JRA-VANコラム
【札幌記念 × 過去データ分析】夏の頂上決戦は前走G1組が優勢!
夏のローカル唯一のG2競走・札幌記念。実績馬でも斤量が重くならない定量戦で行われていることもあり、秋の大レースを見据えたG1馬がここで始動するケースも多く見られる。今年も好メンバーが揃ったが、どの馬が勝利を手にするのか。JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して過去の傾向から分析したい。
過去10年の人気別では、1番人気が【0.4.3.3】で複勝率は70.0%と高い一方で勝利はなく、2012年から12連敗中。2番人気は【5.1.0.4】で、5勝中4勝を近6年にマークしている。そして3番人気【2.0.0.8】の2勝は2019年と22年で、2018年以降の6年間では2番人気と3番人気しか勝っていない。穴馬の好走も見られるが、2~3着候補までにとどめるのが妥当だろう。
今年の札幌記念は3歳馬の登録がなく古馬同士の争い。年齢別では5歳馬が【3.6.5.29】で複勝率32.6%と、3歳馬を除けば群を抜いている。性別では牡・セン馬【7.9.6.96】複勝率18.6%に対し、牝馬が【3.1.4.18】同30.8%と牝馬への注目は欠かせない。
以前は函館記念など前走G3組の好走も多く見られたが、過去6年のG3組は【0.0.2.29】と好走しても3着止まり。ここ6年は中央G1組【4.5.3.17】、海外組(すべてG1)【1.1.1.8】が中心になっている。表2で好成績だった5歳馬にかぎると、前走G1組(海外含む)は過去10年【2.6.3.9】複勝率55.0%、過去6年【2.4.2.5】同61.5%になる。なお今年は前走オープン特別以下や、前走G2からの登録馬はなかった。
海外を含む前走G1組の好走馬は過去6年で15頭。このうち前走で連対していたのは3頭、14着以下だった馬が2頭で、残る10頭は前走4~8着だった。前走が2桁着順だったペルシアンナイトとトップナイフはともに、札幌記念と同距離2000mのG1連対実績馬だ。また、この組で最長優勝距離が2200mを超えていたのは4頭のみで、古馬になってから2200m超のレースを勝っていたのはフィエールマンとウインマリリンの2頭しかいない。なお前走海外G1組の3頭は、2000mのG1で3着以内に入った実績があった。
表5は過去10年の前走G3組の好走馬7頭で、表4のG1組と比較すると少し穴っぽい馬が多い。札幌記念はG1級の実力馬が相手になるが、前走のG3で馬券に絡めなかった馬でも警戒が必要だ。ただG1組が優勢になった近6年の2頭にかぎると、ペルシアンナイト(2021年)はマイルCSの優勝馬で、この距離では皐月賞、大阪杯、前年の本競走で2着。そしてソーヴァリアントは芝2000mのチャレンジC2連覇中だった。G3組を買うなら距離実績を重視したい。
【結論】
5歳馬・ジオグリフにチャンス到来
札幌記念は5歳馬(表2)、特に前走G1組(表3)に注目したいレース。今年は6歳以上のベテラン馬の登録が多く、前走でG1に出走していた5歳馬はジオグリフ1頭だ。2022年の皐月賞優勝後は勝利から遠ざかっているが、今年は中山記念3着、大阪杯5着、そして前走の安田記念6着と悪くない走りを見せている。重賞初制覇を飾った2021年札幌2歳S以来となる札幌参戦で久々の勝利を挙げられるか注目したい。もう1頭の5歳馬・モズゴールドバレルは実績面からは厳しそうだが、今年唯一の牝馬(表2)だけに穴で買う手はあるだろう。
その他では、前走G1組ではクイーンエリザベス2世C2年連続2着などの距離実績を持つプログノーシス、G3組なら2022年ホープフルS2着のトップナイフという、昨年の本競走1、2着馬に今年もチャンスがありそうだ。
ライタープロフィール
浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
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