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JRA-VANコラム

阪神芝1600m・G1の近年の傾向とは?

2021年11月18日 16:00配信
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2020/11/22 阪神11R マイルチャンピオンシップ(G1) 1着 4番 グランアレグリア

今週は日曜日に阪神競馬場でマイルチャンピオンシップ(マイルCS)が組まれている。昨年に続き、京都ではなく阪神を舞台にレースが行われることになる。今回は、2018年以降に同コースで行われたG1を振り返り、今回の予想のヒントになりうるデータを探っていきたい。対象レース数は桜花賞4つ、阪神ジュベナイルフィリーズと朝日杯フューチュリティSがそれぞれ3つ、マイルCSが1つの合計11レースだ。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

■表1 阪神芝1600mで行われたG1の好走馬(2018年以降)

表1は2018年以降に阪神芝1600mで行われたG1の好走馬一覧。まず気が付くのは、1~2番人気が非常に強いということ。1番人気と2番人気がともに好走したレースが、11レース中8つもあった。残り3つのレースのうち19年桜花賞は2番人気グランアレグリアが1着、3番人気クロノジェネシスが3着だし、20年マイルCSは1番人気グランアレグリアが1着、3番人気インディチャンプが2着と上位人気が2頭馬券に絡んだ。19年阪神ジュベナイルフィリーズだけ、1~2番人気が4着以下に敗れたレースだった。

対象となったこの11レースの1番人気成績は【4.3.2.2】(勝率36.4%、連対率63.6%、複勝率81.8%)、2番人気成績は【5.4.0.2】(勝率45.5%、連対率・複勝率81.8%)と好走率が非常に高い。外回りコースを使用する阪神芝1600mは、力を発揮しやすいコースとはいえ、かなり特徴的な傾向が出ていると感じる。

また、好走馬の4コーナーの位置取りと、上がり3ハロンの関係にも興味深い傾向が出た。4コーナーで5番手以内にいた馬と、上がり3ハロンがメンバー中3位以内(表組内で1位は黄色、2位は水色、3位は黄緑色)の馬が両方馬券に絡むケースが多い。言い変えると、逃げ~先行と差し~追い込み、どちらのタイプも3着以内に入っている。

例えば、今年の桜花賞は4コーナー3番手のソダシが抜け出して勝利し、2着には4コーナー16番手にいたサトノレイナスが、メンバー中最速の上がり3ハロン32秒9の末脚を使って追い込んだ。20年朝日杯フューチュリティSは4コーナー2番手のグレナディアガーズが押し切り、2着には上がり3ハロン33秒5の決め手を使ったステラヴェローチェが入った。また、20年阪神ジュベナイルフィリーズ、19年桜花賞も好位から抜け出した馬が勝ち、4コーナーで後方にいた馬が凄い脚を使って追い込み、2、3着に食い込んだ。近年の阪神芝1600mは、このような展開のレースになりやすいようだ。

昨年のマイルチャンピオンシップを振り返ると、4コーナー5番手のグランアレグリアが勝ち、同馬とほぼ同じ位置にいたインディチャンプが2着、4コーナー2番手のアドマイヤマーズが3着と、4コーナーで5番手以内にいた馬が上位を独占した。しかも、1、2着馬は上がり3ハロンでメンバー中2位をマーク。前にいた馬にこの脚を使われては、後ろに構えていた馬たちはお手上げだ。18年朝日杯フューチュリティSも4コーナーで4番手以内にいた馬が上位を占めた。このように先行馬同士で決まり、差し~追い込み馬がノーチャンス、というレースも出てくることがある。特にペースが遅くなると、そうなる可能性が高まるだろう。

■表2 2020年マイルCSの馬番順成績

レースラップ:12.5-11.0-11.4-12.0-11.6-11.0-10.8-11.7

前半800m:46.9、後半800m:45.1、後半600m:33.5

表2は昨年のマイルCSの馬番順成績。枠順が勝敗の明暗を分けたという意味で、こうした表記にしてみた。この競走はレースの前半800m通過が46秒9、後半800m通過が45秒1というペースとなり、後半600mは33秒5と上がりが速かった。スローペースで馬群は一団となり、外々を回らされた馬にとってはかなり厳しい展開だった。例えば、8枠17番のスタートだったサリオスは、上がり3ハロン33秒1とメンバー中最速の脚を使ったが、5着に上がるのが精一杯だった。一方、1着グランアレグリアは2枠4番、2着インディチャンプは4枠8番、3着アドマイヤマーズは4枠7番と、上位勢は真ん中よりも内の枠にいた。もし今年のマイルチャンピオンシップもスローペースになったとしたら、枠順がレース結果に大きく影響を及ぼすかもしれない。

【結論】

それでは今年のマイルチャンピオンシップを占っていくことにする。出走予定メンバーは表3の通りだ。

■表3 今年のマイルチャンピオンシップ出走予定馬の近2走成績

レース展開・ペースの予想は難しく、なかなか思い通りにはならないものだが、メンバーの近2走成績をもとに予測してみたい。近2走両方でオープンクラスのレースを走り、逃げもしくは先行していたのはホウオウアマゾンロータスランド。前者は前走スワンS3着で、3走前はアーリントンカップを4コーナー2番手から抜け出して勝利している。後者は2走前に関屋記念を勝ち、4走前は米子Sで4コーナー3番手から抜けて勝っている。近走重賞で好走していて、なおかつオープンクラスの阪神芝1600mで勝ち鞍もある。G1で好走実績はないが、今回も先行する可能性が高い馬として注目してみたい。

一方、実績上位で上位人気に支持されそうな馬には、近2走で差し~追い込みの競馬をしている馬が目立つ。シュネルマイスターは2走前の安田記念が差しで3着、前走毎日王冠は追い込んで勝った。グランアレグリアは前走天皇賞(秋)が2000mなので先行したが、2走前の安田記念は追い込んで2着。マイル以下のレースでは差し~追い込みの作戦をとるケースが多い。インディチャンプも近2走は差しで善戦している。

典型的な追い込み馬のカテドラルは前走京成杯オータムハンデキャップで重賞初制覇を果たし、勢いに乗っている。サトノウィザードは重賞未勝利だが、近2走ともに追い込んでメンバー中最速の上がりをマーク。前走富士Sではソングラインとクビ差の2着だった。こうしてみると、鋭い決め手を持つ馬は目移りするので選ぶのが難しい。レース本番では特にグランアレグリアシュネルマイスターが有力視されそうで、その点について異論はないが、3着以内の候補としては逃げ~先行馬にも注意したい。

例えば、グレナディアガーズは2走前のNHKマイルCでは先行して3着、昨年の朝日杯フューチュリティSでは4コーナー2番手から抜け出して勝っているだけに、今回も先行策をとる可能性が十分ありそうだ。同馬に加えて、前述したホウオウアマゾンとロータスランドの3頭は、有力な先行馬として注目してみたい。

ライタープロフィール

小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。

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