JRA-VANコラム
【高松宮記念 × 過去データ分析】ステップレース組の取捨のポイントは?

今週は春のG1開幕戦・高松宮記念が行われる。今年は重賞戦線に大きな変更があり、この高松宮記念に向けたステップレースも阪急杯が従来の中3週から中4週に、そしてオーシャンSが中2週から中3週へと、それぞれ1週ずつ間隔が開いた。この影響がどう出るのか判断は難しいところだが、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して過去10年の傾向を分析してみたい。

過去10年の人気別では、2番人気が【2.5.0.3】で連対率70.0%、3番人気が【1.1.3.5】で複勝率50.0%と上々の結果を残している。ただ、ここ3年にかぎると2番人気こそ【0.2.0.1】だが、1、3、4番人気はいずれも【0.0.0.3】。3着以内の好走馬9頭中5頭を6番人気以下の穴馬が占めており、近年は波乱傾向が強い。

性別の成績をみると、牡・セン馬【9.3.8.96】勝率7.8%に対し、牝馬は【1.7.2.54】同1.6%。複勝率は16%前後でほぼ互角ながら、牝馬は好走時の2着止まりが多く優勝したのは2020年のモズスーパーフレア1頭だ。
年齢も含めてみると、牡・セン馬は7歳まで勝率はほぼ互角だが、複勝率では6歳が30.8%で他を大きくリードしている。牝馬は4歳よりも5歳のほうが好走確率はやや高い。そして牡・セン馬は8歳以上のベテランになると【0.0.1.19】、牝馬は6歳以上が【0.1.0.22】。牡・セン馬なら7歳以下、牝馬は4~5歳馬が狙いだ。

高松宮記念はG1にしては珍しくG2の前哨戦が存在せず、シルクロードS、阪急杯、そしてオーシャンSとステップレースはG3ばかりだ。好走馬が多いのもこれらG3組で、京都牝馬Sが休止された今年はG3組なら上記3競走に絞っていいだろう。
その他では、前年末の香港スプリント組が【2.0.1.4】複勝率42.9%の好成績を残している(前々年の香港スプリント以来、約1年3カ月ぶりだった2023年13着ピクシーナイトは除く)。なお、レース間隔は開いてもその香港スプリントや阪神Cあたりまでで、前走が前年11月以前だった好走馬は不在だ。

冒頭で触れたように、今年は阪急杯やオーシャンSとのレース間隔が従来より1週ずつ開いたほか、3頭の好走馬を出していた京都牝馬Sが休止になったことから、G3の各競走は判断が難しい。そこでレース個別ではなく「前走G3」という大きな括りでみると、この組の好走馬22頭中19頭が前走5番人気以内で、同じく19頭は前走5着以内だった。この双方、「前走G3で5番人気以内かつ5着以内」を満たす馬は【5.7.5.41】で複勝率29.3%と、G3組全体の同14.7%に比べかなり好走確率は高くなる。ここからさらに年齢や性別で絞るのが良さそうだ。

最後に、前走で前年の香港スプリントに出走していた馬もみておきたい。該当馬は表5の7頭。このうち「5~6歳の牡馬」で「前年のスプリンターズSで連対」していた馬は昨年1着のマッドクールなど【2.0.1.0】複勝率100%。逆にこれを満たせなかった馬は全馬が6着以下に敗退していた。
【結論】
ペアポルックスと香港スプリント組に注目!
今年の登録馬にはシルクロードSや阪急杯で「5番人気以内かつ5着以内」に入った馬はおらず、ステップレース3競走の中ではオーシャンS1番人気1着のママコチャ、3番人気2着のペアポルックスが候補に挙げられる(5番人気4着のヴェントヴォーチェは回避)。ただ、ママコチャは表2から減点が必要な6歳牝馬。G3組の筆頭格は4歳牡馬のペアポルックスでいいだろう。ここ3年は穴馬が多く好走していることから、あまり人気がなさそうな点も大きな魅力になる。
香港スプリント組は3頭の登録があり、このうち昨年のスプリンターズSで連対していたのはルガル(1着)とトウシンマカオ(2着)。特に6歳牡馬のトウシンマカオへの注目は欠かせない。香港スプリントではそれぞれ11着、9着だったが、表5にあるようにこの組は前走着順不問だ。
また、今年は阪神C組のナムラクレア、マッドクールも注目されそうだが、この組は過去10年で【0.1.1.7】と2頭しか好走がなく、その2頭の共通点も見つけがたい。性齢からは6歳牝馬のナムラクレアよりは、6歳牡馬のマッドクールのほうが有力になる。ただ、過去10年の6歳牝馬で唯一好走したレッツゴードンキ(2018年2着)は、前年の本競走でも2着に入っていた。ナムラクレアは本競走2年連続2着の実績馬。レッツゴードンキ同様に好走する可能性も考えておきたい。
ライタープロフィール
浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
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