JRA-VANコラム
2走前の着順も要チェック! 阪神JFを分析する
2歳女王決定戦・阪神ジュベナイルフィリーズ。1991年より牝馬限定戦となり、同年のニシノフラワーや96年のメジロドーベル、2006年ウオッカ、08年ブエナビスタ、09年アパパネなどがここでG1初制覇を飾った。過去10年の優勝馬でもメジャーエンブレム、ソウルスターリング、ラッキーライラック、そしてソダシが後のG1も制している。今年ここを制して飛躍を遂げるのはどの馬か。過去10年の傾向をJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JV を利用して分析したい。
過去10年の優勝馬はすべて5番人気以内。ただし5番人気は2012~14年に3連勝を飾ったあとは7頭すべて4着以下に終わっているため、1着候補は4番人気以内の馬から選びたい。その7年間では1番人気が【4.0.0.3】勝率57.1%で勝てなければ馬券圏外。2~4番人気は【3.4.6.8】複勝率61.9%と2~3着も多い。3連単は2012年(5→15→10番人気)に304万馬券が出たが、その後は昨年の11万馬券が最高だ。
枠番別では1枠が3勝を挙げ、2~8枠からもそれぞれ1頭ずつ優勝馬が出ている。ただ、8枠は1番人気馬3頭が馬券圏外に敗れるなど人気馬の凡走も目立ち、隣の7枠もひと息。複勝率や複勝回収率からは4~6枠あたりが良さそうだ。
前走クラス別では中央競馬のG3に出走していた馬が優勝馬10頭中8頭、3着以内馬30頭中18頭を占め、好走確率も上々だ。レース別ではアルテミスS【4.3.3.23】複勝率30.3%と、ファンタジーS【3.0.2.32】同13.5%をステップにした馬の出走が多く、ほかに10頭以上の出走馬を出している重賞はない。
表4は前走アルテミスSからの3着以内好走馬10頭である。うち8頭は同レースで連対しており、アルテミスSで3着以下だったウインファビラスとユーバーレーベンは2走前の重賞で連対していた。また10頭中7頭は2走前1着、残る3頭の2走前は重賞で3着以内に入っている。なお、アルテミスSで1着だった馬は本競走で【3.1.1.5】勝率30.0%・複勝率50.0%、2着だった馬は【1.1.1.3】勝率16.7%・複勝率50.0%と、アルテミスSを勝ってきた馬のほうが勝率は高い。3着以下だった馬は【0.1.1.15】複勝率11.8%に終わっている。
続いて表5は前走ファンタジーS組。こちらは好走馬5頭すべて同レース3着以内かつ2走前1着。またファンタジーS前までは連対率100%だったことも共通点で、アルテミスS組に比べるとややハードルが高い印象だ。
表6は前走アルテミスS・ファンタジーS以外の重賞からの好走馬5頭。好走条件はファンタジーS組とほぼ同じで、5頭とも前走3着以内かつ2走前1着だった。また2走前までの成績はいずれも勝率100%だが、連対率100%とみればこれもファンタジーSと同様である。
最後に表7は前走がオープン特別以下だった好走馬10頭である。このうち10年前のクロフネサプライズとレッドセシリアは全体の傾向から大きく外れてしまうが、残り8頭は「2連勝中」「連対率100%」「芝1600m以上優勝経験あり」の3点で共通している。
【結論】
前走レース別で好走馬が多く、好走確率も高いのがアルテミスS組(表3、4)。今年の登録馬で同レース3着以下だった3頭は表4の好走条件を満たせないため、狙いは優勝したラヴェルと2着リバティアイランドの2頭に絞られる。表4本文で触れたように同レース1着馬のほうが2着馬より勝率が高いためここではラヴェルを上位としておくが、もし当日リバティアイランドのほうが1番人気に推されるなら逆転の目もありそうだ(表1)。
ファンタジーS組(表5)では勝ち馬リバーラ(デビュー戦3着)よりも、2着だったブトンドールに注目。芝1200mの新馬戦と函館2歳Sを連勝して前走ファンタジーS2着というステップは、2015年のブランボヌール(1→1→3着)とほぼ同じだ。
今年はその他の重賞組に推奨できる馬がいないため、上記3頭以外ではオープン特別以下(表7)からモリアーナを挙げたい。芝1600mの新馬戦とコスモス賞を制しここまで2戦2勝で、表7の3条件を問題なくクリアしている。
文:浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
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