JRA-VANコラム
【安田記念×過去データ分析】上がり3ハロン33秒0以下に注目

今週は日曜日に東京競馬場で安田記念が行われる。昨年は香港のロマンチックウォリアーが勝利。06年ブリッシュラック以来、4頭目となる外国馬の安田記念勝利となった。今年は外国馬の出走がなく、前走ヴィクトリアマイル組も不在だが、楽しみなメンバーが揃った。いつものようにJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用し、過去10年のデータを分析した。

過去10年の安田記念の脚質別成績を調べたところ、逃げの単・複回収値が高かった。中団は15頭の好走馬を出し、単勝回収値は146。追い込みも勝ち馬2頭を含み8頭の好走馬を出していた。一方、先行は【1.2.1.31】勝率2.9%、連対率8.6%、複勝率11.4%という平凡な数値。王道の勝ち方である先行→抜け出し、というセオリーが通用しづらい一戦だ。
そして、上がり3ハロン1位が【3.3.3.3】で勝率25.0%、連対率50.0%、複勝率75.0%と非常に優秀。同2位も【2.0.0.6】で単・複回収値が高かった。つまり最後の直線で鋭い決め手を繰り出して好走している馬が多い。

今回のレースでメンバー中1位もしくは2位の上がり3ハロンを繰り出せるのはどんな馬なのか。ひとまず各馬の前走成績に注目してみた。前走連対馬の前走上がり3ハロン別成績を調べたところ、上がり3ハロン1位が【3.3.3.12】で勝率14.3%、連対率28.6%、複勝率42.9%、単勝回収値149、複勝回収値90。同2位が【1.0.2.10】で勝率・連対率7.7%、複勝率23.1%、単勝回収値56、複勝回収値45だった。同3位以下に比べると、1・2位の成績が明らかに良かった。

表3は安田記念で上がり3ハロン1位をマークした馬の一覧。18年と22年はそれぞれ2頭(1位タイ)いたので合計12頭が該当した。この12頭の過去成績を調べたところ、うち8頭にはオープンクラスの芝1400m~1600mで上がり3ハロン33秒0以下をマークして3着以内に入った実績があった。例えば、18年に9番人気で優勝したモズアスコットは前走安土城Sで上がり3ハロン32秒9の脚を繰り出して2着と好走していた。上がり3ハロン33秒0以下をマークするには相当な瞬発力が必要となるため、こうした実績があるかないかは重要なポイントになりうる。

表4は安田記念で上がり3ハロン2位をマークした馬の一覧。好走率は同1位の馬たちに比べると低いが、16年サトノアラジンは4着、17年エアスピネルは5着、24年セリフォスは5着と善戦しており、上位争いができる可能性は高い。21年1着ダノンキングリーは19年共同通信杯で上がり3ハロン32秒9をマークして1着、23年1着ソングラインは、22年安田記念で32秒9の決め手で勝利していた。特に東京芝重賞で33秒0以下の上がりを繰り出して好走したことがある馬はマークしておきたい。
【結論】
鋭い決め手を持つ4頭に注目
今年のメンバーを見渡すと、近2走以内に逃げた馬はウインマーベル(1351ターフスプリント)だけ。そのウインマーベルも2走前の阪神C、3走前のマイルチャンピオンシップでは好位に控えていた。その点を踏まえて展開を想定すると、今年も最後の直線での決め手比べが勝敗に直結する可能性が高そうだ。過去にオープンクラスの芝1400m以上で上がり3ハロン33秒0以下をマークして好走したことがあるのは、ジャンタルマンタル(24年共同通信杯2着・32秒6)、ジュンブロッサム(24年関屋記念3着・32秒5)、ブレイディヴェーグ(24年アイルランドトロフィー府中牝馬S1着・32秒8)、レッドモンレーヴ(24年京王杯SC2着・32秒2)だった。ジャンタルマンタルは差し・追い込み馬ではなく先行馬のイメージだが、マイル重賞の実績は十分。この4頭のいずれか1頭でも馬券に絡む可能性を考えてみたい。
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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