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JRA-VANコラム

近2年は相当な高速決着となったヴィクトリアマイルを展望

2021年5月13日 16:50配信
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一昨年はノームコアが1分30秒5の日本レコードを記録し、アーモンドアイが力を見せつけた昨年も1分30秒6と、近2年はかなりの高速決着が続くヴィクトリアマイル。今回はそのあたりにも着目しつつ、過去10年のデータから今年のレースを展望していきたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

表1は過去10年のヴィクトリアマイルの1着馬とその勝ち時計を示したもので、比較材料として1週前に同条件で行なわれるNHKマイルCの勝ち時計も掲載した。過去10年のヴィクトリアマイルでは稍重の17年と18年を除き、もっとも遅い勝ち時計でも1分32秒4と、良馬場ならまず確実に速いタイムが出ている。また、NHKマイルCがAコース3週目、ヴィクトリアマイルがBコース1週目というコース替わりの影響もあるのだろう、良馬場ならNHKマイルCより必ず速いタイムが計時されており、特に近2年は2秒近くも速い驚異的なタイムが出ている。

今年もコースの設定は同様で、NHKマイルCの勝ち時計は1分31秒6。これより2秒速い時計が出るかはともかくとして、今年のヴィクトリアマイルも良馬場なら高速決着を想定していいのではないか。

タイムとは別に、表1に関してもうひとつ指摘しておきたいことがある。13年と14年にヴィルシーナ、15年と16年にストレイトガールがそれぞれ連覇。このうちストレイトガールは、連覇する以前の14年も3着に好走していた。ほかにも、12年1着のホエールキャプチャは翌13年も2着、18年1着のジュールポレールは前年の17年に3着、19年1着のノームコアも翌20年に3着と複数回の好走を記録する馬が多く、いわゆるリピーターには注意を払いたいところだ。

■表1 過去10年のヴィクトリアマイル1着馬と勝ち時計

表2は、1分30秒台で決着した近2年の1~3着馬と、それらの馬が出走以前のレース(芝1600~2000m)で1着したときの最速タイムを示したもの。クラスや年齢がまちまちで単純な比較は難しい面もあるが、近2年の1~3着馬はすべて一定以上の速いタイムで勝った実績を持っていたことがわかる。これを参考にすると、芝1600mは1分32秒台、芝2000mは1分58秒台前半での1着実績は欲しいところ。また、クロコスミアの1分45秒7(芝1800m)は時計が出づらい洋芝(函館)で記録したもので、北海道を除く8場であればもう少し速いタイムが目安となるだろうか。

■表2 近2年の1~3着馬および1着時最速タイム

表3は人気別成績。上位人気の成績がそれほどよくなく、1番人気から7番人気まで好走率は横並びと言ってもいいぐらい。単勝オッズでいえば7~20倍の馬が計6勝を挙げており、幅広く勝利のチャンスがありそうだ。さらに10番人気以下から3着以内に入った馬も6頭おり、人気薄も侮れない存在感を示している。

■表3 人気別成績

表4は当日の馬体重別成績。大きく「460キロ未満」と「460キロ以上」に分けたとき、後者のほうが好走率はやや高く、1着馬も後者から延べ7頭が出ている。ただし、500キロ以上は2着が1回だけと、あまり大きすぎると結果が出ていない点には気をつけたい。

■表4 当日馬体重別成績

表は前走着順別成績。注目すべきは、過去10年で前走1着馬が1勝もしていないことだ。前走1~3着馬に広げても、17年にアドマイヤリードが勝った例があるだけ。複勝率や複勝回収率ベースでいえば、前走3~5着の数値が高い傾向は見られるものの、計6勝の前走6着以下を無視することもできない。ヴィクトリアマイルは前走着順を当てにしづらいG1と言えそうだ。

■表5 前走着順別成績

今年のヴィクトリアマイルで人気を集めそうなのが、昨年マイルG1春秋連覇を果たしたグランアレグリア。「三階級制覇」を目指した今年初戦の大阪杯は4着に敗れたものの、表5の項で見た前走1~3着馬は過去10年で1勝というデータを思えば、むしろ前向きになれるぐらい。大阪杯組の好走率は高く、昨年の安田記念を1分31秒6で制したように高速決着も問題ない。予想される1番人気が強いレースとは言えないのだが、とはいえ有力な1頭には違いない。

レシステンシアは阪神JFを2歳コースレコードの1分32秒7で制し、2走前の阪急杯でもコースレコードを記録と、こちらも高速決着には強い。前走2着の高松宮記念があまり直結しないレースであることと、ダイワメジャー産駒が【0.0.0.8】というデータはあるものの、跳ね返してふたつめのG1タイトルを狙いたい。

ほかに速い時計で勝ったことがある馬といえば、スマイルカナ(芝1600m・1分32秒7)、ダノンファンタジー(芝1800m・1分44秒4)が挙げられる。ともに前走でふたケタ着順を喫したものの、巻き返しが多いレースであることは表5の項で確認した通りでチャンスはあるだろう。もちろん阪神牝馬Sを1分32秒0で勝ったデゼル、ダービー卿CTを1分32秒6で勝ったテルツェットも忘れてはいけない存在だが、鬼門とも言える前走1着のデータを覆せるかどうか。

そのほか、好走率の高い阪神牝馬S2~5着に該当するマジックキャッスル、プールヴィル、エーポスの3頭に、繰り返し好走する馬が多いことから昨年2着のサウンドキアラにも注意しておきたい。

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