JRA-VANコラム
今年も小倉代替の中京記念を分析する
サマーマイルシリーズの第2戦・中京記念。例年はその名の通り「中京」競馬場の芝「1600m」で争われるレースだが、京都競馬場改修の影響で一昨年は阪神競馬場の芝1600m、そして昨年は小倉競馬場の芝1800mで代替された。今年も小倉開催のため傾向を探るのは難しそうだが、今回はこの中京記念をJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して分析したい。
まず表1は、今年同様に小倉で代替された昨年の中京記念の結果である。12頭立てで1~3着は3→8→11番(3→6→8枠)の順。勝ったアンドラステは好位のインから抜け出し、2着には4コーナー大外から伸びたカテドラル。そして3着には後方から直線は内を突いたクラヴェルが入った。この小倉芝1800mは基本的には先行有利だが、今年2月の小倉大賞典でもカデナが4コーナー15番手から3着まで追い込んでおり、逃げ・先行勢ばかりを重視するのは避けたい。 .
続いて表2は、中京記念過去10年の人気別成績である。注目したいのは5~7番人気で【6.6.2.16】複勝率46.7%、単複の回収率223%、162%を記録している。小倉で行われた昨年も、2着のカテドラルが6番人気、3着のクラヴェルが5番人気だった。
年齢別では5歳が【6.7.3.47】で複勝率25.4%などの好成績をマークしている。次いで6歳が7頭好走し、単複の回収率も80%台と悪くない。意外なのは4歳が連対なしに終わっていることで、7歳以上も苦戦傾向だ。なお、昨年の1~3着は牝5→牡5→牝4。今年も5歳馬重視でいいだろう。また、一昨年まで劣勢だった牝馬が昨年は馬券圏内に2頭食い込んでいるため、性別については表3の数字を鵜呑みにするのは避けたい。
表4は牡・セン馬に限定したハンデ別の成績である。好走が多いのは56~57キロで、計【5.6.5.46】複勝率25.8%になる。また、52キロの2連対は今年登録がない3歳馬が記録したもので、53~54キロは不振。4歳以上の牡・セン馬なら55キロ以上を課されるくらいの実績は欲しい。なお、牝馬は52キロと54キロが2頭ずつ、そして55.5キロが1頭好走している。昨年は牝54→牡56→牝52の順だった。
前走のクラス別で好走馬が多いのはオープン特別組、好走確率が高いのはG2組だ。ただ昨年は表1にあったように、1、3着馬の前走はマーメイドS(G3・芝2000m)で、2着馬の前走は安田記念(G1・芝1600m)。前走G2組は出走がなく、オープン特別組の最先着馬は5着のロータスランド(前走米子S1着)だった。
前走重賞からの3着以内好走馬は表6の13頭で、全馬が本競走では7番人気以内だった。前走着順はG1なら不問。G2~G3なら7着以内が条件で、特に前走4~7着馬が【2.1.3.10】複勝率37.5%と安定している。前走1~3着馬は【0.0.1.3】、前走8着以下は【1.0.0.25】。2013年のフラガラッハは前走G2・15着から大きく巻き返したが、同馬は前年の本競走優勝馬だった。なお、昨年は前走4着(牝G3)→12着(G1)→2着(牝G3)の順で決着している。
最後に表7は、前走オープン特別からの3着以内好走馬16頭である。この組で注目したいのは前走人気で、前走1~2番人気馬が【1.3.2.8】で複勝率42.9%の好成績。昨年はオープン特別組の好走はなかったが、最先着(5着)のロータスランドは前走の米子Sで2番人気の支持を受けていた。そして、前走9番人気以下だった馬が【3.4.1.19】同29.6%を記録し、単複の回収率は674%、266%。一昨年18番人気で優勝したメイケイダイハードなど2桁人気の好走馬5頭中4頭は、この「前走オープン特別9番人気以下」から出ており、穴党なら特に注目したいところだ。
【結論】
冒頭でも触れたように今年の中京記念は昨年に続き小倉芝1800mで代替されるが、コースとあまり関係なく狙ってもよさそうなのは5歳馬(表3)だ。昨年の結果(表1)も踏まえると、人気サイドなら前走マイルG1(ヴィクトリアM10着)のミスニューヨーク。穴っぽいところなら2000mのG3(七夕賞7着)から距離短縮になるモズナガレボシが挙げられる。加えて過去10年で好走確率が高かったG2組(表5)では、前走マイラーズC3着がデータ的にはやや走りすぎ(表6本文)の感もあるが、ハンデ56キロ(表4)のファルコニアにチャンスがありそうだ。 .
ほかに、穴馬の好走が目立つ「前走オープン特別9番人気以下」だったのはアーデントリー(米子S14番人気11着)とスーパーフェザー(同11番人気14着)、アスコルターレ(本稿執筆時点では除外対象)だが、5歳馬やハンデ56~57キロの馬は不在。このあたりとの比較なら重賞組で、前走G1・ハンデ57キロのカテドラルや、5歳・ハンデ56キロのコルテジアも互角の評価でいいだろう。
ライタープロフィール
浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。
関連記事
注意事項
結果・成績・オッズなどのデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。
本サイトのページ上に掲載されている情報の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容の正確性および安全性を保証するものではありません。
当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、株式会社NTTドコモおよび情報提供者は一切の責任を負いかねます。