JRA-VANコラム
末脚勝負の新潟記念を制する馬は!?
今週は札幌競馬場で札幌2歳S、新潟で新潟記念、小倉で小倉2歳Sが行われる。今回はサマー2000シリーズ最終戦の新潟記念を取り上げることにする。いつものように過去10年のデータを分析して、今年の有力馬を見つけてみたい。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
表1は新潟記念の上がり3ハロン別成績。上がり1位と2位の馬の成績がとにかく優秀。3位以下と比べて、勝率と連対率がずば抜けている。複勝率は上がり3位の55.6%、4位の34.8%もいい数字だが、6位以下は大きく成績が落ち込む。直線距離が長い新潟芝外回りコース使用のレースらしく、末脚勝負に勝つことが非常に重要だ。
表2は新潟記念の前走脚質別成績。前走逃げ・先行の連対率が約23%と高く、単・複の回収率も100%を超えている。一方、前走中団は6勝をマークするも連対率や複勝率は逃げ・先行より劣る。前走後方の成績は【0.2.5.51】と特に勝率・連対率が低い。今回、末脚勝負の展開になることが濃厚でも、差し・追い込み馬だけを狙うのは得策ではない。
表3は新潟記念の馬主別成績。金子真人ホールディングスの馬が【2.3.0.5】と抜群の成績。ジナンボー(19年2着、20年2着)とユーキャンスマイル(19年1着、22年2着)が2回連対を果たしている。15年1着パッションダンスは13年新潟大賞典を勝っていたので、「新潟芝2000m巧者」の活躍が目立っていると言えるだろう。
シルクレーシングの馬はラストインパクト(14年3着)、アストラエンブレム(17年2着)、ブラストワンピース(18年1着)の3頭が好走。いずれも上位人気だったため、回収率は低いが、本競走との相性はいい。
サラブレッドクラブ・ラフィアンの馬はマイネルミラノが9番人気(15年2着)、マイネルファンロンが12番人気(21年1着)で激走。「マイネル軍団」の一発には要注意だ。
2023年の新潟記念に出走予定の主な馬は表4の通り。
今回がデビュー6戦目とまだキャリアは浅いものの、最も注目したいのがサリエラ。過去5走中4走で上がり3ハロン1位をマーク。ディープインパクト産駒らしい鋭い末脚を武器にしている。3着と敗れた前走目黒記念で上がり2位だったのは、距離2500mが若干長かった可能性もある。今回は走り慣れた芝2000mに戻り、新潟芝外回りの舞台もこの馬に合いそうだ。信頼できる中心馬とみたい。
末脚勝負になればノッキングポイントも有力か。3走前の1勝クラス(東京芝1600m)と2走前の毎日杯では、上がり3ハロン1位をマークして連対している。
展開面を考えた場合、前目で競馬をしそうな馬にも注意したいところ。今回の出走予定馬を見渡すと、逃げ馬が不在なのでペースはかなり遅くなりそう。もしかすると、前走で先行しているサウンドウォリアーやバラジが押し出されてハナへ行くことになるかもしれない。こうした馬たちの粘りも警戒したい。
馬主面ではマイネルウィルトスとユーキャンスマイルが注目馬。マイネルウィルトスは現役屈指の道悪巧者。特に不良馬場の新潟芝2000mで行われた21年福島民報杯での大差勝ちは印象深い。ただ、良馬場でも21年アルゼンチン共和国杯2着、22年目黒記念2着と重賞で実績がある。前走函館記念(4着)は1年ぶりのブランクを感じさせない走りだったので、状態面の不安はなさそうだ。
ユーキャンスマイルは本競走の実績十分。今年8歳だが、得意のコースでまた一変するかもしれない。
ライタープロフィール
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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