JRA-VANコラム
夏の北海道シリーズが開幕! 函館スプリントSを分析!
今年の北海道シリーズは通常通り函館→札幌の順番で開催が予定されている。したがって、今週日曜日に行われる函館スプリントSは2年ぶりに函館で行われることになる(21年は札幌で施行された)。いつものように過去10年のデータを分析し、レースの傾向を探っていくことにする。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
表1は過去10年(札幌開催だった21年は除く)の函館スプリントSの好走馬一覧。年齢や人気、前走レースの着順(入線)・4コーナー(角)の位置取りを記載し、さらに注目したい実績を備考に記した。まず、気づくのは1番人気があまり勝っていないということ。20年のダイアトニックしか勝利していない。一方で12年はロードカナロアが2着(単勝1.3倍)、19年はタワーオブロンドンが3着(単勝1.8倍)に敗退。また、14年はストレイトガールが11着(単勝1.6倍)と惨敗している。スプリントG1を勝つ力があるような馬が、単勝1倍台のオッズで続々と敗れているのだ。どんなに実績上位の馬であっても全く油断ができないレースだ。
表2は年齢別の成績。3歳は勝率・連対率・複勝率すべてで優れている。単勝回収率も310%、複勝回収率も243%と非常に高い。一方、7歳以上も単・複の回収率が100%を超えている。5歳は最多となる4頭の勝ち馬を出しているが回収率は低めだ。4歳は複勝率が38.9%と3歳の次に優秀だった。
続いて表3は前走クラス別成績。前走G1組が4勝を挙げていて、複勝率は30.6%でトップ。また、単勝回収率は236%、複勝回収率は179%と優秀だった。さらにレース別の好走馬数は高松宮記念組が4頭、桜花賞組・ヴィクトリアマイル組・NHKマイルC組がそれぞれ2頭、オークス組が1頭だった。高松宮記念組はシンプルに前走5着以内に入っていた馬が有力という印象。前述のダイアトニックは前走高松宮記念4着入線(繰り上がり3着)だった。一方、マイルのG1組の前走着順はあまり関係がなさそう。16年1着のソルヴェイグは前走桜花賞で17着に敗れていた。
仮にマイルG1で大敗していても、スピード能力が高くてスプリント戦に適性がある馬であれば、十分巻き返してくる可能性がある。例えば、15年に12番人気ながら3着と激走したレンイングランドは、前走NHKマイルCは逃げて(3角・4角を1番手で通過)16着と惨敗していた。しかし、芝1200mで2勝を挙げていたので、距離短縮が功を奏して好走したと言えるだろう。
表4は前走G1組の前走4角位置別成績。前走4角で1~3番手だった馬は勝っていないが、複勝回収率は高い。レンイングランドのような伏兵の激走が見込めるというわけだ。前走の4角位置が1/3頭以内(出走頭数に対して)だった場合、複勝率は46.7%と非常に高い。そして同1/2頭以内だと、単勝回収率が188%、複勝率が151%という結果だった。つまり前走G1組は前走着順よりも前走の4角位置に注目したいところ。中団よりも前目で競馬をしていた馬をマークした方がいい。
表3に戻って前走G2組を見ると、単勝回収率が217%と高い。レースの内訳は前走京王杯スプリングC組が多かった。同レース組も先行力を見せていた馬に注目。13年1着パドトロワは前走京王杯スプリングC14着だったが、3角・4角は2番手で通過していた。18年1着セイウンコウセイも前走京王杯スプリングCは12着だったが、3角は2番手、4角は3番手で通過していた。また、この2頭は前年の函館スプリントSにも出走していて、4着という成績だった。
同じような成績の馬が他にいないか調べてみたところ、17年3着エポワスや20年2着ダイメイフジがいた(表1の備考を参照)。15年2着アースソニックは前年の函館スプリントS6着だったが、勝ち馬とはわずか0.3秒差だった。
重賞では、前年の同レースで好走していた馬はリピーターとして注目されることが多い。しかし、本競走では3着以内に好走した馬だけでなく、善戦した馬もマークした方がいい。配当的にも魅力のあるケースが多く、人気薄でも決して軽視できない。また、前年に函館2歳Sを勝っていた馬も有力候補。14年にクリスマスが3着、19年はアスターペガサスが2着と好走している。前年の函館スプリントS善戦馬・前年の函館2歳S1着馬がいた場合は、かなり狙い目になることを覚えておきたい。
ライタープロフィール
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。
関連記事
注意事項
結果・成績・オッズなどのデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。
本サイトのページ上に掲載されている情報の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容の正確性および安全性を保証するものではありません。
当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、株式会社NTTドコモおよび情報提供者は一切の責任を負いかねます。