JRA-VANコラム
NHKマイルCのレース傾向と今開催の東京芝1600m戦の特徴は?
今週から東京競馬場を舞台に5週連続でG1が開催される。その第一弾は3歳マイル王決定戦、NHKマイルC。2012年以降の近10年で3連単の最低配当は昨年の2万1180円、10万円以上が過半数の7回と波乱傾向が強い一戦だ。今回はNHKマイルCのレース傾向ならびに今開催の東京芝1600m戦の特徴から馬券で狙える馬を探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
まず表1は2012年以降・近10年の人気別成績。1番人気馬は16年メジャーエンブレムら3勝をあげ、連対率40.0%・複勝率50.0%。2番人気馬が昨年のシュネルマイスターら3勝で、連対率50.0%・複勝率60.0%はともにトップだ。以下、3・6・9・10番人気馬が1勝ずつ。10番人気馬の勝利は13年マイネルホウオウで、同年は10→6→8番人気の順で3連単123万5600円の大波乱となった。
2・3着馬も下位人気まで幅広く分布し、6番人気以下は2着が5頭、3着が8頭と激走している。3→4→2番人気の順で決まった15年を除いて、毎年1頭は7番人気以下の馬が3着以内に入っている。冒頭にも記したが、近10年で3連単の最低配当は昨年の2万1180円で、10万円以上は過半数の7回と多い。伏兵馬の激走が目立ち、波乱傾向が強い一戦といえる。
表2は前走距離別成績。出走数の半数以上を占める前走1600m組が18年ケイアイノーテックら6勝をあげているが、連対率・複勝率は高くない。昨年は2着ソングライン(前走桜花賞15着)が該当しており、15年を除いて毎年1頭は3着以内に入っている。
黄色で強調した前走2000m組は昨年のシュネルマイスターら3勝をあげ、複勝率35.0%と優秀だ。この組の前走レース別では、皐月賞組【2.1.1.11】複勝率26.7%、弥生賞ディープインパクト記念組【1.0.1.1】同66.7%、京成杯組【0.0.1.0】同100.0%、若駒S組【0.0.0.1】となっている。
前走1800m組は勝ち星こそないものの、連対率・複勝率は前走2000m組に次いで高い。前走1400m組の勝利は一昨年のラウダシオン(前走ファルコンS2着)のみ。この組の3着以内馬4頭中3頭は前走ファルコンSで連対を果たしていた。
表3は前走人気別成績。前走1番人気馬が14年ミッキーアイルら5勝をあげ、連対率33.3%・複勝率41.7%と優秀だ。3着以内馬10頭中4頭は今回6番人気以下の伏兵で、単勝回収率・複勝回収率ともに200%を超えている。
前走2番人気馬は19年アドマイヤマーズら2勝をあげている。なお、前走3番人気馬からは3着以内馬が出ていないものの、4着は4回あるため、それほど気にしなくてよいのかもしれない。
ノーザンF生産馬は近10年【5.4.6.41】で、17年アエロリットら5勝をあげ、15年を除いて毎年1頭は3着以内に入っている。近3年では3着以内馬9頭中7頭をノーザンF生産馬が占めている。
表4は、そのノーザンファーム生産馬の前走競馬場別成績。前走阪神組が16年メジャーエンブレムら3勝をあげ、勝率・連対率・複勝率いずれもトップだ。なかでも前走阪神芝1600m組は【3.2.3.10】で複勝率44.4%と非常に高い。また、前走中山組は12年カレンブラックヒルら2勝。連対馬はすべて前走阪神か中山どちらかから出ている。
表5、表6は4/23から先週まで近2週に行われた東京芝1600m戦5鞍(未勝利戦2鞍、1勝クラス2鞍、2勝クラス1鞍)について分析したものだ。表5は脚質別成績。逃げ馬は2勝で、連対率・複勝率60.0%と好成績をあげている。連対した3レースはいずれも1勝クラス以上で、逃げ馬が残りやすい馬場状況にあることが読み取れる。
また、先行馬も2勝をあげ、複勝率43.8%と高い。5レースすべてで1頭は3着以内に入っている。近2週は勝ち時計が最速でも1分33秒5とそれほど高速化しておらず、逃げ・先行馬に有利な馬場状態だった。今週から高速化する可能性はあるが、先週までと同様の馬場状態なら前に行く馬を中心に考えたい。
表6は東京芝1600m戦の枠順別成績。勝ち馬は内・中・外とバラけているが、複勝率では黄色で強調した外の6~8枠が高い。1~5枠の複勝率が10%台なのに対して、6~8枠はいずれも25.0%以上。7番人気以下で好走した4頭は6枠、8枠から出ており、6枠と8枠の複勝回収率は100%を超えている。今週土曜の傾向も要注目だが、外枠有利のコース傾向だったことは頭に入れておきたい。
<結論>
今年の出走予定馬は表7のとおり。
1番人気に推されそうなのは前走朝日杯FSで2着だったセリフォス。これまで4戦すべて芝1600m戦で3勝、2着1回と安定しているが、気になるのは東京コースの経験がないこと。中内田厩舎で福永騎手騎乗と人気になるのはわかるが、人気先行の感は否めない。
ダノンスコーピオンは阪神芝1600mに良績が集中しており、唯一馬券圏外に敗れたのが東京の共同通信杯。東京コースが合わない可能性もありそうだ。
NHKマイルC近10年のレース傾向から推したいのがインダストリア。好成績をあげている前走2000m組、なかでも相性が良い前走弥生賞ディープインパクト記念組。前走は4コーナーで外に振られる不利がありながらも上がり最速の脚で5着。マイルの勝ち星があり、巻き返す可能性も十分だ。
近2週の東京芝1600m戦の傾向からはジャングロ。今回の出走予定馬で前走逃げた馬はこの馬のみ。逃げ得意の武豊騎手騎乗で、スムーズに逃げられれば押し切っておかしくない。他ではノーザンF生産馬で能力高いソネットフレーズ、穴で京王杯2歳S勝ちがあるキングエルメス、距離短縮で変わり身がありそうなダンテスヴューを挙げておきたい。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。
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