JRA-VANコラム
前走人気が明暗を分ける!? マイラーズCを分析する
クラシックの1冠目が終わり、今週末はG1シリーズの中休み。東西で大舞台に向けてのG2が開催される。そのうち今回は、京都で行われるマイラーズCを過去10年のデータから展望する。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
人気別のデータをふたつチェックしたい。今走人気から見ていくと、1番人気は複勝率80%と非常に堅実。2~5番人気も堅調な数字を記録しており、上位人気が強い傾向が見て取れる。一方、10番人気以下は極端に好走率を落とすため、少なくとも9番人気までには収まりたい。また、前走人気(集計対象は中央のみ)の傾向も明確。前走1~5番人気はいずれもすべて複勝率30~40%台と安定しているのに対し、前走6番人気以下だった馬はかなり苦戦というデータが残っている。
芝1600mの実績に関するデータをふたつ調べた。ひとつは複勝率別のデータで、こちらは芝1600mで2走以上を対象とした。表2の通り、芝1600mで「複勝率80%以上」を記録している馬は半数以上が好走し、これは有望だ。もうひとつは芝1600m重賞における最高着順別のデータで、「G1で1着」の実績を持つ馬はさすがの好成績。また、「G1で2、3着」と「G1以外で1着」を比較すると、前者のほうが好走しやすいことがわかる。言い換えると、G2やG3の1着実績より、G1の2、3着実績を持つ馬のほうが期待できるということになる。
続いて前走クラス別成績をチェック。前走G2が過去10年で6勝、2着2回の好成績で、連対率は50%に達する。出走最多は延べ57頭の前走G3。1~3着に入った馬も計11頭で最多だが、好走率の優位性は見られない。前走リステッド競走・オープン特別は合わせて延べ48頭が出走。出走例が多いこれらの組は、絞り込みが重要になる。前走3勝クラスの好走は22年1着のソウルラッシュが唯一で、条件戦3連勝の勢いをそのまま持ち込んだ。そのほか、前走G1と前走海外だった馬が合わせて3着3回を記録している。
前走G3出走馬は前走人気と前走タイム差をチェックしたい。レース全体では前走1~5番人気の好走率が高いことを確認済みだが、前走G3ではより厳しく前走1~3番人気をボーダーとしたい。また、前走タイム差は0秒4以内なら許容範囲で、前走G3で1着だった馬よりむしろ結果を残している。
前走リステッド競走・オープン特別出走馬に関しても前走1~3番人気に推されていることが基準となり、好走馬7頭中6頭が該当する。また、このケースで前走からの出走間隔が中7週以下だと複勝率5.7%と苦戦する一方、中8週以上なら連対率38.5%と激変する。なお、この組に該当するディープインパクト産駒は、前走人気や出走間隔を問わず【1.2.1.3】と警戒すべきだ。
【結論】
実績上位のセリフォスとソウルラッシュ
最大勢力は登録8頭の前走リステッド組(前走オープン特別は該当馬なし)。そこで1~3番人気に推され、なおかつ中8週以上の出走となるのがリューベックである。加えて、ディープインパクト産駒ノースザワールドも侮れない存在となる。
前走G3組は5頭いるが、そこで1~3番人気に推されていた馬が見当たらない。もうひとつの好走条件であるタイム差が0秒4以内だった馬には、エアロロノアとエエヤンの2頭がいる。好成績の前走G2組にはソーヴァリアントが該当。過去に経験した芝1600m戦は昨年のマイルCS(12着)だけだが、相性のいいローテーションで新味を発揮できるか。
この通り、例年のマイラーズCで主力となる組の中に、好走条件がピタリと当てはまる馬は決して多くはない。となると、表2の項で述べた芝1600m実績が物を言う可能性もあるだろう。この条件のG1で1着があるセリフォス、同じくG1で2着があるソウルラッシュのほか、芝1600m(2走以上)で複勝率100%のニホンピロキーフの名前も挙げておきたい。
ライタープロフィール
出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。
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