JRA-VANコラム
2年ぶりの牝馬三冠馬誕生なるか? 秋華賞の行方を占う

3歳牝馬三冠の最終戦・秋華賞。前身のエリザベス女王杯(旧表記4歳牝馬限定)時代も含め、これまでメジロラモーヌ(1986年)など6頭の牝馬三冠馬がここで誕生している。今年はその三冠をかけてスターズオンアースが出走予定。デアリングタクト以来2年ぶりの牝馬三冠達成となるのか、それともライバルが一矢を報いるのか。今年は昨年に続いて阪神で代替されるが、例年の京都開催も含めた過去10年の傾向をJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して分析したい。

まず表1は人気別の成績。1~4番人気はいずれも連対率40.0~50.0%、複勝率40.0~60.0%。2番人気に勝利がない点は気になるが、優勝馬10頭はすべて4番人気以内から出ている。また、2着馬は10頭中9頭が5番人気以内に収まっており、馬連の最高配当は2016年の3550円(3→4番人気)。3着には穴っぽい馬が絡むことも多いが、11番人気以下の好走は1頭(2013年15番人気リラコサージュ)だけ。2着候補は5番人気以内、3着候補は10番人気以内を目安にしたい。なお、阪神で行われた昨年は4→2→3番人気の順で馬連2250円、3連単2万6410円の配当だった。

このように秋華賞は上位人気馬の好走が多く、これは前走で大敗していたり、前走で人気薄だったりした馬があまり好結果を残せていないことに起因する。表2にあるように、前走6着以下だった馬は連対がなく3着2回のみ。また前走6番人気以下だった馬も【0.1.3.67】と連対まではなかなか届かない。前走クラス・レース別の傾向は後述するが、全体としては「前走5着以内」「前走5番人気以内」でまず線を引きたい印象だ。

過去10年の優勝馬10頭は前走オークス(4頭)、ローズS(3頭)、紫苑S(3頭)のいずれかから出ている。オークス組は勝てなければ馬券圏外という極端な成績だが現在4連勝中。紫苑S組はオープン特別として行われていた2015年までは【1.0.0.17】、G3の重賞に昇格した2016年以降は【2.4.0.24】と様相が一変した。オークス組、紫苑S組が近年好調な一方、成績を大きく落としているのがローズS組。2012~15年は【3.3.2.25】連対率18.2%・複勝率24.2%を記録していたのに対し、2016年以降は【0.1.5.30】同2.8%・16.7%と特に連対率の落ち込みが顕著だ。

前走オークス組は2018年から4連勝中。いずれも春は桜花賞→オークスのステップを踏んでおり、桜花賞は4番人気以内かつ4着以内、オークスは2番人気以内かつ3着以内で共通している。また、桜花賞よりも前に重賞かオープン特別を制した実績もあった。

重賞昇格後は好調な紫苑S組の好走馬は表5の6頭(2016年以降)。その紫苑Sでは全馬5着以内で、2020年2着のマジックキャッスル以外は紫苑S、秋華賞ともに上位人気に推されていたことで共通している。また、6頭中5頭は紫苑Sよりも前に重賞で馬券に絡んだ実績があり、残る1頭・ヴィブロスも前走の紫苑Sで2着と重賞初連対を果たしていた。

近年は苦戦傾向にあるローズS組の好走馬は14頭で、紫苑Sの重賞昇格後(2016年以降)では6頭が該当する。以前はジェンティルドンナやヌーヴォレコルトなど上位人気に推されたローズSで馬券に絡んだ馬も好走していたが、近年はこういったタイプの好走馬は不在だ。たとえば2018年3着のカンタービレはローズS5番人気1着、昨年3着のアンドヴァラナウトは同4番人気1着だった。逆に2017年3着のモズカッチャンはローズS2番人気7着から巻き返しており、ローズSでの「人気+着順」の値が5~10あたりの馬を狙いたい。ほかに、ローズS3着以内か他の重賞で連対するくらいの実績が欲しい。

最後に表7は前走条件戦からの好走馬5頭で、すべて前走では1番人気の支持を受けていた。うち4頭は2勝クラス(1000万条件)以下の前走を0.2秒差以上で優勝。前走が1600万条件(現3勝クラス)だったアロマティコは前走3着だったが、2走前に1000万条件を0.2秒差で優勝していた。
【結論】
牝馬三冠のかかるスターズオンアースが注目を集める今年の秋華賞。前走オークス組が2018年から昨年まで4連勝を飾っているのは心強い材料だ(表4)。しかしその一方で、オークスや桜花賞での人気(3、7番人気)、そして桜花賞よりも前の実績(スターズオンアースの勝利は未勝利戦のみ)という点では、ここ4年の優勝馬4頭と比べると見劣ってしまう。これをもって「消し」とまでは言えないが、過去の傾向からは三冠確実とも言い難い。
そのため、オークスで2着に敗れたスタニングローズに逆転の目がありそうだ。前走の紫苑Sが1番人気1着で今回も上位人気必至。前走のほかオークス2着、フラワーC1着などの重賞実績がある点もプラス材料になる(表5)。
ローズS組(表6)では1番人気で優勝したアートハウスより、7番人気で3着に食い込んだエグランタインのほうが近年の傾向に合っている。条件戦組(表7)にすんなりデータをクリアする馬は見当たらないが、ウインエクレールが2走前のスイートピーS(1番人気)で2着に0.2秒差をつけ優勝しており、2012年のアロマティコに似たパターンとみていいだろう。
ライタープロフィール
浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
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