JRA-VANコラム
前走マイル組が好成績! フィリーズRを分析する
今週は土曜に中山で中山牝馬S、日曜に中京で金鯱賞、阪神でフィリーズレビューと3鞍の平地重賞が組まれている。今回のデータde出~たでは、桜花賞トライアルのフィリーズRをピックアップ。2013年以降過去10年の同レースのデータならびに1回阪神における芝1400m戦のレース傾向から馬券で狙える馬を探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
※2019年はノーワンとプールヴィルの1着同着。
表1は過去10年の人気別成績。1番人気馬は15年クイーンズリングの1勝のみで、複勝率は40.0%と低め。対して、2番人気馬が昨年のサブライムアンセムら最多タイの3勝をあげており、連対率60.0%・複勝率80.0%はトップだ。以下、8番人気馬が3勝、3番人気馬が2勝、5・12番人気馬が1勝ずつ。12番人気馬の勝利は19年ノーワンで、3番人気プールヴィルとの同着優勝だった。2・3着馬も下位人気まで幅広く分布している。
配当面では3連単で10万円以上の配当が4回。14年には2番人気ベルカントが勝利したものの、2着13番人気、3着6番人気と伏兵が激走し、3連単175万540円の大波乱となった。昨年は2→1→4番人気の順で堅く決まったものの、波乱の可能性は大いにある一戦といえそうだ。
表2は出走馬の所属別成績。勝ち馬11頭はすべて栗東所属の関西馬で、複勝率20.0%。出走数が多いにもかかわらず、複勝回収率は100%を超えている。
美浦所属の関東馬は2・3着1回ずつと苦戦傾向。好走したのは4・6番人気で、上位3番人気以内に支持された3頭はいずれも9着以下に敗れている。
表3は枠番別成績。内の1~3枠が過半数の8勝と勝ち切る傾向が強い。なかでも1枠と3枠が好成績。1枠は19年ノーワンら3勝をあげ、連対率・複勝率トップ。3枠からは昨年のサブライムアンセムら近4年続けて勝ち馬が出ており、勝率は最も高い。外の6~8枠からも好走馬が出ているものの、連対率はいずれも7.4%以下と低い。
表4は前走距離別成績。黄色で強調した前走1600m組が一昨年のシゲルピンクルビーら過半数の7勝をあげており、勝率・連対率・複勝率いずれもトップ。18年を除いて毎年1頭は3着以内に入っており、単勝回収率・複勝回収率ともに100%を超えている。
前走1400m組は18年リバティハイツら4勝も、連対率・複勝率で前走1600m組に差をつけられている。また、前走1200m組は35頭出走して3着1回のみと苦しい。前走1600m組優勢、前走1200m苦戦の傾向となっているのは、出走頭数が多く(10年中8年が18頭立て)消耗戦になりやすいということだろう。
表5は表4で好調だった前走1600m組の前走着順別成績。前走1着馬は13年メイショウマンボら4勝をあげ、連対率は55.6%、複勝率は66.7%と非常に高い。3着以内馬6頭中3頭は6番人気以下の伏兵で、該当馬がいれば要注目だ。前走2・3着馬は出走数が少ないものの、前走4・5着馬は複勝率50.0%以上と優秀だ。これら前走1600m戦で5着以内だった馬は積極的に狙っていきたい。
なお、前走6着以下となると複勝率が大幅に下がっている。前走10着以下から巻き返して勝利した14年ベルカント、21年シゲルピンクルビーの2頭はいずれも前走でG1を使われていた。
最後に表6は1回阪神開催における芝1400m戦5レースでの脚質別成績。黄色で示した逃げ、先行馬の活躍が目立つ。この間に行われた重賞2鞍を見ると、京都牝馬Sでは逃げたウインシャーロットが2着に入り、阪急杯では道中2番手のアグリが勝利したのをはじめ3コーナー2~4番手の馬が上位3着までを独占した。
ただし、追い込み組も勝利をあげており、複勝率23.5%と悪くない数字を出している。今回のフィリーズRでも先行争いが激化し、前が止まる展開になれば後方から追い込む馬の台頭も十分に考えられる。
<結論>
※シングザットソング、スピードオブライト、ハートループは抽選対象。
今年のフィリーズRにおける注目馬を表7に挙げてみた。
1番人気に推されそうなブトンドールは前走阪神JFで10着。表5で示したように前走マイル組で前走10着以下からも2頭勝利しているが、率が高いわけではない。函館2歳Sの覇者で、重賞実績はあるものの、絶対視は危険だろう。
抽選対象ながら最も狙ってみたいのが前走エルフィンSで3着だったシングザットソング。関西馬で、前走マイル戦で5着以内と好条件がそろっている。近2走はスローで前残りの展開に泣かされているが、デビューから3戦すべて上がり33秒台の脚を使っている。1400mへの短縮で末脚がハマる展開になれば、突き抜ける能力はある。
トラベログは関東馬ではあるが、前走マイル戦1着を重視したい。1200mの新馬戦を勝利して、2ハロンの延長だった前走菜の花賞を逃げ切り勝ち。勝ち時計こそ平凡だったものの、レースぶりの巧さは重賞でも通用する。初の輸送で馬体重が大きく減らなければ、好勝負できるだろう。
他では重賞で連続3着とスピードを見せているスピードオブライト、新馬勝ち後でも能力あるハートループまで挙げておきたい。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。
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