JRA-VANコラム
波乱の可能性あり! クイーンSを分析する

先週開幕した札幌競馬では、2週目となる今週、日曜メインで牝馬限定重賞のクイーンSが行われる。3歳馬にとって古馬との初対戦となることが多く、伏兵の激走などもあり、馬券的に面白い一戦だ。コーナー4回の札幌芝1800mで好走するのはどの馬か、2014年以降に札幌競馬場で行われたクイーンS計8回のデータから分析する。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

表1はクイーンS過去8回の人気別成績。1番人気馬は19年ミッキーチャームら2勝をあげ、複勝率75.0%と優秀だ。2番人気馬は昨年のテルツェットら最多の3勝をあげ、複勝率50.0%。以下、7・9・11番人気馬が1勝ずつで、伏兵馬の一発もある。
1番人気馬ディアドラが勝利した18年(1→4→2番人気の順で決着)以外は、6番人気以下の伏兵が1頭は3着以内に入っている。フルゲート14頭でそれ以下の頭数で行われた年もある重賞にしては人気薄の激走が目立っている。
今年はフルゲート必至になりそうで、展開ひとつで波乱となってもおかしくない。

表2は出走馬の所属別成績。栗東所属の関西馬が20年レッドアネモスら6勝をあげ、勝率・連対率・複勝率いずれも美浦所属の関東馬を上回っている。表1で示した7番人気以下の3勝も含まれており、人気薄の激走も目立つ。一方、関東馬は昨年のテルツェットら2勝で、3着以内馬6頭中4頭は上位4番人気以内に支持されていた。
関西馬優勢の傾向が出ており、関西馬は人気薄でもチェックしておきたい。

表3は枠番別成績。黄色で強調したように内の1・2枠が好成績をあげている。枠番別とあるが、フルゲート14頭で1・2枠は1頭ずつなので、馬番でも1番と2番が好成績だ。なかでも2枠2番の馬は17年アエロリットら最多の3勝をあげ、連対率50.0%・複勝率87.5%と非常に高い。
過去8回は開催2日目か4日目のどちらかで行われており、まだ内の状態が良い。小回りコースでコーナー4回となれば、内枠有利とイメージできるが、想像以上に内の1・2枠有利の傾向が出ていることは覚えておきたい。ぜひ枠順には注目していただきたい。

表4は年齢別成績。4歳馬が20年レッドアネモスら最多の3勝をあげ、連対率・複勝率はトップだ。出走数が最も多い5歳馬は昨年のテルツェットら2勝で、複勝率は4歳馬に次いで高い。5歳馬で3着以内に入った10頭中5頭は6番人気以下の伏兵だった。
6歳馬は16年マコトブリジャールら2勝。3歳馬は17年アエロリットが勝利しているが、3着以内に入ったのは同馬のみとなっている。

最後に表5は前走レース別成績。ヴィクトリアM組が19年ミッキーチャームら最多の3勝をあげており、連対率33.3%・複勝率55.6%と非常に高い。昨年は1・3着が該当しており、17年を除いて毎年1頭は3着以内に入っている。マーメイドS組は20年レッドアネモスら2勝をあげ、複勝率30.0%。この組の好走馬6頭はいずれも4番人気以下で、人気薄でも注意しておきたい。
その他では福島牝馬S組は16年マコトブリジャール、NHKマイルC組は17年アエロリット、ドバイDF組は18年ディアドラがそれぞれ優勝。また前走1600m組が4勝をあげており、マイルからの距離延長組には注目だ。前述の通り3歳馬は17年アエロリットの1着1回のみで、オークス組はいずれも4着以下に敗れている点はチェックしておきたい。
<結論>

※フルゲート14頭
今年の出走予定馬は表6のとおり。
斤量が軽い3歳馬、なかでも前走オークス組が人気を集めそうだが、表5で示したように結果が出ておらず、中心視は避けたい。
これまでのデータからまず前走ヴィクトリアM組のイズジョーノキセキを推したい。ヴィクトリアMは15着と大敗したが、マイルはこの馬には忙しく、全5勝中4勝をあげている1800mへの距離延長は間違いなく好材料だ。昨秋の府中牝馬Sではソダシを破って好時計勝ちしており、前走からの一変が期待できる。
もう一頭推奨したいのがコスタボニータ。前走のメイSは6着に敗れたが、大外18番からのスタートで前半脚を使わされたのが痛かった。1800mも今年2月の初音S勝利で問題なく、2走前の阪神牝馬S3着だけ走れば十分好走できる。内の馬番1・2番に入ればなお可能性は高まる。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。
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