JRA-VANコラム
レモンポップ、前走チャンピオンズC組が不在の有利な状況でG1初制覇か!?
今週は日曜日に東京競馬場でフェブラリーSが行われる。本来であればレモンポップと人気を分け合う可能性があったギルデッドミラーが故障・引退により回避となったため、レモンポップが断然の人気を集めそうだ。過去10年のフェブラリーSを分析し、レモンポップの勝算がどれぐらいあるかを中心に考え、レースを展望する。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
表1は過去10年のフェブラリーS好走馬の一覧。2014年・15年に連覇を果たしたコパノリッキーや21年・22年に連覇したカフェファラオ、3年連続(17~19年)で連対したゴールドドリームなど複数回好走している馬が多い。リピーターが出やすいのが特徴と言えるだろう。牝馬にとっては鬼門のレースでもある。好走したのは22年3着ソダシのみで、牡馬・セン馬が非常に強い。年齢は4~8歳と幅広く、ベテラン勢の活躍も目立つ。そして、前走レースはチャンピオンズC、根岸S、東海Sが多い。近年は特にチャンピオンズC組と根岸S組がよく好走している。
前走チャンピオンズC組については、好走馬はもちろん有力だが、同レースが行われる中京ダート1800mの条件に合わなかった馬の巻き返しに注意したい。近2年のフェブラリーSで優勝しているカフェファラオはまさにそのタイプで、中京ダート1800mと東京ダート1600mとではパフォーマンスが大きく変わる馬だった。
21年2着エアスピネルも東京ダート1600mの重賞(20年武蔵野S3着)で好走実績があったように、同コースの方が向いていた。22年2着ソダシはマイルという距離(当時芝1600mは3戦3勝)に適性があったので、コース替わりが明らかにプラスに働いたと言える。東京ダート1600mの実績・適性がある前走チャンピオンズC組がいれば真っ先に注目したい。
前走根岸S組の取捨は非常にシンプルだ。同レース連対馬だけが有力となる。21年はワンダーリーデルが8番人気で3着(前走根岸S2着)、22年はテイエムサウスダンが5番人気で2着(前走根岸S1着)と人気以上の好成績を収めている。一方、前走根岸Sで3着以下に敗れた馬の巻き返しは一度もない。前哨戦である根岸Sでの凡走は許されない、という傾向が出ている。
その他では東京大賞典や川崎記念といった地方のG1/Jpn1組に注意したい。中距離組であってもレースのレベルが高ければ、フェブラリーSにも十分繋がる。13年2着エスポワールシチー・同3着ワンダーアキュート、18年3着インカンテーションが主な好走例。20年はケイティブレイブが16番人気で2着と激走したのが印象深い。ケイティブレイブは実績こそ上位だったが、東京ダート1600mの適性が疑問視されていたのでかなり人気を落としていた。しかし、結果的には底力を見せつけたと言えるだろう。
表2はフェブラリーSの枠順別成績。東京ダート1600mはスタート後、芝の部分を長く走れる分だけ外枠が有利なため、通常枠順はかなり重要だ。ただ、表2のデータでは外枠が抜群にいいという結果は出ていない。連対率や複勝率は2~7枠がほぼ互角という印象。1枠だけがやや成績が悪いか。よって、フェブラリーSは1枠以外であればあまり気にする必要はないかもしれない。
表3はフェブラリーSの馬体重別成績。レース当日の馬体重が520~539キロの成績が【6.3.3.27】で、単勝回収率759%・複勝回収率198%の好成績だった。基本的にパワフルでがっちりとした体型の馬はダートに向く。東京のダートは他場のダートと比べると、速い時計が出る軽い馬場ではあるが、馬体重は大きい方が望ましいだろう。
【結論】
それでは今年のフェブラリーSを占っていくことにする。出走予定馬は表4の通り。
フルゲート16頭。他にも登録馬あり(2/13時点)。
今年のフェブラリーSは前走チャンピオンズC組が1頭もいないという異例の事態になった。2走前まで見てもオーヴェルニュしかおらず、昨年のチャンピオンズCで好走したジュンライトボルト、クラウンプライド、ハピの登録がなかったのは残念だ。また、東京大賞典と川崎記念を連勝しているウシュバテソーロも不在。冒頭で述べたギルデッドミラーの回避もあり、全体的に寂しいメンバー構成という印象を受ける。
一方、前走根岸S組はかなり多い。しかし、狙えるのは根岸Sを勝ったレモンポップだけだ。主戦の戸崎圭太騎手から今回坂井瑠星騎手に乗り替わるものの、相手関係的にはかなり有利な状況で今回のレースに挑める。前走馬体重が522キロという点も好材料。1枠を引かなければ、好走がかなり期待できそうだ。
レモンポップのライバルとなりそうなのは前走東京大賞典組のショウナンナデシコとメイショウハリオか。マイルの実績は前者が上位だが、近走成績や性別・前走馬体重を加味すると後者の方を上に取りたい。
一応、前走G1/Jpn1組という意味ではソリストサンダーやレッドルゼル、海外のG1組ではカナダから遠征してきた外国馬シャールズスパイトの名前を挙げることができる。シャールズスパイトに関しては未知な面だらけだが、JRAの有力馬が少ないこともあり、配当次第では押さえてみる手はあるかもしれない。
ライタープロフィール
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。
関連記事
注意事項
結果・成績・オッズなどのデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。
本サイトのページ上に掲載されている情報の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容の正確性および安全性を保証するものではありません。
当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、株式会社NTTドコモおよび情報提供者は一切の責任を負いかねます。