から出ている。また、1枠は3着以内に入った馬が1頭もいない。このデータを見る限り、内枠、特に1枠は割引が必要かもしれない。

■表3 性別・年齢別成績

表3は性別と年齢のデータを示したもので、今回は牡馬とせん馬を分けて集計している。表が示す通り、このレースは牝馬が優位な傾向にある。また、せん馬も牝馬に近い数字を残しており、キーンランドCは「牡馬とそれ以外」で分けて考えるのが合理的と考えられるのではないか。

年齢別では4歳が群を抜く好走率を記録。回収率から人気馬中心であることが伺え、内訳を確認すると好走したのは5番人気までだった。とはいえ、その1~5番人気なら【4.3.4.6】と信頼性は高い。次いで好走が多いのは5歳で、好走率では4歳に見劣るものの、単勝回収率では上をいく。4、5歳以外の成績はひと息で、特に3歳の数字には案外な印象を受ける。

■表4 洋芝1着実績の有無

表4は、洋芝(札幌・函館の芝コース)における1着実績の有無を比較したもの。差がついているのは1着馬で、集計対象の勝ち馬9頭のうち8頭は洋芝1着の実績を持っていた。洋芝1着の実績を持たずに勝った唯一の馬は18年のナックビーナス。ただし、同馬は16年に9番人気5着、17年にも5番人気3着と、すでにこのレースで人気を上回る走りを見せていた。1着を期待されるような馬に関しては、なるべく持っておきたい実績と言えそうだ。

■表5 前走クラスおよびレース別成績

表5は前走クラスおよびレース別成績。なお、「G3」および「函館スプリントS」の数値は、19年の函館スプリントSで競走除外になった2頭を含んだものである。

中心となるのは前走G3で、なかでも函館スプリントS組の好走が多い。この組に関しては、次の表6の項でより詳しいデータを見ていく。前走G3では他に、アイビスサマーダッシュ組に3頭の好走例がある。この組では前走から同じ騎手が継続騎乗すると【1.1.0.2】で、人馬ともに新潟から札幌へと転戦してきたら要注意と考えられそうだ。CBC賞組もなかなかの好走率だが、今年の登録馬には前走CBC賞という馬が見当たらなかった。

前走オープン特別も出走例は多いものの、延べ48頭で好走したのは3頭のみ。ただし前走1番人気に限れば【1.2.0.5】と悪くなく、好走例はすべてここに当てはまっている。そして、前走3勝クラスの成績が非常にいい。該当する8頭はいずれも前走1着で、そのうち半数の4頭が好走を果たしている。

なお、前走G1に関しては「同年の高松宮記念に出走した馬」という視点に基づくデータを表7の項で確認したい。

■表6 函館スプリントS出走馬の各種データ

表6は前走函館スプリントS出走馬に関して、前走の着順別および4角通過順別の成績を示したもの。いずれも明確な傾向が出ており、前走函館スプリントSで1~3着、あるいは4角通過順が3番手以下だった馬しか好走していない。そして、この両方を満たす「函館スプリントSで4角3番手以下から1~3着」なら【4.2.2.3】と、キーンランドCでの好走確率は極めて高い。

■表7 同年高松宮記念の着順別成績

表7は、同年の高松宮記念の着順との関連性を示すデータ。基本的には高松宮記念で上の着順を収めていた馬ほどキーンランドCでの成績もいいのだが、例外となっているのが2着。同年の高松宮記念2着馬は4頭出走したものの、そのすべてが4着以下に終わっているのだ。この点を除けば、高松宮記念で掲示板に載っていた馬の好走率は非常に高く、6~9着でもチャンス十分とみていいだろう。

【結論】

以上のデータに基づき、今年のキーンランドC登録馬21頭から有望と思われる馬を紹介したい。

まずは函館スプリントS組で、そこで1~3着だった馬しか好走例がないことを表6で確認した。今年該当するのは1着のダイアトニックと2着のダイメイフジ。しかし、もうひとつの好走条件である前走4角通過順が気にかかる。これも表6で確認した通り、前走函館スプリントSの場合はそこで4角3番手以下だった馬しか好走していないが、前者は4角2番手、後者も4角1番手だったのだ。キーンランドCは上位人気が強いレースでもあり、人気が予想されるダイアトニックが順当に勝っても不思議はないが、好走例がないデータに合致している点は頭に入れてもいいかもしれない。

アイビスSD組は、ジョッキーが継続騎乗してきたら要注意と表5の項で述べた。本稿執筆時点では未確定ながら、アイビスSD3着のビリーバーは前走と同じく杉原誠人騎手が騎乗する見込み。洋芝での1着実績も持っており、注目に値する1頭だ。

前走オープン特別の好走率はあまりよくないが、そこで1番人気に推されていた馬に限っては例外だった。今年の登録馬ではエイティーンガールが前走のUHB賞で1番人気に推されている。4歳牝馬という点もセールスポイントで、前走は7着に終わったものの巻き返しに注意したい。4歳牝馬ではもう1頭、好走率が非常に高い前走3勝クラスを勝ち上がってきたアスタールビーも侮れない存在と言える。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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