JRA-VANコラム
【関屋記念×過去データ分析】今年は前走G1出走馬に注目
今週から中京がスタートし、3場開催が再開する。重賞は日曜に関屋記念と小倉記念が予定されており、当欄では前者の関屋記念の傾向を過去10年のデータから分析していきたい。データ分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
前走クラス別では、前走G3組が出走79頭、1~3着16頭でどちらも最多を記録。しかし、このうち出走43頭、1~3着馬11頭を占める前走中京記念出走馬が、今年の登録馬には見当たらない。なお、前走中京記念を除いた前走G3組の成績は、【2.1.2.31】、勝率5.6%、連対率8.3%、複勝率13.9%、単勝回収値54、複勝回収値42となる。このデータを踏まえると、2番目に多い1~3着8頭を送り出した前走G1組に今年は注目すべきか。これら以外のクラスは、いずれも好走例が2頭以下にとどまる。
前走G1出走馬は、その前走の着順と人気をチェックしたい。「前走着順」については、2~5着なら【2.1.1.4】の好成績で、6~9着でも複勝率30.0%と悪くない。前走のG1でひとケタ着順に入っていれば有力だ。もうひとつの「前走人気」は、1~4番人気だった馬がまさかの【0.0.0.4】と好走なし。前走のG1で5番人気および6~9番人気だった馬は【2.1.3.4】という成績で、むしろ好走しやすいことを押さえておきたい。
では、前走がG1以外の馬はどのあたりに着目すべきかといえば、前走の競馬場が参考になりそうだ(表3の集計に前走G1とダートは含まない)。好走例が多いのは前走中京だが、大半を占める前走中京記念を除くと【0.0.1.4】となる。2番目に好走例が多いのは前走東京で、その前走で1~4番人気に推されていれば【3.0.2.14】と、この組の好走馬6頭中5頭が該当する。ほかに複数の好走馬を出しているのは前走阪神だが、今年は該当する登録馬がいない。
表4は、芝1600mにおける複勝率別成績を表したもの。この通り、過去に出走した芝1600mで複勝率50~70%台の馬が比較的優秀な成績を収めていることがわかる。そして、より複勝率が高い100%や80%台の馬は、かえって好走率が下がってしまう。芝マイルで一定以上の実績はあったほうがいいが、凡走なしのスペシャリストはそこまで信用できない。そんな傾向が表4のデータからは読み取れる。
表5は、芝1800mにおける複勝率別成績を表したもの。表の通り、複勝率80%台や60%台の好走率が高く、その間の70%台の成績も悪くない。しかし、複勝率100%だった馬の成績は振るわず、芝1800mのスペシャリストは好走しづらいことが読み取れる。以上、表4と表5を合わせて考えると、芝1600mと1800mの両方で一定以上の複勝率を記録している馬を狙ってみる手はありそうだ。
【結論】
前走G1の好走データふたつを満たすディスペランツァ
登録馬19頭のうち、前走G1出走は4頭(注:表1、表2のデータに海外G1は含まないが、今回は同様に扱う)。前走がひとケタ着順だったのはNHKマイルC7着のディスペランツァだけで、6番人気だった点もちょうどいい。そのほか、安田記念で6番人気のパラレルヴィジョンは、前走人気のほうは好走データに合致する。前走香港G1のサンライズロナウドは判断が難しいところだが、JRAの発売では9番人気だったため圏内としておく。
前走東京出走馬は、そこで1~4番人気に推されていた馬の好走が多い。今年の登録馬では、前走メイSで1番人気のプレサージュリフト、前走パラダイスSで1番人気のロジリオンの2頭が該当する。
上記以外の馬では表4と表5のデータを参考に、芝1600mと1800mの両方で一定の実績(芝1600mで複勝率50~70%台、芝1800mで複勝率60~80%台)を収めている馬を探していくと、これに合致する唯一の馬がジュンブロッサム(芝1600mで複勝率57.1%、芝1800mで複勝率75.0%)である。
ライタープロフィール
出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。
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