JRA-VANコラム
【アイルランドT × 過去データ分析】今年は前走G3組が中心に

エリザベス女王杯へ向けたステップレース・アイルランドT。昨年まではこの時期に「アイルランドT府中牝馬S」が行われていたが、今年から「アイルランドT」と「府中牝馬S」に分離され、府中牝馬Sがこれまでの回次を引き継いで6月に施行。エリザベス女王杯の前哨戦は「アイルランドT」として新たに第1回から行われることになった。今回は2015~16年の府中牝馬S、2017~24年のアイルランドT府中牝馬Sを対象にJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用してデータを分析し、今年のアイルランドTの行方を占いたい。

人気別の成績は、1番人気が【2.3.2.3】で連対率50.0%・複勝率70.0%の好成績。2番人気も【1.2.2.5】複勝率50.0%と上々だ。ただ3番人気以下は好走馬が分散しており、7~9番人気が計【1.1.3.24】複勝率17.2%、10~12番人気が計【2.1.1.22】同15.4%と穴馬の激走にも注意したい。13番人気以下の好走馬はおらず、狙いは12番人気以内。単勝オッズでは40倍以上になると【0.0.0.36】のため、40倍未満が目安になる。

年齢別では4歳が【5.5.7.41】、5歳が【5.4.2.50】で、3着以内の好走馬30頭中28頭は4~5歳馬。両者の比較では勝率、連対率がほぼ互角、複勝率では4歳が一歩リードしている。ただ5歳は上位人気に推された馬が少なく、好走馬11頭中8頭は4番人気以下だった。穴を狙うなら5歳をやや重視したい印象だ。

前走クラス別では中央G1組が【1.1.5.17】で複勝率は29.2%。昨年の優勝馬ブレイディヴェーグは前年のエリザベス女王杯1着以来、2018年2着のリスグラシューは安田記念8着以来で、前走がヴィクトリアMだった馬は好走しても3着まで。また、好走馬7頭中6頭はここで3番人気以内に支持されていた。
前走中央G3組は複勝率19.4%止まりだが、好走馬は14頭と約半数を占める。また、該当馬は少ないものの勝率の高い3勝クラス組にも注意したい。なお、好走馬30頭はすべて前走で芝のレースに出走しており、今年のオープン特別組(登録のある2頭とも前走ダート)は苦しそうだ。

G3組の好走馬14頭はすべて前走で芝1600~1800m戦に出走しており、特に芝1600m組の好走確率が高い。前走着順別では1、2着だった馬が高複勝率。この「前走芝1600~1800mのG3で連対」の条件を満たす馬は【3.1.1.8】複勝率38.5%になる。ほかに前走6~9着馬の複勝率も高いが、本年の登録馬では1年以上の休養明けになるキャットファイトしか該当馬はいない。この組の好走馬は14頭すべて、前走で同年6月以降のレースに出走していた。

前走3勝クラス組の好走馬は3頭で、いずれも前走は1着。また重賞実績もチェックポイントになり、3頭にはG2~G3で馬券に絡んでいるか、G1で掲示板に載った経験があった。重賞で6着以下ばかりの馬や重賞未経験馬では苦しそうだ。
【結論】
前走G3連対の4歳馬・ボンドガールとセキトバイーストが有力
今年の登録馬のうち、表3で複勝率の高かった前走G1出走馬はアドマイヤマツリ(前走ヴィクトリアM7着)とサフィラ(同13着)の2頭で、どちらも好走の多い4歳馬。ただ表3本文で触れたように、前走ヴィクトリアM出走馬は好走しても3着止まりのため中心には推しづらい。また、この組は今回3番人気以内に推されるかどうかもチェックポイントになる。
注目は前走G3連対馬で、該当するのはカナテープ、セキトバイースト、ホウオウラスカーズ、そしてボンドガールの4頭だ。このうちカナテープとホウオウラスカーズは年齢(6歳、7歳)から割引が必要になるため、4歳のセキトバイーストとボンドガールが有力だ。2頭の比較では、前走で芝1600m戦(関屋記念)に出走しているボンドガールを上位にとりたい。
そして前走3勝クラス組では、2024年フローラS2着などの実績を持つ4歳馬ラヴァンダにチャンスがある。また、G2(ローズS)で4着という実績面はやや微妙だが、大穴候補として5歳のアンリーロードも挙げておきたい。
ライタープロフィール
浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
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