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JRA-VANコラム

前走よりも2走前に注目!? スプリンターズS分析

2020年10月2日 15:40配信
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タワーオブロンドン

秋前半の中山競馬最終週を迎える今週は、いよいよ秋のG1シーズンが開幕する。その第1弾はスプリント王決定戦・スプリンターズS。残念ながら昨年の覇者・タワーオブロンドンこそ態勢が整わず回避となったが、昨年の2~4着馬、そして今春の高松宮記念1~4着馬が参戦予定(モズスーパーフレアは重複)。好メンバーによる白熱した戦いが期待される。データからはどの馬が有力なのか、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して分析したい。

■表1 人気・単勝オッズ別成績

過去10年の人気別・単勝オッズ別成績は「連対馬」と「3着馬」にそれぞれ大きな偏りが出ている。単勝オッズでみるとその傾向がよりわかりやすく、まず連対馬は20頭中15頭が単勝12倍未満で、残る5頭は28倍以上。単勝12倍台から27倍台の馬は【0.0.6.36】と連対がない。また、3着馬は単勝12倍以上の馬が10頭中9頭を占め、12倍未満で3着に入ったのは昨年のダノンスマッシュ(単勝2.8倍)1頭のみ。まとめると「連対候補は単勝12倍未満か28倍以上」「3着候補は単勝12倍以上」となる。

■表2 性齢別成績

性別では牡・セン馬8勝(勝率7.1%)、牝馬2勝(同4.2%)と、勝ち馬に関しては牡・セン馬が優勢だ。しかし2、3着はそれぞれ5頭ずつで並び、連対率や複勝率は該当馬の少ない牝馬のほうが高い。また、年齢別では牡牝とも4歳馬が複勝率40%台の好成績を残している。

■表3 枠番別成績(2014年の新潟代替を除く)

新潟で代替された2014年を除く過去10年中9回の枠番別成績は、4枠が4勝、5枠が2勝で、複数の優勝馬を出しているのはこの4、5枠のみ。また、3着馬9頭中8頭が1~3枠から出ていることも特徴的だ。6~8枠は特に4番人気以下の馬が不振で、計【0.0.1.44】に終わっている。

■表4 前走クラス・レース別成績(レースは3着以内馬を出したレースのみ)

前走クラス別で好走馬が多いのは、中央G3組と中央G2組。G2組は、スプリンターズSで3着以内に入った11頭すべてが前走でセントウルSに出走していた。G3はキーンランドC組が中心で、次いで出走数の多い北九州記念組は【0.1.0.11】の不振。また該当馬こそ少ないが、中央G1組が連対率26.7%と頭ひとつ抜けた数字を残している点にも注目したい。

■表5 前走着順別成績

前走着順別の成績を見ると、過去10年のうち前半の2014年までは5着以下から巻き返した馬も多かったが、2015年以降は前走1~4着馬が3着以内馬15頭中12頭、前走5着以下は同3頭と、近年は前走で4着以内に入っていた馬が好走馬の大半を占めている。また、2走前の着順も重要だが、これについては前走レース別にみていきたい。

■表6 前走セントウルSからの3着以内好走馬

表6は前走でセントウルSに出走していた好走馬11頭(同レース取消のキンシャサノキセキを除く)で、そのうち9頭は前走、2走前ともに4着以内。もう少し細かくみると、単に「2戦連続4着以内」ではなく、その9頭すべて近2走の平均着順が2.5以下だった。2.5を超えた2頭はともに、セントウルS組が1~3着を独占した年の3着馬(2013年マヤノリュウジン、2018年ラインスピリット)である。

■表7 前走キーンランドCからの3着以内好走馬

続いて、セントウルSに次いで好走馬の多いキーンランドC組。こちらは函館スプリントS除外を挟んだダノンスマッシュを除く7頭が2走前に夏競馬(地方含む)で連対しており、そのうち6頭は2走前1着だった。ドリームバレンチノやスノードラゴンのように、キーンランドCでは掲示板外敗退を喫していても、2走前に夏競馬で連対していれば巻き返しは可能だ。

■表8 その他のレースからの3着以内好走馬(日本調教馬)

最後に表8は、その他のレース(セントウルS、キーンランドC以外)からの好走馬10頭である(外国馬除く)。その10頭中8頭は2走前に3着以内に入っており、残る2頭はG1で2桁着順。また、前走6着以下かつ2走前4着以下だった馬の好走はない。

【結論】

表4にあったように、スプリンターズSは前走中央G2・G3組の好走が多いレースだが、今年の該当馬はほかに減点材料を抱える馬ばかり。そこで、連対率の高い中央G1組からグランアレグリアを筆頭に挙げたい。近2走は高松宮記念2着、安田記念1着で、「その他のレース」組の好走条件をクリア(表8)。「前走1着」は近年の好走馬の傾向にも合致する(表5)。好走確率の高い4歳牝馬でもあり(表2)、引き続き期待が持てそうだ。

セントウルS組(表6)は、1~3着馬がいずれも2走前に掲示板外敗退を喫しており、「近2走平均着順2.5以下」に合致する馬は不在。一方キーンランドC組(表7)は、2着ライトオンキュー、7着ダイメイフジ、そして15着ダイアトニックが「2走前に夏競馬で連対」を果たしている。ただ、表1の連対条件(単勝12倍未満か28倍以上)を満たせるかどうか、特にライトオンキューは微妙なところ。また、ダイメイフジとダイアトニックは前走着順(表5)がネックになるが、セントウルS組が推奨しづらい今年は、総合的にみてこの3頭を2番手グループと考えたい。もう1頭加えるなら昨年の2着馬・モズスーパーフレア。北九州記念組は【0.1.0.11】と不振だが(表4)、唯一の好走馬がモズスーパーフレア自身。表8の条件も満たしており、今年も上位争いになりそうだ。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。

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