JRA-VANコラム
4年ぶりに京都に戻るシルクロードSを分析する
昨年まで3年間は中京開催となったシルクロードSだが、今年は本来の京都に戻る。データをどのように扱うべきか悩むところだが、今回は過去10年分を京都の7年分(14~20年)と中京の3年分(21~23年)に区分し、レース傾向を読み解いていきたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
最初に人気傾向をチェックしておきたい。京都、中京に共通するのは1番人気がやや苦戦していること。代わって2~4番人気が好成績を収めていることも同様だ。5番人気以下は、京都のほうが高い複勝率を残しており、複勝回収値97もなかなか優秀。穴馬にとっては中京よりチャンスが大きくなるかもしれない。
前走着順別成績を確認すると、前走6着以下馬の苦戦は京都、中京とも同じ。前走1~5着馬が中心となるが、京都の場合、複勝率ベースの数値は前走1~5着であれば決定的な差はなく、前走で掲示板に載っていればOKとみたい。
前走レース別成績は京都と中京で異なる傾向が見られる。京都の場合、前走で同じ京都芝1200mの京阪杯や淀短距離Sを走っていた馬の好走例が多い。しかし、近3年の中京では前走京阪杯が【1.0.0.9】、前走淀短距離Sが【0.0.0.9】と苦戦していた。京都に戻る今年は、京阪杯組や淀短距離S組が好走しやすくなっても不思議はない。逆に、中京のほうが好成績だった前走スプリンターズSや前走タンザナイトSは、京都開催が歓迎材料とならない可能性がある。最後に、前走3勝クラスについて付記しておくと、前走が芝1200mだと過去10年通算で【0.1.2.5】と侮れない。なお、該当する8頭はすべて前走1着だった。
ハンデ戦のシルクロードSでは、前走からの斤量の増減も気になるところだ。データをチェックすると、京都、中京ともに斤量「今回増」の勝率、連対率、複勝率がもっとも高いという傾向が出ている。特に「今回2キロ以上増」は過去10年通算で【3.2.0.5】と好成績なのだが、今年は該当馬がいなかった。対して「今回減」は、京都で複勝回収値145を記録。「今回減」の好走がなかった近3年の中京よりは、注意を払ったほうがよさそうだ。
前走4角通過順に関するデータも興味深い。京都、中京で共通するのは、前走4角10番手以降の成績が悪くないこと。特に京都では前走4角1番手に次ぐ複勝率を記録している。ただし、前走7~9番手は京都、中京ともに数字が悪いことには注意が必要だ。狙うのであれば、もっと後ろの10番手以降から追い込むタイプの馬のほうがいい。
では、逃げ・先行馬はどうか。先に中京から見ていくと、前走4角1番手だった馬は1頭も3着以内に入れず、前走4角2番手や3~4番手の連対例もなかった。同様に京都も、前走2番手や3~4番手が複勝率10%台前半にとどまっている。前走4角1番手だった馬なら好成績だが、逃げ以外の先行タイプは意外に好走しづらいレースであることがわかる。
【結論】
前走京阪杯で5着以内に入った2頭が有望
今回のデータ分析から有望と思われる馬を紹介していこう。まず前提として、登録20頭のうち、前走着順が1~5着だった13頭を対象とする。
京都に戻る今年は、同コースの前走を重視したい。前走京阪杯で2着のルガル、同4着のトゥラヴェスーラは、どちらも斤量が今回増。一般的には割引材料と思われるが、シルクロードSに関してはむしろ好走しやすい。また、京阪杯の4角通過順がルガルは5番手、トゥラヴェスーラは10番手だったのもデータ的に悪くない。
過去3年の中京では苦戦した前走淀短距離Sも、今年は一定のマークが必要だろう。1~5着馬のうち3頭が登録し、そのうち前走4角1番手のカルネアサーダに注目したい。そのほか、京都開催の14~20年で勝ち馬2頭を出している前走阪神Cのアグリと、3勝クラスの芝1200mを勝ってきたバースクライも軽視はできない存在だ。
ライタープロフィール
出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。
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