JRA-VANコラム
【京都大賞典×過去データ分析】前走着順、前走人気とプラスアルファで有力馬が見えた!

秋の東京・京都の開幕週といえば、東西で組まれる伝統のG2戦がおなじみだ。今回はそのうち、西の京都で開催される京都大賞典を展望する。集計期間は過去10年で、阪神開催となった21、22年も集計対象とする。データ分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

表1は、距離に関して「今回延長」「同距離」「今回短縮」の成績を比較したもの。「同距離」の出走例は少ないが、該当すれば勝率25.0%、複勝率50.0%を誇る。また、「今回短縮」には8番人気以下で勝った3頭(19年ドレッドノータス、21年マカヒキ、24年シュヴァリエローズ)がすべて該当し、単勝回収値315と非常に高い。激走パターンとして要注意だ。一方、「今回延長」は最大勢力ながら好走率としては標準レベルで、単複の回収値は低く、これといった強調点が見当たらない。

続いては前走クラス別成績。「前走G1」の好走馬が18頭と全体の6割を占め、好走率、回収値も優秀だ。内訳としては18頭中14頭が宝塚記念と圧倒的で、天皇賞・春が3頭、大阪杯が1頭となる。「前走G2・G3」はそれぞれ4頭が好走。ただし、複勝率はどちらも12~13%台にとどまり、狙いを絞っていく必要がある。「前走リステッド競走・オープン特別」の好走は19年1着のドレッドノータスが唯一で、基本的には苦戦の傾向が見られる。「前走3勝クラス」は複勝率37.5%と侮れないものの、今年は該当する登録馬がいない。

前走宝塚記念出走馬に関するデータを見ていく。前走着順は、宝塚記念の1~5着馬は複勝率66.7%とさすがの好成績。とはいえ、6~9着馬で複勝率45.5%、10着以下馬でも複勝率37.5%と、掲示板を外した馬にもチャンスは十分ある。むしろ前走人気のほうが傾向としては明確で、宝塚記念で1~9番人気なら複勝率65.0%だが、10番人気以下だと複勝率12.5%と苦しい。そして、前走4角通過順が1~3番手だった馬は【3.1.3.1】と、宝塚記念で前々からレースを進めた馬がいればかなり有力だ。

前走天皇賞・春出走馬についても同様のデータを見ていくが、前走宝塚記念とは傾向が異なるので注意したい。前走着順は、天皇賞・春の6~9着馬に好走例が集中し、1~5着馬および10着以下馬が京都大賞典で好走した例はない。前走人気については、天皇賞・春で1~9番人気だった馬より、10番人気以下だった馬のほうが好走率は高い。前走4角通過順についても、天皇賞・春で1~3番手だった馬は京都大賞典で【0.0.0.3】と好走できず、これも前走宝塚記念とは対照的な傾向だ。

前走G2・G3出走馬に関するデータを見ていく。前走着順は、1~5着馬なら複勝率22.2%だが、6~9着馬および10着以下馬は複勝率10%に満たず、前走のG2・G3で掲示板は確保しておきたい。前走人気は、1~2番人気だった馬は複勝率40.0%と優秀。対して、3番人気以下だった馬は複勝率10%を切り、苦戦の傾向が見られる。ただし、近2年は23年プラダリア、24年シュヴァリエローズと前走G2・G3で3番人気以下だった馬が連勝中で、まったくの無視は危険かもしれない。斤量に関しては、今回減が【0.1.0.22】と、前走より負担重量が軽くなっても有利にならないことを押さえておきたい。
【結論】
アドマイヤテラは前走G2出走馬として文句なし
以上の分析に基づき、有力なデータに合致する馬を紹介していこう。
前走宝塚記念出走馬は4頭おり、複勝率6割以上の前走1~5着に当てはまるショウナンラプンタ、同じく前走1~9番人気のドゥレッツァの2頭は欠かせないところ。なお、複勝率8割以上の前走4角1~3番手に該当する馬は、残念ながら見当たらない。
前走天皇賞・春出走馬は2頭おり、2番人気4着かつ4角2番手だったサンライズアースよりも、11番人気9着かつ4角11番手だったワープスピードのほうが、今回の有力データには合致している。
前走G2・G3出走馬は9頭おり、前走1~5着と前走1~2番人気を両方満たすアドマイヤテラは要注目。ほかに、前走1~5着のサブマリーナ、ディープモンスターもマークはしておきたい。また、この3頭は苦戦データの斤量今回減に当てはまらないことも記しておく。
前走リステッド競走・オープン特別出走馬は4頭おり、ヴェルミセル、サンライズソレイユ、ニシノレヴナントは激走パターンの距離短縮、ブレイヴロッカーは複勝率5割の前走同距離となる。基本的には苦戦している組だが、念のため警戒はしておきたい。
ライタープロフィール
出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。
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