JRA-VANコラム
今年も阪神芝3000mで行われる菊花賞を展望する
今週日曜は阪神競馬場の芝3000mを舞台に菊花賞が行われる。今年と同じ阪神開催だった昨年の菊花賞ではタイトルホルダーが5馬身差の逃げ切り勝ちを決めた。また昨年同様、今年も皐月賞、日本ダービーの優勝馬が出走せず、初のG1タイトルをかけた戦いとなる。今回は昨年の菊花賞ならびに前哨戦の結果分析、そして阪神芝3000m戦の特徴から今年の菊花賞を展望していきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
表1は昨年の菊花賞の上位3着以内馬。タイトルホルダーがスタートから追っつけながら先頭に立ち、直線でも突き放して5馬身差の快勝だった。同馬は今年の天皇賞(春)でも7馬身差をつけて圧勝しており、長距離適性が抜群に高かったといえる。
2着には中団から伸びたオーソクレース、3着には道中6番手を進んだ牝馬のディヴァインラヴが入った。ハナ差の4着に皐月賞、日本ダービーで連続3着だったステラヴェローチェが入ったが、直線半ばで2着に上がるかという末脚がゴール前で鈍ってしまった。内回りコースで直線が356.5mと短く、4コーナー後方からの追い込みは厳しい。
1着タイトルホルダーはドゥラメンテ産駒だったが、2着オーソクレース、3着ディヴァインラヴはともにエピファネイア産駒で母父ディープインパクトという共通点があった。
表2は昨年の上位3着以内馬の前走成績。1・2着は前走セントライト記念組で、タイトルホルダーは前走馬群の中で動くに動けず、13着と大敗していた。それでもタイトルホルダーは弥生賞ディープインパクト記念で勝利しており、オーソクレースも前年のホープフルSでは2着と好走していた。直線が短く、ゴール前に急坂がある中山コースは阪神内回りとコース形態上似ており、中山芝重賞実績は重要な要素なのではないか。
また、ディヴァインラヴは前走2勝クラス1着と実績では劣るものの、菊花賞では実績上位のステラヴェローチェにハナ差競り勝っている。
表3は京都開催を含めた過去10年の菊花賞における前走2勝クラス組【0-1-5-35】の前走距離別成績。黄色で強調したように前走2200m組が、昨年のディヴァインラヴも好走しているように、複勝率57.1%は群を抜いて高い。好走した4頭はすべて4番人気以下で、複勝回収率も高い。他では前走2400m組、前走2600m組から3着1回ずつ。前走2500m組、前走2000m以下からは3着以内馬が出ていない。
表4は今年のセントライト記念とその翌週のオールカマーとの比較。ともに13頭立てで行われ、稍重だったセントライト記念の方が0秒9勝ちタイムが速かった。セントライト記念はガイアフォース、アスクビクターモアの2頭がアタマ差の接戦で、3着を3馬身離していた。
前半1000m通過、上位馬の上がりタイムともにセントライト記念組が上回っており、タイム的な価値はかなり高いといえる。
表5は神戸新聞杯と同開催の開幕週に行われた3勝クラス・ムーンライトHの比較。こちらは神戸新聞杯組が0秒8勝ちタイムで上回るが、神戸新聞杯は良馬場でムーンライトHは稍重だった。中京芝2200m戦は今春の京都新聞杯で2分9秒5という非常に速いタイムが出ており、比較が難しい面はあるが、それでも2着に3馬身半差をつけて勝利したジャスティンパレスの勝ちタイム2分11秒1は優秀といえる。
最後に表6は2017年以降に行われた阪神芝3000m戦(昨年の菊花賞と古都S、2017~22年の阪神大賞典)計8レースにおける前走競馬場別成績。黄色で示した前走中山組が6勝、2着5回で、勝率・連対率が抜けて高い。阪神大賞典での前走有馬記念組などが含まれており、連対した11頭はすべて上位5番人気以内に支持されていた。それでも単勝回収率・複勝回収率ともに100%を超えている。複勝率で前走中山組に続くのが、前走京都組、前走東京組だが、今回の菊花賞ではともに該当馬なし。なお、前走中京組は連対がなく、3着2回となっている。
<結論>
※フルゲート18頭
今年の菊花賞の主な有力馬は表7のとおり。
前哨戦のセントライト記念1着ガイアフォース、2着アスクビクターモア、神戸新聞杯1着ジャスティンパレスの3頭が上位人気になりそうだ。
この3頭の中ではアスクビクターモアを最上位としたい。前走のセントライト記念ではガイアフォースにアタマ差敗れたものの、日本ダービー以来の休み明けとしては合格点の内容だった。日本ダービーでは上位4着までの中で唯一先行して3着と好走しており、スピードの持続力、スタミナともに十分。春の弥生賞ディープインパクト記念ではドウデュースを破って勝利しており、すんなり先行できれば勝ち切る可能性も大いにある。
セントライト記念でアスクビクターモアを破ったガイアフォース、神戸新聞杯を快勝したジャスティンパレスももちろん有力だ。
上記3頭以外ではセレシオン、プラダリアの2頭を推奨したい。セレシオンは表3で好相性を示した前走2勝クラス組の前走2200m勝ち馬。前走先行して3馬身半差の快勝と本格化を見せており、重賞初挑戦ながら激走してもおかしくない。プラダリアは前走の神戸新聞杯で8着。ただし、2走前の日本ダービーでは5着で、能力は非常に高い。叩き良化型のタイプで、状態が上がっていれば、上位に食い込む力はある。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。
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