JRA-VANコラム
連覇濃厚で堅い決着か!? 安田記念を分析する
今週は東京競馬場で安田記念が行われる。春の東京開催・G1シリーズのラストを締めくくる、芝のマイル王者決定戦だ。注目は何と言ってもグランアレグリア。前走ヴィクトリアマイルを圧勝し、この条件では「敵なし」の印象をあらためて植え付けた。本競走を勝てば連覇で、G1は6勝目となる。この一戦を、いつものようにデータで分析してみたい。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
表1は過去10年の安田記念で3着以内に好走した馬の一覧。人気や性別、年齢、自身の上がり3ハロン、脚質、前走レース名・着順を記載した。好走馬30頭を見渡してまず気づくのが、複数回(主に2回)好走している馬がとても多いという点だ。成績がいい馬から拾っていくとロゴタイプ、モーリス、ストロングリターンが1勝2着1回の実績。インディチャンプは1勝3着1回。グランプリボスとアエロリットは2着2回、ショウナンマイティとアーモンドアイが2着1回3着1回という成績。つまり8頭もの馬が2回馬券に絡んでいた。これはかなり特徴的な傾向だと感じる。
興味深いのは人気面で、上位人気での好走ばかりではないということ。特に14年は2着グランプリボスが16番人気、3着ショウナンマイティは10番人気で好走した。前者は12年の本競走で2着、後者は13年の本競走で2着と好走していたにもかかわらず、14年では大きく人気を落としていた。近走の成績が悪いと買いづらくなるが、基本的には「東京芝1600mがベスト」というスペシャリストが多いため、コース替わりで一変するケースを常に想定したほうがいいだろう。
性別は最近になって傾向が変わった。以前は牡馬が上位を占めていたが、18年以降は牝馬が毎年馬券に絡んでいる。また、年齢の傾向も変化。以前は5歳、6歳馬の活躍が目立っていたが、過去3年は4~5歳馬が上位を独占している。過去10年でみた場合、17年以前とは明らかに違う流れができている雰囲気だ。
上がり3ハロンはメンバー中1位(表内は黄)だった馬が9頭、同2位(表内は水色)は4頭、同3位(表内は緑)は5頭と、鋭い瞬発力を発揮した馬が好走しやすいのは確かだ。上がり3位以内は18頭となり、好走馬全体の6割を占めている。一方で、逃げ~先行馬も割と馬券に絡んでいる。ただ、中団~後方の馬が上位3頭を占めることはあっても、逃げ~先行馬が占めるケースはなかった。やはり直線が長い東京でペースも速くなりやすいので、差し~追い込み馬は必ず1頭飛んでくると考えるべきだろう。このあたりの傾向は、17年以前と最近とで差はあまりない印象だ。
前走レースをチェックするとマイラーズC組が7頭と最も多い。しかし、勝ったのは19年インディチャンプ1頭だけで残りの6頭は3着だった。前走京王杯スプリングC組は6頭いて勝ち馬2頭と、2着馬3頭、3着馬1頭を出している。前走ヴィクトリアマイル組は2着が3回と、勝っていない点は気になるが近3年連続で連対している。
あとは高松宮記念、ドバイデューティーフリー(現ドバイターフ)、NHKマイルCなど、前走G1組を中心に連対馬が良く出ている。ロードカナロアやジャスタウェイ、レッドファルクス、スワーヴリチャードなど、別の距離カテゴリーのチャンピオンには特に敬意を払うべきだと感じる。
それでは今年の安田記念のメンバーを見ていこう。出走予定馬は表2の通りだ。
本競走の連覇を狙うグランアレグリアは前走ヴィクトリアマイルを制してG1・5勝目を飾った。昨年はあのアーモンドアイを2着に下して勝利しており、東京芝1600mはとにかく強い。16年は連覇濃厚とみられていたモーリスがロゴタイプに逃げ切りを許して2着と敗れているように、競馬は何があるかわからない。しかし、アクシデントなどがない限り、グランアレグリアの中心は揺るがないとみたい。
インディチャンプはすでに2回、本競走で馬券になっている。昨年秋のマイルチャンピオンシップでは2着と、マイルG1ではグランアレグリアに迫る力を持っている。今年6歳になったが、今回も有力と考えたい。
もしこの2頭が馬券に絡むとなると、上位入線の枠は残り一つ。成績と年齢を重視すると、前走マイラーズC1着の5歳馬ケイデンスコール、前走京王杯スプリングC1着の4歳馬ラウダシオン、前走東京新聞杯1着の5歳馬カラテ、前走NHKマイルC1着の3歳馬シュネルマイスター、前走大阪杯5着でG1勝利(19年朝日杯フューチュリティS)の実績がある4歳馬サリオスと有力候補は多い。ペースが遅くなるのであれば、逃げ~先行馬に有利な展開になっても不思議はなさそうだが果たしてどうなるか。いずれの馬がきても人気サイドの堅い決着になりそうだ。
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