JRA-VANコラム
ダービートライアル・青葉賞を分析する
今週土曜の東京競馬場ではダービートライアル・青葉賞が行われる。ここをステップに日本ダービーを勝利する馬はなかなか出てこないが、本番と同じコースで行われるトライアル競走として、主に皐月賞不出走の素質馬が多く参戦するレースだ。今回はそんな青葉賞の過去10年の傾向を、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して分析したい。
人気別では1番人気が【3.3.3.1】で複勝率90.0%を記録する一方、2番人気は【0.0.1.9】と対照的。その2番人気が不振である分は、3~7番人気の好走馬が多い印象だ。
また、2015年以降にかぎると優勝馬は6番人気以内、2着馬は7番人気以内、そして3着馬は8番人気以内に収まっている。3連単の配当は2012~14年がいずれも10万馬券以上だったのに対し、2015年以降は7回中5回が2万円台以下と近年は落ち着いた結果が多い。
馬番別の成績を見ると16~18番は好走がなく、多頭数の年に外枠を引いた馬は苦戦している。もう少し内の12~15番も勝利には手が届いておらず、複勝率も11.4%と低い。また、2014年にショウナンラグーンが優勝した11番も他の9頭はすべて馬券圏外のため、10番以内を目安にするのが良さそうだ。
続いて表3は前走クラス別の成績で、未勝利戦組やオープン特別組は不振。どちらも青葉賞で3番人気以内に推された馬が1頭もいなかった影響は多少ありそうだが、表1にあるように全体としては4番人気以下の好走馬も決して少なくないだけに、この未勝利戦組・オープン特別組は割引と考えて差し支えない。好走馬が多いのは1勝クラス(旧500万条件)組で【6.7.8.71】複勝率22.8%。重賞組は合計で【4.3.1.34】同19.0%と、複勝率では1勝クラス組が重賞組を上回っている(勝率、連対率は重賞組が上)。
その1勝クラス組について、前走の着順と距離別の成績を調べたのが表4である。一見してわかるように、前走1着馬と前走芝2200m以上出走馬が好成績で、この双方を満たす「前走芝2200m以上の1勝クラスで1着」だった馬は【5.6.6.20】で複勝率45.9%をマークしている。
そんな中でも特に注目したいのはディープインパクト産駒だ。青葉賞過去10年全体でのディープインパクト産駒は【3.2.5.22】で複勝率31.0%だが、「前走芝2200m以上の1勝クラスで1着」だったディープインパクト産駒は【3.2.3.3】で複勝率は72.7%にもなる。逆に、これ以外のディープインパクト産駒は【0.0.2.19】と振るわないことにも注意したい。
一方、前走重賞からの3着以内好走馬は表5の8頭である。うち6頭は前走の重賞で4着以内に入っており、この「前走重賞4着以内」馬は全体で【2.3.1.10】複勝率37.5%と安定している。
なお残る2頭・フェノーメノとゴーフォザサミットの前走は、どちらも中山の重賞で4番人気以内に支持されて6、7着だった。フェノーメノの前走・弥生賞は4コーナーで挟まれ、直線入り口で最後方まで下がってから盛り返したものの6着。ゴーフォザサミットはスプリングSで道中11~12番手(13頭立て)から上がり3ハロン2位タイの脚で追い上げたが7着だった。この重賞組で前走5着以下の馬を狙うなら、東京芝2400mの舞台に替わって巻き返せそうなレースをしていた馬に注目したい。
以上、青葉賞の過去10年の傾向を振り返ってみた。3着以内馬30頭中29頭は前走1勝クラス組か重賞組から出ており、特に1勝クラス組の好走馬が多い。その1勝クラス組では芝2200m以上のレースを勝ってきた馬、中でもディープインパクト産駒が抜群の好成績を残している。本稿執筆時点で登録馬はまだ発表されていないが、2月に中山芝2200mの水仙賞を制したディープインパクト産駒・ロードレゼルが出走するようであれば注目の欠かせない存在になりそうだ。
ライタープロフィール
浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
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