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JRA-VANコラム

4歳馬か東京実績馬か!? エプソムCを占う!

2022年6月9日 16:00配信
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今週は日曜日に東京競馬場でエプソムCが行われる。いつものように過去10年のデータを分析し、レースの傾向を探っていきたい。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

■表1 過去10年のエプソムC好走馬

表1は過去10年のエプソムCの好走馬。性別、年齢、人気、前走成績に加え、備考には注目したい実績を記載した。まず年齢では4歳の活躍が非常に目立つ。2014年を除き、毎年1頭は馬券に絡んでいる。

■表2 エプソムCの年齢別成績(過去10年)

表2はエプソムCの年齢別成績。4歳は【6.6.4.19】という成績で、勝率17.1%、連対率34.3%、複勝率45.7%ととても優秀だ。複勝回収率も197%と高かった。5歳は3頭の勝ち馬を出していて勝率は6.5%。6歳は連対率(11.8%)や複勝率(20.6%)では5歳を上回った。7歳以上は3着が2回だけで連対はゼロだった。したがって、まず4歳馬に目を向けて中心馬を探したい。

■表3 エプソムCの前走クラス別成績(過去10年)

続いて表3はエプソムCの前走クラス別成績。こちらも特徴的な傾向が出た。前走G2組の成績が【4.3.2.16】で勝率16.0%、連対率28.0%、複勝率36.0%とかなり優秀。単勝回収率114%、複勝回収率115%と馬券的にも魅力がある。前走G2組の前走レースを詳しく見ていくと、12年と13年に好走した4頭は前走マイラーズC組だった。しかし、14年以降は中山記念、京王杯スプリングC、阪神牝馬S、金鯱賞、前年の毎日王冠とレースはさまざまだった。前走着順も3着以内と限らず、着外からの巻き返しも十分ある。

前走OPEN(非リステッド)も1着4回、2着3回だが、単勝回収率34%、複勝回収率22%とかなり低い。前走G1組は勝ち馬が1頭しか出ていないが、出走頭数自体が少ない印象。前走G3組は勝率や複勝率は平凡ながら、複勝回収率は165%と高い。そして、前走3勝クラス組の成績は【0.0.2.7】。2018年にグリュイエールが5番人気で3着、21年はファルコニアが2番人気で3着に入っている。比較的上位人気に支持された馬に関しては警戒が必要だろう。

ここまでのデータを総合すると「前走G2組の4歳馬に注目」と言いたいところだが、両方の条件を満たす好走馬が数多くいるわけではないので、あまりこだわる必要はない。まず4歳という点だけに注目して、とある実績をチェックした方がいい。その実績とは前年に芝1800m以上のG1やG2(主に菊花賞や秋華賞のトライアル)で3着以内か、東京芝1600m以上のG3やOPENで連対というもの。

例えば、12年1着トーセンレーヴや15年1着エイシンヒカリは前年に東京芝2000mのOPEN特別(アイルランドトロフィー)を勝っていた。16年1着ルージュバックは前年オークスで2着。18年1着サトノアーサーは前年神戸新聞杯3着、19年1着レイエンダと21年2着サトノフラッグは前年セントライト記念で2着と好走。19年2着サラキアは前年ローズSで2着に入っていた。

そして東京のオープン・重賞の実績は4歳馬以外においてもかなり重要。例えば、20年1着ダイワキャグニーは18年・19年のメイS連覇に加え、17年プリンシパルS・キャピタルS、19年オクトーバーSと東京芝のOPEN特別を5勝していた。20年2着ソーグリッタリングは前年のエプソムCで3着。また21年1着ザダルは19年にプリンシパルSを勝っていた。5歳以上の有力馬を探す際は、この点を必ずチェックしておきたい。

【結論】

それでは今年のエプソムCを占っていく。出走予定馬は表4の通り。

■表4 今年のエプソムC出走予定馬

今年のエプソムCは1週前の時点でわずか12頭の登録しかなかった。過去10年より少ない頭数のレースになることが確定しており、この点は寂しい感じがする。注目の4歳馬はジャスティンカフェ、タイムトゥヘヴン、ノースブリッジ、ヤマニンサンバと4頭いる。この中で1番手になるのはタイムトゥヘヴンだろうか。実績的には前述した条件を満たしていないが、他の4歳勢に比べると実績は上位だ。前年のニュージーランドトロフィー2着、富士S3着がある。近2走はダービー卿チャレンジトロフィー1着→京王杯スプリングCで3着と重賞で連続好走して復調。距離1800mが長いというわけでもなさそう(21年に京成杯で2着と好走している)なので有力とみたい。

他の4歳勢はいずれも前走3勝クラスを勝ったばかりの昇級馬。ジャスティンカフェあたりは前走湘南Sの勝ちっぷりが派手だったので人気を集めそうだ。ただ、過去10年では前走3勝クラス組から連対馬は出ていないので連軸には押しづらい。

一方、5歳以上は軽視できない有力馬が豊富。ザダルは昨年の本競走の覇者。シャドウディーヴァは前年に東京芝1800mのG2・アイルランドT府中牝馬Sを勝っている。ともに成績が不安定なタイプだが、一発の可能性は十分あるだろう。ダーリントンホールトーラスジェミニは、20年の実績だが、それぞれ東京芝1800mの重賞で好走している。ダーリントンホールは近2走が洛陽S2着、ダービー卿チャレンジT3着と復調している。

今年のエプソムCは実績十分の4歳馬がいないため混戦模様。5歳以上の馬にも十分勝機がありそうだし、少頭数ながら馬券的には面白いレースになりそうだ。

ライタープロフィール

小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。

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