JRA-VANコラム
新設レース・新潟牝馬Sの舞台となる新潟芝2200mを分析!
10月24日(土)に行なわれる新潟牝馬Sは、今年新設されたオープン特別。開催時期や芝2200mという条件から、エリザベス女王杯の前哨戦としての機能が期待されていることは想像に難くない。また、このコースでオープンクラスのレースが組まれるのは2014年のオールカマー以来と久しぶりでもある。そこで今回は、新潟芝2200mのレース傾向を調べてみたい。集計期間は過去5年(15年10月17日~20年9月6日)。データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
表1は、新潟芝2200mの全体成績と、東西・牡牝別の成績を示したもの。全体成績で目を引くのが単複の回収率の高さで、これを素直に受け取れば新潟芝2200mは荒れやすいコースということになる。
東西の比較では、好走率としては関西馬のほうがだいぶ高いものの、それでも単複の回収値にはあまり差が出ていない。すなわち、基本的には関西馬を重視しつつ、関東馬は人気薄の激走に注意というのがひとつのセオリーになるかもしれない。牡牝別の成績では、牡馬は単勝回収率、牝馬は複勝回収率が高い傾向にある。牡馬の出走がない新潟牝馬Sには直接影響しないデータではあるが、その他のレースでは考慮すべきケースも出てくるだろう。
前項で荒れやすいコースと述べたが、表2の人気別成績で確認してみたい。1番人気から見ていくと、勝率、連対率は水準級だが、3着数が少ない影響で複勝率は低め。また、2番人気の数値は全体に低調で、どうやら1、2番人気の信頼度はそれほど高くはない。対して3番人気の成績はよく、人気サイドではここが狙い目となりそうだ。また、回収率で100%以上を記録しているのは、5番人気、8番人気、10番人気以下といったあたり。やはり、このあたりからも穴馬の台頭が多い様子を見てとることができる。
表3は枠番別成績。注目すべきは単複ともに200%を超える回収率を記録した1枠で、好走率も4枠に次ぐ水準にある。その4枠は単勝回収率155%を記録し、2枠も好走率、回収率とも高い。また、5枠は好走率に比べて単複の回収率が高く、激走に注意したい。反面、6~8枠は概して見どころがない。以上の数字を見る限り、内から真ん中にかけての枠が有利なコースと考えられそうだ。
表4は、脚質別成績を示したもので、比較対象として同期間における芝全レースの成績も併せて掲載している。好走率では「逃げ」や「先行」の数値が高いものの、芝全レースと大きな差はなく、一般的な範疇における前有利の傾向と言えそうだ。ただし、回収率では「中団」や「後方」の数値が芝全レースより高く、後ろから差してくる馬が穴をあけるケースも想定しておきたい。
表5は前走着順別成績。大半のケースで昇級戦となる前走1着馬は、単勝回収率の高さが際立つ。前走2着馬はさすがに安定して走っており、単複の回収率も90%台と水準を超えてきた。それ以上に目を引くのが、前走5着馬、前走6~9着馬、前走10着以下馬の回収率の高さで、前走で大きい着順をとってしまった馬の巻き返しにも注意を払いたい。
表6は騎手別成績。各騎手の騎乗回数がそれほど多くないため傾向を読み取りづらいというのが正直なところだが、石橋脩騎手、柴田善臣騎手、北村友一騎手、勝浦正樹騎手あたりの数値が高くなっている。
表7は種牡馬別成績。ディープインパクトが頭ひとつ抜けた6勝を挙げてトップとなっているが、その倍の2着12回を記録している点には気をつけたい。たとえば、夏開催で組まれる3勝クラス・日本海Sのレース結果を見ても、集計期間内の5回で1勝に対して2着3回となっている。ディープインパクトの勝率が低いわけではないのだが、2着どまりのケースも想定しておいたほうがいいだろう。
ライタープロフィール
出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。
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