JRA-VANコラム
京都改修前最後のメインレース・カシオペアSを分析する
京都競馬場の芝1800mを舞台に行われるオープン特別・カシオペアS。重賞でこそないものの、この時期の芝1800~2000m戦として長く定着しており、ファンにとってはおなじみのレースだ。JRA-VAN Data Lab.でデータが提供されている1987年以降の優勝馬を振り返ると、ダイナカーペンター(89年)やメインキャスター(91年)、ユウトウセイ(97年)、エモシオン(98年)、プリサイスマシーン(2003年)など、重賞で活躍した馬の名前も多く見られる。そのカシオペアSを、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して分析したい。
過去10年の優勝馬10頭はすべて5番人気以内。単勝オッズは10頭とも8倍未満で、その単勝8倍未満の支持を受けた馬は好走確率、単複の回収率ともに優秀だ。単勝8~19倍台は計【0.2.0.25】で複勝率は7.4%と低く、穴なら単勝20倍以上の馬を狙いたい。2010年には上位2頭が1→2番人気で決着、3着に単勝10番人気・174.0倍のエムエスワールドが食い込んだ例もある。
年齢別では3歳馬が最多の4勝を挙げ、勝率23.5%、連対率35.3%もトップ。複勝率は4歳馬が42.1%を記録し、3歳馬(同35.3%)を上回っている。3歳馬は出走した17頭すべてが重賞連対実績馬、4歳馬も出走19頭中15頭が重賞で連対した経験を持ち(同17頭が3着以内)、オープン特別なら実績上位の馬が該当馬の大半を占めていたことが、この好成績につながっていると考えられる。一方、5歳以上の馬は昨年の1~3着馬(テリトーリアル、ベステンダンク、ソーグリッタリング)など、重賞連対歴のない馬も多く出走・好走している。
前走のクラス別では出走馬の約半数がオープン特別組で、3着以内馬30頭中12頭が該当するものの好走確率は低め。次いで出走数の多いG3組は【1.4.5.25】とやや勝ち切れないが、複勝率は28.6%と高い。このG3組は、前走9番人気以内の馬にかぎれば【1.3.4.10】複勝率44.4%とさらに信頼性は高まり、前走10番人気以下だった馬は【0.1.1.15】同11.8%と大きな差がある。
また、該当馬がいればぜひ注目したいのが3勝クラス(1600万条件)組。出走した4頭中3頭が馬券に絡み、複勝率は75.0%。優勝した2頭(2011年ダイワファルコン、18年エアウィンザー)は前走1~2番人気で1着、そしてこのレースでは1番人気の支持を受けていた。その他ではG2組が3勝を挙げ、連対率23.5%と悪くない成績を残す一方、G1組は【0.1.0.10】に終わっている。
出走馬の多いオープン特別組について前走着順別成績(表4、平地・芝のみ)を調べると、まず前走で連対していた馬が【3.2.1.1】と抜群の安定感を示している。昨年は優勝したテリトーリアル(都大路S2着)、そして12番人気で2着に激走したベステンダンク(小倉日経OP2着)が該当しており、今年も前走連対馬が出走すれば見逃せない。
前走3~4着馬は計【0.0.0.12】で、残る好走馬6頭は前走5着以下(表5)。その6頭はすべてポートアイランドS(芝1600m)に出走し、ダノンメジャーを除く5頭は同レース7番人気以下で8着以下と、なかなか狙いづらい印象だ。ただ、好走した6頭にはすべて、カシオペアSと同じ芝1800m戦でオープン・重賞3着以内(5頭は連対)の実績があった。ポートアイランドSの芝1600mが不向きだった馬ばかりではないが、芝1800mのオープン・重賞好走実績を持つ馬の巻き返しには注意したい。
最後に表6は、前走でG1、G2に出走していた好走馬5頭である。単に前走でG2以上に出走していただけでなく、G2以上で3着以内の実績を持つ馬が5頭中4頭を占める。コスモネモシンだけは前走の札幌記念4着が最高だったが、G3では1勝2着3回と好走を重ねていた。また、この組で今回1~5番人気だった馬は【3.2.0.9】連対率35.7%、対して6番人気以下は【0.0.0.14】と、相手関係が楽になった中でも上位人気の支持を得られなかった馬は評価を下げたい。
以上、カシオペアSの傾向を分析してみた。優勝馬10頭すべて単勝5番人気以内・8倍未満と、1着軸は上位人気馬から選びたいレースだ。年齢別では3、4歳馬が好成績。前走クラス別では、該当馬がいればまず3勝クラスに出走していた馬。オープン特別組なら前走連対馬、G3組は前走9番人気以内馬の好走確率が高く、G1~G2組はG2以上での好走実績に注目したい。
ライタープロフィール
浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
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