JRA-VANコラム
無敗の皐月賞馬誕生か、それとも?
昨年の皐月賞ではサートゥルナーリアがデビューから無傷の4連勝を達成。そして先週の桜花賞では、2戦2勝で出走したデアリングタクトがタイトルを手中にした。そんな流れで迎えた今週の皐月賞。2歳G1馬のコントレイルやサリオスといった無敗馬が出走を予定しているが、果たしてサートゥルナーリアやデアリングタクトに続くことができるのか、それともこれら無敗馬をまとめて負かす馬が現れるのか。過去の傾向を見てみたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用し、集計対象は表3を除き過去10年とした。
過去10年、1番人気は【3.2.1.4】勝率30.0%、複勝率60.0%。2番人気が連対率40.0%、3~4番人気が複勝率50.0%と1番人気にさほど見劣らない結果を出しており、単複の回収率も加味すれば4番人気がおもしろい。穴なら8~9番人気あたりが注目だ。
なお、良馬場以外の3回(すべて稍重)に限ると1~4番人気はすべて複勝率33.3%にとどまり、上位人気の信頼性は道悪になるとやや低下すると考えたい。
東京競馬場で代替された2011年を除く過去10年・9回の枠番別成績では、1~3枠が計【2.2.2.47】複勝率11.1%、4~8枠が計【7.7.7.83】同20.2%となり中~外枠が優勢。1~3枠は良馬場なら【2.2.1.30】複勝率14.3%、稍重馬場では【0.0.1.17】複勝率5.6%と、特に道悪になった際の内枠は割引が必要だ。
今年は3戦無敗の2歳G1馬・コントレイルとサリオスに加え、同じくデビュー3連勝のレクセランスなどの無敗馬が出走を予定している。そこでトウカイテイオー(前走・若葉Sまで4戦4勝)が優勝した1991年以降について、無敗馬(3勝以上)の成績を調べたのが表3である。皐月賞へ向けた路線が多様化した近年は該当馬が多くなってきたが、過去10年で優勝したのは昨年のサートゥルナーリアのみ。14年以降では9頭中4頭が馬券圏外に敗退しており、「無敗」というだけではさほど強調できない。
今回もうひとつ注目したいのは、サリオスやサトノフラッグといった上位人気が予想される馬に、前走とは異なる騎手が騎乗することだ。過去10年の皐月賞3着以内馬のうち、前走から乗り替わりだった馬は表4の9頭で、そのうち8頭は既に皐月賞で3着以内に入った実績を持つ騎手への乗り替わりだった。また、前走で2着以下に敗退し、皐月賞連対実績のない騎手に乗り替わった馬の好走例はない。
前走成績は1着だった馬が【8.6.5.51】と3着以内馬30頭中19頭を占め、複勝率も27.1%と高い。前走2着馬が【2.2.2.27】で続き、3着以下だった馬からは【0.2.3.67】と優勝馬が出ていない。また、前走2着以下の馬について勝ち馬からのタイム差を調べると、0.3秒差以内に収めていた馬が【2.4.4.45】、対して0.4秒差以上の馬は【0.0.1.49】と、勝ち馬から0.3秒以内が好走できるかどうかの目安になる。
なお、2走前以前も含めた全成績で4着以下が2回以上あった好走馬は、13年の優勝馬ロゴタイプ【4.0.1.2】と、18年の2着馬サンリヴァル【2.0.0.2】の2頭のみ。ともに4着2回で、5着以下に2回以上敗退した馬の好走はない。
前走レース別で3着以内の好走馬を出しているのは表6の9レースで、アーリントンC以外は芝1800~2000m戦。中では共同通信杯組の好成績が目立っている。前走2着以下から好走馬が出ているのは、その共同通信杯以外ではトライアル3競走(弥生賞、スプリングS、若葉S)のみ。そして前走3着以下からの好走馬5頭中4頭は弥生賞組だ。
また、前走1600m(アーリントンC)からの唯一の好走馬・ペルシアンナイト(17年2着)は、芝1800mで【1.1.0.0】。同馬も含め、好走馬30頭はすべて芝1800m以上のレースで3着以内の経験があり、ダンビュライト(17年3着)を除く29頭は優勝実績を持っていた。
【結論】
無敗馬が注目を集める今年の皐月賞だが、近年はここで連勝が途絶えてしまう馬が多く(表3)、全勝にこだわる必要はまったくない。今年の出走予定馬でまず注目したいのは、共同通信杯の優勝馬・ダーリントンホールだ。共同通信杯組は過去10年で最多の4勝、特に1着馬は3勝を挙げている(表6)。ルメール騎手からの乗り替わりも、既にこのレース4勝を挙げているM.デムーロ騎手の手綱ならまったく不安はない(表4)。
2番手以下も前走1着馬が中心(表5)。皐月賞連覇を狙うルメール騎手に乗り替わる弥生賞馬・サトノフラッグ、引き続き福永祐一騎手が騎乗する2歳王者・コントレイルが有力だ。前走2着馬では、最多の好走馬3頭を出すスプリングS組(表6)のヴェルトライゼンデ。また、8~9番人気あたりに買い材料のある馬がいれば、ほかに少々のマイナス要素があっても狙っていきたい(表1)。
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