JRA-VANコラム
実力馬の激突! チャンピオンズCを分析する
中京競馬場のダート1800mを舞台に行われるチャンピオンズC。2000年にジャパンCダート(東京ダート2100m)として創設されたレースで、2008年から阪神ダート1800mで、そして2014年からは現行のチャンピオンズCと名称を改め中京競馬場で行われている。創設当初のウイングアローやクロフネをはじめ、カネヒキリやホッコータルマエなど多くの名馬が制してきたこの一戦を分析してみたい。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用し、集計対象は中京で行われた過去7年とした。また便宜上、表や本文の「G1」には「Jpn1」を含むものとする(G2以下も同様)。
過去7年の人気別成績をみると、1番人気は【1.3.0.3】で連対率57.1%を記録するが3着がなく複勝率も57.1%止まり。2番人気は勝てなければ馬券圏外で、複勝率が71.4%と高い3番人気は勝ち鞍なし。その他の人気も含め、これといった決め手に欠けている。
そこで単勝オッズ別の成績を調べると、5倍未満や7~14倍台(~19倍台)が好成績だった。ただ大きなくくりでみると、単勝70倍未満でさえあれば【7.7.7.61】で複勝率25.6%、単複の回収率は147%・102%になる。仮に「単勝4.9倍以下」と「7.0~14.9倍」に絞ったとしても多数の馬が該当する年があるだけに(2017年には7頭)、極端な人気薄を除けばあまり人気や単勝オッズにはこだわらなくても良さそうな印象だ。ただし、過去7回中6回で8番人気以下の馬が少なくとも1頭は馬券に絡んでいることは覚えておきたい。
年齢別では3、5、6歳が複勝率25.0%~28.0%の範囲に収まっているのに対し、4歳は【1.0.1.23】で同8.0%と大不振。2014年にはその年のダートG1で3勝を挙げていたコパノリッキーが1番人気で12着、昨年は連覇を狙ったクリソベリルがやはり1番人気で4着に敗れるなど、5番人気以内に支持された馬がことごとく連対を外している。また、7歳以上のベテラン馬も苦戦傾向にある。
前走別で3着以内馬を出しているレースのうち、今年の登録馬が該当するのはJBCクラシック、南部杯、みやこS、武蔵野S、そしてJBCスプリントの5競走になる。
過去7年の全出走馬109頭中106頭が前走で1600m~2100m戦に出走していた中、JBCスプリント(該当馬2頭の年はともに大井1200mで施行)が異彩を放つが、この組で3着に好走したコパノリッキー(2017年)は2000mでJBCクラシックや帝王賞を制し、この中京1800mでは東海S圧勝という中距離実績があった。なお、本年該当馬不在のレースも含め、優勝馬7頭中6頭は前走G1組から出ており、残る1頭は本競走と同距離のG2(日本テレビ盃)。前走G3組は好走しても2~3着止まりだ。
前走レース別で3着以内馬をもっとも多く出すJBCクラシック組の好走馬は表4の6頭である。このうち4頭は既にG1を制しており、残る2頭はG1で複勝率100%だった。この組は同レース1着馬(本年は不在)が【0.1.0.6】と振るわず、2~4着馬が【3.0.2.10】複勝率33.3%。そして5着以下だった馬は【0.0.0.8】と好走がない。また、ダートG1には1600m戦や2000~2100m戦が多いため1800m前後への出走機会が少ない馬もいるが、この6頭はいずれも1800~1900mで重賞を制していた。一昨年には、過去1年のG1で2勝を挙げていたオメガパフュームがこの条件を満たしておらず、6着に敗退している。
好走確率が高い南部杯組の3着以内馬は5頭。こちらはJBCクラシック組にも増して前走着順がアテにならず、昨年は南部杯6着のゴールドドリームが2着に、そして同9着のインティが3着にと大きく巻き返している。この組は人気に応えてG1を制した実績があるか否かがポイントで、5頭はすべて1~2番人気でのG1制覇があった。昨年は南部杯(6番人気)でG1初制覇を果たしたアルクトスが9着に、2015年にはG1・3勝がすべて3番人気以下だったワンダーアキュートが6着に敗れた。
最後に表6は前走中央G3組の好走馬である。この組は勝ち鞍がなく好走確率も低めだが、昨年を除く6回で2~3着に絡んでいるため無視するのは危険だ。その好走馬7頭はすべて前走4番人気以内で、これに該当する馬は【0.4.3.25】複勝率21.9%、前走5番人気以下だった馬は【0.0.0.21】となる。また、G1出走経験があった4頭はそこで3着以内に入った実績があり、残る3頭はG1未経験。昨年2番人気6着のカフェファラオ、2014年4番人気10着のインカンテーションなどが「G1出走経験あり、馬券圏内なし」というパターンで馬券圏外に敗退している。そしてもう1点、重賞実績もチェックポイント。好走した7頭中6頭は重賞勝ち馬で、残る1頭・ウェスタールンドも2走前のシリウスSで2着。いわゆる「上がり馬」でも最低限、重賞連対実績くらいは必要だ。
【結論】
表3から今年の1着候補は前走JBCクラシック組か南部杯組から選びたい。登録馬のうち今年のJBCクラシック(表4)で2~4着に入っていたのは、3着チュウワウィザードと4着テーオーケインズだ。G1ではチュウワウィザードが昨年の本競走など、テーオーケインズは2走前に帝王賞を制覇。1800m~1900mでの重賞勝ちもあり、どちらも表4からは有力と言える。2頭の差がつくのは年齢(表2)で、テーオーケインズは不振の4歳馬。この2頭では6歳のチュウワウィザードが上位で、連覇の可能性も十分にある。
一方、南部杯(表5)からの直行馬はインティ1頭のみ。2019年のフェブラリーSを1番人気で制しており、「人気に応えてG1勝ち」という南部杯組の好走条件を満たす。ネックになるのは7歳という年齢(表2)だが、昨年は7歳の南部杯組・ゴールドドリームが2着に食い込んだ。そのゴールドドリームと同じく本競走で過去2回好走(近2年連続3着)している本馬にもチャンスはありそうだ。
前走G3組(表6)からは穴候補としてスワーヴアラミス(6歳)を挙げたい。前走4番人気以内(みやこS4番人気7着)、G1未経験、重賞優勝実績あり(本年エルムS、昨年マーチS)と表6の条件はすべてクリアしている。加えて、みやこS1番人気6着のクリンチャーも年齢(7歳)以外は問題ないため要注意だ。
ライタープロフィール
浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
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