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JRA-VANコラム

混戦模様の大阪杯を制する馬は?

2023年3月30日 16:00配信
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2022/4/3 阪神 11R 大阪杯(G1) 1着 8番 ポタジェ(8番人気)(Photo by JRA)

2017年からG1に昇格した大阪杯。同年のキタサンブラックや19年のアルアイン、20年のラッキーライラックと既にG1タイトルを獲得していた馬の勝利もあれば、18年のスワーヴリチャード、21年のレイパパレ、そして昨年のポタジェとここでG1初制覇を果たした馬も半数の3頭を数える。今年はどの馬が勝利を手にするのか。G1昇格後過去6年の傾向を、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して分析したい。

■表1 人気別成績

過去6年の人気別成績は、1番人気と4番人気が複勝率66.7%、2番人気が同50.0%だが、3番人気と5番人気は不振で、上位人気全体としてはまずまずといった程度。その下の6~9番人気が【2.3.1.18】複勝率25.0%、単複の回収率337%・160%と妙味があり、2020年以外は毎年連対馬を出しているため、少々穴っぽい馬を1頭は絡めて馬券を組み立てたい。ただ、10番人気以下になると【0.0.0.31】と好走がない。

■表2 年齢別、東西所属別成績

年齢別では5歳【4.3.1.23】と4歳【2.2.5.19】で3着以内馬18頭中17頭を占める。勝率と連対率は5歳が上位、複勝率は4歳が逆転するが、いずれにしてもこの4~5歳馬が中心になる。6歳以上の好走はG1昇格1年目の2017年ステファノス(6歳・2着)で、過去5年は【0.0.0.22】に終わっている。

また東西の所属別成績をみると関東馬は【0.0.1.21】で、G2時代を含めた過去10年でも【0.0.1.30】と連対がない。3着1回も2020年の1番人気・ダノンキングリーで人気を裏切った形だった。特段の理由がなければ関西馬重視でいいだろう。

■表3 種牡馬別成績(着別度数順ベスト10)

種牡馬別では優勝馬6頭すべてを、ディープインパクト(3勝)をはじめとするサンデーサイレンス系の馬が占めていた。他の系統で複数の好走馬を出しているのはミスタープロスペクター系のみ。昨年はロベルト系のエフフォーリアとジャックドールが1、2番人気の支持を受けたが、それぞれ9、5着に敗退した。

■表4 前走3コーナー通過順別成績(前走海外除く)

表4は前走の3コーナー通過順別の成績である。優勝馬6頭中5頭は前走の3コーナーを4番手以内で通過しており、残る1頭は金鯱賞で3コーナー12番手だった昨年のポタジェ。前走3コーナー5~11番手だった馬は【0.3.5.30】と勝利がなく、中でも5~8番手だった馬は【0.0.4.26】と連対にも届いていないため割引が必要だ。

■表5 前走クラス別成績

前走クラス別では中央G2組が【4.5.4.45】と好走馬の約7割を占めている。中央G1組は該当馬こそ少ないが、好走確率ではG2組をわずかに上回る。この中央G1、G2組が中心だ。G3からのステップで好走したのは2021年レイパパレと22年アリーヴォの4歳馬2頭で、レイパパレはデビュー5連勝中。アリーヴォは近5走で4勝を挙げていた。今年はこれに似通った戦績の馬は不在だ。

■表6 前走G2からの3着以内好走馬

表6は前走中央G2からの好走馬13頭で、2019年のワグネリアンを除く12頭は2月中旬以降の芝1800~2200m戦からの参戦だった。前走着順は4着以下から巻き返した馬も5頭を数えるが、前走で4番人気以下だったのは2頭のみ。その2頭にしても4~5番人気の支持を受けていたため、前走については着順よりも人気を重視したい。また13頭中11頭には既に芝2000m以上のG1で3着以内に入った実績があった。

■表7 前走G1からの3着以内好走馬

最後に表7は前走中央G1からの好走馬。キタサンブラック、キセキ、コントレイルのG1馬3頭で、大阪杯、前走ともに2番人気以内に支持されていた。いずれも前年秋には国内最高峰のG1競走であるジャパンCで連対していたという共通点もある。

なお、前走が2月上旬以前だった好走馬はこの3頭のほか、ワグネリアンとレイパパレ(2021年)の5頭のみで、ワグネリアンは前年の日本ダービー馬。レイパパレは前述の通りデビューから無傷の5連勝でここに駒を進めていた。レース間隔が開いた馬なら、G1の中でも特に高額賞金のレースで連対した実績を持つか、無敗馬くらいでなければ好走するのは難しい。

【結論】

4~5歳の関西馬が好走馬の大半を占める大阪杯(表2)。今年は5歳馬・ダノンザキッド(栗東・安田隆行厩舎)に注目したい。父はサンデーサイレンス系のジャスタウェイ(表3)で、2番人気に推された前走・中山記念(G2)は3コーナーを4番手で通過(表4~6)。2020年のホープフルS優勝のほか、2走前の香港C2着と芝2000mのG1実績もある(表6)。前走の中山記念11着がやや負けすぎという感もあるが、その分人気を落として妙味のある6~9番人気(表1)の範囲に収まりそう。ホープフルS以来となる久々の勝利を期待したい。

逆転候補を1頭挙げれば4歳の関西馬・キラーアビリティ(父ディープインパクト)だろうか。こちらは2021年のホープフルS優勝馬で、前走の京都記念は3番人気5着。コーナー通過順が[4-4-5-6]と3コーナー5番手になってしまった点はマイナス材料になるが、他の出走予定馬は複数の減点材料を抱える馬ばかりのため本馬を2番手としたい。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。

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