JRA-VANコラム
阪神開催となるファンタジーSを分析する!
京都競馬場が改修工事に入るため、今週から関西での開催は阪神へと舞台を移す。阪神競馬開幕週の土曜メインは2歳牝馬による重賞、ファンタジーS。一昨年はダノンファンタジー、昨年はレシステンシアがこのレースを制して、続く阪神JFも優勝。暮れの大一番に向けて、注目の一戦だ。今回は阪神での施行ということで、阪神芝1400mにおける2歳戦のデータからファンタジーSを分析していきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
2015年以降、阪神芝1400mの2歳戦は、全馬初戦でペースが緩みがちな新馬戦を除くと、のべ39レース行われ、全体の複勝回収値が110円と穴馬が激走しやすいコースとなっている。
まず表1は阪神芝1400mで行われた2歳戦の枠番別成績。大外の8枠が最多の8勝をあげて勝率トップだが、連対率・複勝率では内の1~4枠が総じて高い。特に最内の1枠に入った馬が連対率21.2%・複勝率30.8%でトップだ。今春同じ阪神芝1400mで行われたフィリーズRでは馬番1~7番の馬が上位7着までを独占し、明らかに内枠有利の状況だった。
今年は9月の阪神開催がなかったため、7月19日以来約3か月半ぶりとなる。内ラチ沿いの状態が良いことが予想され、なおのことコースロスなく立ち回れる内枠有利の状況が考えられる。とりわけ開幕週の馬場で内有利にはたらく可能性は考えておきたいところだ。
表2は脚質別成績。逃げ馬が勝率・連対率・複勝率いずれもトップで、単勝回収率・複勝回収率ともに優秀だ。昨年12月の開幕週に行われた1勝クラス・万両賞では松山弘平騎手のカリオストロが2着に5馬身差をつけて逃げ切り勝ち。ちなみに同馬は今春の橘Sを勝利し、先日の信越Sでも12番人気ながら2着と1400m巧者ぶりを見せている。
また、先行馬も複勝率39.0%と逃げ馬に迫る高い率を残している。逃げ・先行馬が好成績をあげ、差し・追い込みの勝率・連対率が低いことから、直線での瞬発力よりスタートから位置を取れるテンの速さやスピードの持続性が優位なコースであることがわかる。
表3は前走コース別成績。中京芝1400m組が最多の5勝をあげているが、3着以内馬8頭はすべて4番人気以内に支持されていた。阪神芝1400m組、阪神芝外回り1600m組、京都芝内回り1400m組がそれぞれ4勝ずつで並ぶが、黄色で強調した京都芝外回り1400m組が連対率45.5%・複勝率54.5%と抜けて高い率を残している。今回該当馬がいるか、ぜひチェックしておきたい。
対して、出走数最多の小倉芝1200m組は2勝のみで、好走しても2・3着止まりが多い。1200mから1ハロン延長、平坦から坂のあるコースへ替わるなど負担が大きいのだろう。
表4は種牡馬別成績。ロードカナロア産駒が最多の5勝をあげ、勝率27.8%と高い。今秋のスプリンターズSで2着と好走したダノンスマッシュも阪神芝1400mの未勝利戦を勝ち上がっている。出走数最多のダイワメジャー産駒が4勝で続き、ブラックタイド産駒が3勝と一発がある。
少数ながら複勝率が目立つのがキズナ産駒とタートルボウル産駒。ファンタジーSに限らず、2歳戦の阪神芝1400mで注目しておきたい。なお、ディープインパクト産駒は1勝のみで、連対率・複勝率16.7%と精彩を欠いている。
最後に表5は騎手別成績。ルメール騎手が最多の8勝をあげており、中には17年ききょうSにおけるタワーオブロンドンの勝利も含まれている。人気上位馬が多いのは確かだが、勝率53.3%はさすがとしか言いようがない。また、松山弘平騎手が6勝、川田将雅騎手が5勝をあげ、連対率も高い。両騎手ともにスタートから前の位置を取りに行く騎乗をしており、好結果につながっている。黄色で強調した上位3騎手が騎乗してくれば、ぜひ注目したい。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。
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