JRA-VANコラム
牝馬三冠最終戦・秋華賞を占う
今週は牝馬三冠の最終関門・秋華賞が行われる。ここ2年は阪神競馬場で代替されたが、今年は3年ぶりに本来の京都競馬場に戻っての開催になる。昨年は牝馬三冠のかかったスターズオンアースが3着に敗れ、スタニングローズがG1初制覇を果たしたこのレース。今年は史上7頭目の牝馬三冠馬誕生となるのかどうか、過去10年の傾向を中心にJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して分析したい。
過去10年、1番人気は【3.1.1.5】、2番人気は【0.4.0.6】と悪くはないといった程度で、1、2番人気馬によるワンツー決着は11年前の2012年(ジェンティルドンナ→ヴィルシーナ)までさかのぼる。しかし1~5番人気の合計では【10.9.5.26】と、JRA全G1で日本ダービーと並ぶ最多タイの19連対を誇っている(表1は3歳馬限定G1のみを掲載)。穴馬が連対する可能性はかなり低いレースだ。
※紫苑Sは2015年までオープン特別、2016~22年はG3、本年はG2
秋華賞は前走でローズSに出走していた馬が多く活躍しており、特に2007~17年の11年間は2016年を除き毎年2頭ずつローズS組が馬券に絡んでいた。しかし近5年は様相が一変し、オークス以来の休養明けだった馬が【4.1.1.10】と4勝をマーク。ローズS組はここ5年連対がなく、オークス組と紫苑S組を重視したい。
前走オークス組の好走馬6頭すべてに共通するのは「オークス4番人気以内」「オークス3着以内」「秋華賞4番人気以内」の3点で、このすべてを満たした馬は【4.1.1.1】複勝率85.7%。2018年のラッキーライラックこそ馬券圏外(9着)に敗退したが、同年はこの3条件を満たしていたもう1頭のアーモンドアイが優勝している。また、桜花賞(2走前)か3走前のいずれかで勝利を挙げていたことも共通点だ。
2016、17年に連勝(ヴィブロス、ディアドラ)した紫苑S組はその後オークス組に押され気味だったが、昨年はオークス組のナミュールやスターズオンアースをおさえてスタニングローズが優勝した。そのスタニングローズがフラワーC1着、オークス2着の実績を持っていたように、近年の紫苑S組はその年前半の重賞で連対した実績を持つ馬ばかりが好走している。また、紫苑S組が馬券に絡めば3着ではなく連対まで届いている点にも注目したい。紫苑S自体での成績は5着までに入っていれば問題なさそうだ。
最後にオークス・紫苑S以外からの好走馬(過去5年)も見ておきたい。前述の通りローズS組はこのところ劣勢で3着3回のみ。ほかに前走2勝クラス組が2、3着に1回ずつ入っている。ローズS組なら同レース優勝馬かG1連対実績馬、2勝クラス組なら前走1番人気1着の重賞未経験馬だが、あくまでオークス組・紫苑S組に次ぐ候補にとどまることには注意したい。
【結論】
リバティアイランドの牝馬三冠達成か
近年は前走オークス組の活躍が目立つ秋華賞(表2)。牝馬三冠に挑むリバティアイランドは昨年の阪神JF、本年の桜花賞、オークスとG1・3連勝中で、表3に挙げたオークス組の好走馬と比較しても実績面はもちろん上回る。史上7頭目の牝馬三冠に輝く可能性は高そうだ。
オークス組ではもう1頭、同レース2着のハーパー(父ハーツクライ)も有力。3走前にクイーンCを制し、桜花賞4着を挟んでオークスでは2番人気2着。今回も上位人気必至で、こちらも表3の条件はクリアしてくるだろう。
紫苑S組(表4)は、優勝馬モリアーナの本年前半の最高成績がクイーンC3着だったのに対し、2着馬ヒップホップソウルはフラワーCでも2着に食い込んでいた。近年の紫苑S組は同年前半の重賞連対馬が好走しているため、表4からはヒップホップソウルが上位。加えて表1で触れた「5番人気以内」に入るかどうかも注目点だ。その他の組(表5)では、ローズS組なら優勝馬のマスクトディーヴァ。2勝クラス組(抽選対象)は「前走1番人気1着」と「重賞未経験」の双方を満たす馬が不在だ。
ライタープロフィール
浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
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