JRA-VANコラム
無敗馬が激突! 朝日杯フューチュリティSを制する馬は?
今週は日曜日に阪神競馬場で朝日杯フューチュリティS(以下、朝日杯FS)が行われる。先週の阪神ジュベナイルフィリーズに続いて、2歳馬によるG1競走が組まれている。牡馬だけでなく牝馬も出走できるレースだが、実際には2歳牡馬のマイル王を決める一戦と言っていい。朝日杯FSが阪神芝1600mで行われるようになった2014年以降のデータを分析し、今年のレースを占っていきたい。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
※グレードなしの重賞を含む。
まずは2014年以降(以下、同様)の朝日杯FSの前走クラス別成績を調べた。前走G2組の【1.4.4.31】に対し、G3組が【2.3.1.14】という成績で、グレードが高いG2よりもG3の方が好走率は高かった。ただ、これは前走サウジアラビアロイヤルC組の成績が良すぎるのが要因なので、グレードの問題ではないかもしれない。
さらに前走G2・G3組の前走着順別成績を調べると(表2参照)、前走1着が【3.4.4.10】という好成績だった。17年ダノンプレミアムは前走サウジアラビアロイヤルC、18年アドマイヤマーズは前走デイリー杯2歳S、19年サリオスは前走サウジアラビアロイヤルCをそれぞれ勝ち、連勝で朝日杯FSを制した。そして、前走2着の成績は【0.1.1.10】となっていて、前走1着とは大きな差があることがわかる。前走2~4着あたりはあまり差がないと考えるべきかもしれない。ただ、前走6着以下に敗れていると、巻き返すのはかなり厳しそうだ。
表1に戻り前走オープン特別組(グレードがつかない重賞を含む。以下同様)の成績を見ると、【0.0.1.15】で連対馬が出ていない。表3は前走オープン特別組の前走距離別成績だが、前走1600m組から3着馬が1頭出ている。この該当馬は14年のクラリティスカイで、前走は東京芝1600mのいちょうSを勝っていた。この年の同レースは、グレードがつかない重賞(15年にサウジアラビアロイヤルCと名称変更、16年にG3に格付け)だった。つまり厳密には、前走オープン特別に出走していた馬は、1頭も朝日杯FSで3着以内に入っていないということになる。表3の前走1400mのもみじSやききょうS、前走1800mのアイビーSや野路菊Sを走っていた馬はかなり苦戦している。
前走1勝(500万)クラス組の成績は【2.0.0.21】(表1参照)。複勝率は8.7%とかなり低いが、2頭の勝ち馬(14年ダノンプラチナ、16年サトノアレス)が出ている。表4は前走1勝(500万)クラス組の前走コース別成績だが、前走東京芝1600mの成績が【2.0.0.2】で、勝ち馬はともにベゴニア賞を勝っていた。前述したクラリティスカイにもあてはまるが、東京芝1600mの特別戦を勝利しているというのは、評価できるポイントと言えそうだ。
前走未勝利組の成績は【1.0.1.9】(表1参照)。2頭の好走馬が出ていて、勝率・連対率・複勝率はいずれも前走1勝(500万)クラス組よりも高い。好走馬は19年3着(14番人気)グランレイ、20年1着(7番人気)グレナディアガーズと近年連続で出ている点も要注意だ。前走未勝利組に関しては、前走2着馬とのタイム差に注目したい(表5参照)。グランレイは0.7秒差、グレナディアガーズは0.5秒差をつけて勝っていたのだ。一方、タイム差が0.2秒以下だった馬の成績は【0.0.0.8】となっている。前走未勝利組は、ある程度タイム差をつけて勝ってきた馬が有力だ。
また、前走新馬組の成績は【1.0.0.1】(表1参照)と数は少ないが、勝ち馬が出ている。15年にリオンディーズが1戦1勝ながら2番人気という高い支持を受けて勝利した。前評判が高い超良血馬がいた場合は、注目するべきだろう。
【結論】
それでは今年の朝日杯FSを分析する。出走予定馬は表6の通りだ。
キャリア2戦以上で無敗の馬がジオグリフ、セリフォス、ダノンスコーピオン、ドーブネ、ドウデュースの5頭というメンバー構成になりそうだ。そしておそらくレース当日はこれらの馬が上位人気に支持されるだろう。この中では前走でG2のデイリー杯2歳Sを勝っているセリフォスと、前走G3の札幌2歳Sを勝利したジオグリフがデータでは最有力。さらに言えば、今回の舞台と同じ阪神芝1600mの重賞を制しているセリフォスが有利に見えるが、果たして結果はどうなるか。
ダノンスコーピオンは萩S、ドーブネはききょうS、ドウデュースはアイビーSを勝っているが、前走オープン特別組の成績があまりにも悪いため、かなり狙いづらい。それならば前走デイリー杯2歳Sで4着と敗れたが、勝ち馬とは0.3秒差だったプルパレイの方がチャンスはあるかもしれない。また、前走京王杯2歳S2着だったトウシンマカオにも注目か。京王杯2歳Sで3着だったラブリイユアイズが、先週の阪神ジュベナイルフィリーズで2着と好走している。
前走1勝クラス組のなかで、前走東京芝1600mを勝っている馬はいなかった。また、前走未勝利組のなかで、目立ったタイム差をつけて勝っている馬もいなかった。今年は前走重賞組を除くと、魅力的な成績を持つ馬がいない印象だ。
ライタープロフィール
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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