JRA-VANコラム
混戦模様の大阪杯を制する馬は?
2017年からG1に昇格した大阪杯。同年のキタサンブラックや19年のアルアイン、20年のラッキーライラックと既にG1タイトルを獲得していた馬の勝利もあれば、18年のスワーヴリチャード、21年のレイパパレ、そして昨年のポタジェとここでG1初制覇を果たした馬も半数の3頭を数える。今年はどの馬が勝利を手にするのか。G1昇格後過去6年の傾向を、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して分析したい。
過去6年の人気別成績は、1番人気と4番人気が複勝率66.7%、2番人気が同50.0%だが、3番人気と5番人気は不振で、上位人気全体としてはまずまずといった程度。その下の6~9番人気が【2.3.1.18】複勝率25.0%、単複の回収率337%・160%と妙味があり、2020年以外は毎年連対馬を出しているため、少々穴っぽい馬を1頭は絡めて馬券を組み立てたい。ただ、10番人気以下になると【0.0.0.31】と好走がない。
年齢別では5歳【4.3.1.23】と4歳【2.2.5.19】で3着以内馬18頭中17頭を占める。勝率と連対率は5歳が上位、複勝率は4歳が逆転するが、いずれにしてもこの4~5歳馬が中心になる。6歳以上の好走はG1昇格1年目の2017年ステファノス(6歳・2着)で、過去5年は【0.0.0.22】に終わっている。
また東西の所属別成績をみると関東馬は【0.0.1.21】で、G2時代を含めた過去10年でも【0.0.1.30】と連対がない。3着1回も2020年の1番人気・ダノンキングリーで人気を裏切った形だった。特段の理由がなければ関西馬重視でいいだろう。
種牡馬別では優勝馬6頭すべてを、ディープインパクト(3勝)をはじめとするサンデーサイレンス系の馬が占めていた。他の系統で複数の好走馬を出しているのはミスタープロスペクター系のみ。昨年はロベルト系のエフフォーリアとジャックドールが1、2番人気の支持を受けたが、それぞれ9、5着に敗退した。
表4は前走の3コーナー通過順別の成績である。優勝馬6頭中5頭は前走の3コーナーを4番手以内で通過しており、残る1頭は金鯱賞で3コーナー12番手だった昨年のポタジェ。前走3コーナー5~11番手だった馬は【0.3.5.30】と勝利がなく、中でも5~8番手だった馬は【0.0.4.26】と連対にも届いていないため割引が必要だ。
前走クラス別では中央G2組が【4.5.4.45】と好走馬の約7割を占めている。中央G1組は該当馬こそ少ないが、好走確率ではG2組をわずかに上回る。この中央G1、G2組が中心だ。G3からのステップで好走したのは2021年レイパパレと22年アリーヴォの4歳馬2頭で、レイパパレはデビュー5連勝中。アリーヴォは近5走で4勝を挙げていた。今年はこれに似通った戦績の馬は不在だ。
表6は前走中央G2からの好走馬13頭で、2019年のワグネリアンを除く12頭は2月中旬以降の芝1800~2200m戦からの参戦だった。前走着順は4着以下から巻き返した馬も5頭を数えるが、前走で4番人気以下だったのは2頭のみ。その2頭にしても4~5番人気の支持を受けていたため、前走については着順よりも人気を重視したい。また13頭中11頭には既に芝2000m以上のG1で3着以内に入った実績があった。
最後に表7は前走中央G1からの好走馬。キタサンブラック、キセキ、コントレイルのG1馬3頭で、大阪杯、前走ともに2番人気以内に支持されていた。いずれも前年秋には国内最高峰のG1競走であるジャパンCで連対していたという共通点もある。
なお、前走が2月上旬以前だった好走馬はこの3頭のほか、ワグネリアンとレイパパレ(2021年)の5頭のみで、ワグネリアンは前年の日本ダービー馬。レイパパレは前述の通りデビューから無傷の5連勝でここに駒を進めていた。レース間隔が開いた馬なら、G1の中でも特に高額賞金のレースで連対した実績を持つか、無敗馬くらいでなければ好走するのは難しい。
【結論】
4~5歳の関西馬が好走馬の大半を占める大阪杯(表2)。今年は5歳馬・ダノンザキッド(栗東・安田隆行厩舎)に注目したい。父はサンデーサイレンス系のジャスタウェイ(表3)で、2番人気に推された前走・中山記念(G2)は3コーナーを4番手で通過(表4~6)。2020年のホープフルS優勝のほか、2走前の香港C2着と芝2000mのG1実績もある(表6)。前走の中山記念11着がやや負けすぎという感もあるが、その分人気を落として妙味のある6~9番人気(表1)の範囲に収まりそう。ホープフルS以来となる久々の勝利を期待したい。
逆転候補を1頭挙げれば4歳の関西馬・キラーアビリティ(父ディープインパクト)だろうか。こちらは2021年のホープフルS優勝馬で、前走の京都記念は3番人気5着。コーナー通過順が[4-4-5-6]と3コーナー5番手になってしまった点はマイナス材料になるが、他の出走予定馬は複数の減点材料を抱える馬ばかりのため本馬を2番手としたい。
ライタープロフィール
浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。
関連記事
注意事項
結果・成績・オッズなどのデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。
本サイトのページ上に掲載されている情報の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容の正確性および安全性を保証するものではありません。
当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、株式会社NTTドコモおよび情報提供者は一切の責任を負いかねます。