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JRA-VANコラム

混戦の菊花賞を制する馬は?

2021年10月21日 16:00配信
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2021/9/26 中京11R 神戸新聞杯(G2) 1着 5番 ステラヴェローチェ

今週日曜日に阪神競馬場で菊花賞が行われる。皐月賞馬エフフォーリアやダービー馬シャフリヤールが不在となる点は寂しいが、その分複数の馬に勝つチャンスがありそうで、予想も楽しみな一戦となった。例年レースが行われる京都芝3000mとは違うコースになるが、いつものように過去10年のデータを分析し、今年の菊花賞を占っていきたい。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

■表1 過去10年の菊花賞の前走レース別成績

まずは過去10年(以下、同様)の菊花賞の前走レース別成績(表1参照)を見ていこう。前走神戸新聞杯組が8勝2着5回3着4回と好走馬の過半数を占めた。前走セントライト記念組に比べると、好走率が高いことは一目瞭然だ。前走日本ダービー組の好走馬は1頭もいないが、前走ラジオNIKKEI賞2着だったフィエールマンと、前走札幌記念3着だったレインボーラインが好走している。前走トライアル組以外でも、夏場に芝中距離重賞で好走した馬は軽視しない方が良さそうだ。

また、前走2勝(1000万)クラス組も5頭好走している。勝つのはかなり難しいだろうが、3着以内なら十分チャンスがありそうだ。

■表2 前走神戸新聞杯組の前走着順別成績(過去10年)

表2は前走神戸新聞杯組の前走着順別成績。前走神戸新聞杯1着馬が5勝と抜群の好成績。菊花賞ではすべて1番人気に支持され、2014年ワンアンドオンリー(9着)以外は馬券に絡んでいる。前走神戸新聞杯2着馬も連対率50.0%、複勝率60.0%と好成績。前走神戸新聞杯3着馬も2勝2着1回と連対馬が3頭出ている。基本的に前走神戸新聞杯組は3着以内に入っている馬が有力だ。4着以下に敗れていた場合は厳しくなり、6着以下だった馬が巻き返したケースはない。

■表3 前走セントライト記念組の前走着順別成績(過去10年)

続いて表3は前走セントライト記念組の前走着順別成績。前走セントライト記念1着馬は、15年キタサンブラックだけが勝ち、その他の馬は4着以下に敗れている。前走神戸新聞杯1着馬に比べると、だいぶ成績が悪い。また前走セントライト記念2着馬の方が同1着馬よりも、連対率や複勝率は高かった。前走セントライト記念3着以下はかなり不振。17年のクリンチャー(セントライト記念9着→菊花賞2着)しか、本番で巻き返した例はない。クリンチャーは当時、重賞勝ちの実績はなかったが、皐月賞で4着と善戦していた。前述のキタサンブラックも皐月賞では3着と好走しており、20年サトノフラッグ(セントライト記念2着→菊花賞3着)も皐月賞は5着と善戦していた。前走セントライト記念組は前走着順も重要だが、皐月賞で好走・善戦しているか、という点もチェックしておきたい。

■表4 前走2勝(1000万)クラス組の前走距離別成績(過去10年)

表4は前走2勝(1000万)クラス組の前走距離別成績。前走1800~2000m組が18頭いて1頭も3着以内に入っていない点に注目だ。一方、前走2200m組は2着1回3着2回で複勝率は60.0%と高い。たった1ハロンの差だが、2000m組と2200m組とでは大きく違うことがわかる。前走2400mと2600m組からは3着馬が1頭ずつ出ている。前走2500m組の好走馬はいないが、昔であれば好走例(04年デルタブルース)がある。基本的に長めの距離(2200m以上)を使われている馬の方がいい。

■表5 菊花賞で好走した前走2勝(1000万)クラス組の馬(過去10年)

表5では菊花賞で好走した前走2勝(1000万)クラス組の馬を詳しく記した。昨年2着のアリストテレスや、13年3着バンデはまずまず人気を集めていたが、17年ポポカテペトルは13番人気、18年ユーキャンスマイルは10番人気と前評判は低かった。前走のレース内容がいい馬だけが有力、というわけではなく、伏兵馬が飛んでくる可能性も十分ある。また、好走馬全5頭は2勝クラス→菊花賞と、形の上では昇級戦になるが、春にダービートライアルなど日本ダービーの前哨戦を経験していた。特にゴールドアクターやポポカテペトルは、青葉賞で4着と善戦していた。上がり馬とはいえ、重賞・リステッド競走の経験が全くない場合は、厳しいかもしれない。

【結論】

それでは今年の菊花賞を占っていくことにする。出走予定馬は表6の通りだ。

■表6 今年の菊花賞出走予定馬

フルゲート18頭。※は抽選対象。

今年も神戸新聞杯は中京芝2200mで行われ、なおかつ極度の不良馬場となったが、好走した馬に関しては素直に評価してみたいところ。勝ったステラヴェローチェと、2着レッドジェネシスがまずは有力だろう。かなりタフなコンディションでレースをしたので、疲労が残っていたり反動があったりすると心配だが、力を振り絞って最後の1冠に臨んでほしい。神戸新聞杯3着のモンテディオは前走、1、2着馬とは0.5秒差という内容だった。それほど離されていないし、阪神芝3000mも合いそうだ。人気はないかもしれないが、有力とみる。

前走セントライト記念組の取捨は難しい。勝ったのはアサマノイタズラだが、皐月賞は16着と惨敗している。セントライト記念2着のソーヴァリアントは今回不在で、同3着オーソクレースは今春、休んでいた。タイトルホルダーはセントライト記念で13着と敗れたが、最後の直線で不利があった。皐月賞で2着と好走した地力があるだけに、巻き返してくる可能性がありそうだ。

ヴァイスメテオールは前走ラジオNIKKEI賞で重賞初制覇。菊花賞トライアルは使わず、ぶっつけ本番になったが警戒したい。前走2勝クラス組の中ではヴェローチェオロをマーク。前走は阪神芝2200mの2勝クラス・三田特別を勝った。春は京都新聞杯で5着と、ダービー前哨戦の経験がある。

ライタープロフィール

小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。

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