JRA-VANコラム
前走掲示板外からの巻き返しに注意 セントライト記念を分析する
19日(月・祝)に中山競馬場で行われる菊花賞トライアル・セントライト記念。次週の神戸新聞杯に比べると菊花賞との繋がりはやや薄いレースだったが、昨年はタイトルホルダー、オーソクレースと、このセントライト記念組が菊花賞で1、2着。今年も本番へ向け注目したい一戦だ。そんなセントライト記念の過去の傾向をJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して分析したい。
まず表1は人気別の成績。1番人気の連対率70.0%や2番人気の同40.0%は悪くないが、その他の好走馬は分散気味。昨年は9番人気のアサマノイタズラが優勝し、3連単は9→2→5番人気で30万馬券の波乱となった。ここ6年は2桁人気の好走がないため、9番人気以内を目安に手広く構えたいレースだ。
新潟で代替された2014年を除く枠番別では、1~4枠が複勝率24.1%で単複の回収率も100%を超えているのに対し、5~8枠は複勝率17.3%で単複の回収率は40%未満。特に穴馬を狙う際には内よりの枠を引いた馬を重視したい。
前走レース別では、日本ダービー組が【6.5.4.21】で複勝率41.7%を記録するなど断然。次いでラジオNIKKEI賞組が【2.1.1.11】同26.7%と4頭が好走している。ほかに複数の好走馬を出すレースはないため、この日本ダービー組とラジオNIKKEI賞組が中心になる。条件戦組も【2.4.2.67】と好走数こそ多いが、複勝率10.7%、単複の回収率16%・43%と前記2レースとの比較では劣勢だ。
前走日本ダービー組はまず前走人気がカギになり、ダービーで4番人気以内だった馬はこのセントライト記念で【2.3.0.0】連対率100%、5番人気以下だった馬は【4.2.4.21】同19.4%と安定感に差が出ている。ただ、今年のセントライト記念はダービー4番人気以内馬が不在だ。
そこで、好走馬のうち前走日本ダービーで5番人気以下だった馬(表5)を見ると、該当する10頭中7頭がダービーでは10着以下だった。この「前走ダービー5番人気以下」の馬は、同レース9着以内だと【1.0.2.11】で連対率7.1%・複勝率21.4%、10着以下なら【3.2.2.10】連対率29.4%・複勝率41.2%と、大敗していた馬のほうが好走確率は高い。
続いて表5は前走ラジオNIKKEI賞からの好走馬4頭で、こちらは前走1着馬が2頭、6着以下だった馬が2頭。前走2~5着馬が【0.0.0.7】と多くの馬が該当しながら好走がないのに対し、前走1着馬は【1.1.0.1】複勝率66.7%、前走6着以下の馬は【1.0.1.3】同40.0%を記録している。なお、前走6着以下から好走したサトノクロニクルとアサマノイタズラにはG2連対実績があった。
最後に表6は前走条件戦からの好走馬である。この組は距離延長馬が【2.4.2.43】複勝率14.0%、同距離・距離短縮馬が計【0.1.0.24】同4.0%となるため、まず前走距離から絞りたい。また、好走馬8頭の前走はすべて6月下旬以降だった。
1勝クラス組の好走馬3頭は前走を0.2秒差以上で勝ち上がっていたほか、初勝利以降は連対を外していなかったことが共通点。2勝クラス組は芝2000m以上での優勝実績(5頭すべて)に加え、ダービーフィズを除く4頭には2連勝以上した経験があった。
【結論】
セントライト記念は前走日本ダービー出走馬が好成績(表3)。今年はアスクビクターモア、オニャンコポン、そしてセイウンハーデスの3頭が登録しており、特に注目したいのは同レース11着だったセイウンハーデスだ。表4本文で触れたように、前走日本ダービーで5番人気以下だった馬なら2桁着順に大敗していたほうが好成績を残している。
ラジオNIKKEI賞組の狙いは同レースで1着か6着以下だった馬。今年は1着馬不在で、6着以下からはボーンディスウェイ(6着)とベジャール(12着)が登録しているが、この2頭にはG2連対実績(表5)がない。ボーンディスウェイはG2の弥生賞で3着、ベジャールはG3の毎日杯で2着と「G2連対」に近い実績はあるものの、この2頭よりはダービーひと桁着順のアスクビクターモアやオニャンコポンを上位に取りたい。
条件戦組(表6)は距離延長馬で前走が6月下旬以降だった馬。2勝クラス組なら芝2000m以上での優勝実績と連勝経験があるラーグルフ、1勝クラス組は「前走0.2秒差以上1着」「初勝利以降連対率100%」のガイアフォースが候補になる。ただ表3でも触れたように、条件戦組は日本ダービー組やラジオNIKKEI賞組との比較では劣勢だ。
ライタープロフィール
浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
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