JRA-VANコラム
牝馬2強の一騎打ちか? 天皇賞(秋)を分析する
今週は東京競馬場で、天皇賞(秋)が行われる。ここからジャパンC、そして有馬記念へと続く、俗に言う「秋の古馬三冠」の第一関門となる一戦だ。今年は昨年の1、2着馬・アーモンドアイ、ダノンプレミアムや、春の天皇賞連覇を果たしたフィエールマン、そして宝塚記念を圧勝したクロノジェネシスなどが参戦予定。中でも牝馬2頭、アーモンドアイとクロノジェネシスが注目を集めそうだが、データから有力なのはどの馬か。JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して、過去10年の傾向を中心に分析したい。
過去10年、1番人気が【5.2.1.2】複勝率80.0%と安定しており、特に近5年では4勝と高確率で勝利を手にしている。次いで5番人気が過去10年で3勝を挙げているが、ここ5年は3着以内の好走なし。6番人気が近5年で3着4回と健闘を見せている。連対馬20頭中19頭、3着以内馬30頭中28頭が7番人気以内と、穴馬には大きな期待をかけづらいレースだ。
性別では牡・セン馬の複勝率16.1%に対し、牝馬は同38.5%と牝馬優勢だ。優勝した牝馬2頭、ブエナビスタ(2010年)とアーモンドアイ(昨年)はともに4歳馬。牝馬の年齢別成績は過去10年ではデータ不足の感もあるが、JRA-VAN Data Lab.でデータが提供されている1986年以降で調べると、4歳牝馬【4.2.2.10】勝率22.2%、5歳牝馬【1.1.2.15】同5.3%と、やはり4歳牝馬が好成績を残していた。
一方、牡・セン馬は5歳馬が6勝を挙げ、勝率13.6%。4歳馬は2勝で勝率5.3%にとどまるが、連対率と複勝率は5歳馬を上回っている。牡・セン馬は1着候補ならまず5歳馬、2~3着候補なら4歳馬に注目したい。なお、6歳以上の馬は牝馬も含め全体で【0.0.1.59】と苦戦している。
枠番別の成績は7~8枠が計【0.2.4.47】と、東京芝2000mでは不利と言われる外枠からは優勝馬が出ていない。ただ今年は、特別登録の段階でも12頭と落ち着いた頭数でのレースになる。そこで馬番別の成績を調べると、12頭立てなら7~8枠に該当する馬番9~12番(除外などがない場合)は合計で【2.4.2.32】複勝率20.0%と、決して悪い成績ではない。今年は外枠だからといって割り引く必要はなさそうだ。
全体を見渡すと7~9番の馬が計【4.5.2.18】連対率31.0%、複勝率37.9%の好成績。12頭立て(13頭から1頭除外)で行われた一昨年も、9番サングレーザーが2着に入っている(1着は4番レイデオロ、3着は10番キセキ)。
3着以内馬30頭はすべて、前走で中央競馬のG1またはG2に出走していた。この30頭中11頭は毎日王冠組だが、出走数が多いため好走確率はやや低め。宝塚記念組が好走馬7頭で続き、こちらは複勝率30.4%をマークする。また該当馬こそ少ないものの、安田記念組が【1.2.0.3】で連対率50.0%の高率を記録しているのも見逃せない。
なお、京都大賞典組の好走馬1頭は2015年のラブリーデイで、鳴尾記念、宝塚記念、京都大賞典と、G1を含む重賞3連勝中。天皇賞(春)以来の出走で3着に食い込んだ2011年のペルーサは、前年秋の天皇賞で2着に好走した実績があった。
好走馬の多い毎日王冠組を調べると、同レース3着以内だった馬は【2.1.4.14】複勝率33.3%、4着以下は【1.2.1.28】同12.5%と、毎日王冠で馬券圏内を確保した馬のほうが好走確率はかなり高い。毎日王冠4着以下から天皇賞(秋)で3着以内に巻き返した4頭のうち、3頭は芝2000mのG1(海外含む)で3着以内の好走実績があり、残る1頭・2010年のペルーサは芝2000m3戦全勝(同距離G1未経験)だった。
また、毎日王冠組の好走馬11頭中10頭は同レースが休養明けで、残る1頭・2013年のジャスタウェイは関屋記念から中7週。毎日王冠から天皇賞(秋)は中2週になるが、その前にゆったりと間隔をとっている馬が好走馬の中心になる。
宝塚記念組の好走馬は表6の7頭で、レインボーラインを除く6頭は宝塚記念、天皇賞(秋)ともに上位人気に推された馬が占めている。また、その6頭はすべて過去1年以内のG1優勝を含む、G1・2連対以上の実績馬だった。唯一例外となるレインボーラインは、上記の2条件をクリアしていたキタサンブラック、サトノクラウンに続く3着止まり。まずはこの2条件を満たす馬を上位に考えたい。
最後に表7は安田記念組。該当馬が少ないため出走全馬を見てみたい。この組で連対した3頭、リアルスティール、アーモンドアイ、そしてダノンプレミアムはいずれもG1優勝実績馬かつ芝2000mの連対率100%。そのどちらか一方でも満たせなかったスーパーホーネット、サダムパテック、そしてスワーヴリチャードは8着以下と明暗が分かれている。安田記念組なら「芝2000m連対率100%」の「G1馬」が狙いだ。
【結論】
アーモンドアイ、クロノジェネシスの牝馬2頭が特に有力視されている今年の天皇賞(秋)。過去の傾向をみても、安田記念組のアーモンドアイ、宝塚記念組のクロノジェネシスそれぞれ、表7、6の好走条件を満たしている。2頭に差が出るのは馬番(表3、本稿執筆時は未確定)のほか、当日の人気(表1)と年齢(表2)になる。
人気面ではアーモンドアイが1番人気に推されそうだが、その1番人気馬は過去10年で5勝、特に近5年では4勝の好成績。対して2番人気は過去10年【1.3.2.4】と勝ち切れず、人気からはアーモンドアイのほうが優勝に近そうだ。ただ、アーモンドアイは昨年からひとつ年齢を重ね5歳(過去10年勝利なし)になったのに対し、クロノジェネシスは過去10年で2勝を挙げている4歳牝馬。表2本文でも触れたように、1986年以降でみても牝馬は5歳より4歳のほうが好成績を残しており、年齢からはクロノジェネシスが上位になる。最終的には枠順抽選の結果までみて、どちらに重きを置くか決めたい印象だ。
もしこの2頭をまとめて破る馬がいるとすれば、過去10年で最多の6勝を挙げる5歳牡馬・ダノンプレミアム。4歳時の昨年はアーモンドアイに独走を許す2着だったが、5歳になった今年は、馬券に絡むところまで食い込めれば勝利のチャンスも十分にある(表2)。2走前に豪G1で3着に敗れ、表7の「芝2000m連対率100%」は満たせなくなったものの、海外G1を含む3着内率100%ならこれに準ずる成績と考えていいだろう。その他では、休養明けの毎日王冠で2着(表5)に好走したダイワキャグニーが穴候補だ。
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