JRA-VANコラム
夏競馬最終週 小倉2歳Sを制する馬は?
夏競馬最終週。日曜の小倉競馬場では2歳重賞・小倉2歳Sが行われる。今年は特別登録の段階でも11頭の少頭数になったが、他場で勝ち上がった馬の参戦もあって実力比較は難しく、そう簡単には買い目を絞れない印象だ。データからはどの馬が有力なのか、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して分析してみたい。
過去10年の上位人気の成績は、1番人気が【3.3.0.4】、2番人気は【3.2.1.4】、そして3番人気が【3.0.1.6】と、優勝馬10頭中9頭は3番人気以内。この1~3番人気は単複の回収率も上々で、1着候補はまず人気どころから探りたいレースだ。
今年の小倉2歳Sは、特別登録馬11頭中9頭を牝馬が占めた。しかし性別の成績を見ると、牡馬【6.7.8.71】連対率14.1%、複勝率22.8%に対し、牝馬は【4.3.2.53】同11.3%、14.5%。勝率こそ6.5%で牡牝互角だが、連対率、複勝率では牡馬優勢だ。人気別にみると、牡馬の3番人気以下【3.4.8.68】、牝馬は同【1.1.1.48】と、1~2番人気以外のところで大きな差がついていた。
牝馬で3着以内に入ったのは表3の9頭で、全馬が前走1着。うち8頭は前走で小倉2歳Sと同じ小倉芝1200m戦に出走し、その8頭中6頭は道中2番手以下からレースを進めていた。そこで、「前走小倉芝1200m戦で優勝した牝馬」の前走脚質別成績を調べると(脚質はTarget frontier JVによる分類)、逃げ【1.1.0.11】複勝率15.4%、先行【2.1.2.13】同27.8%、中団以降【0.1.0.8】同11.1%となった。牝馬なら、小倉の芝1200m戦を好位からの競馬で勝ってきた馬が有力だ。
前走クラス別では、新馬戦に出走していた馬が【5.5.8.51】と好走馬の半数以上。複勝率が26.1%と群を抜いて高く、単複の回収率も優秀だ。前走レース別ではフェニックス賞組が29頭の出走を数えるが、連対率・複勝率は17.2%とさほど高くはない。また、そのフェニックス賞とひまわり賞を除いた他場のオープン・重賞組は該当馬が少ない。
表5は、前走で新馬戦と未勝利戦に出走していた馬(すべて前走1着)について、それぞれ2着馬とのタイム差とレース間隔別の成績を調べたものである。まずタイム差については、新馬戦組なら同タイムの僅差勝ちでも複勝率38.5%を記録するなど、あまりこだわらないほうが良さそうだ。一方、表4では劣勢だった未勝利戦組は、2着馬を大きく引き離して勝ってきた馬であれば新馬戦組と互角以上とみていいだろう。
レース間隔は余裕をもって駒を進めてきた馬のほうが好成績を残しており、新馬戦組は中3週以上、未勝利戦組なら中2週以上が目安となる。また表には掲載しなかったが、前走未勝利戦で2番人気以下だった馬は【0.0.0.22】に終わっている点にも注意したい。
表6は前走オープン特別からの好走馬7頭である。その7頭すべてが「前走1番人気で3着以内」か「前走3番人気以内で1着」のいずれかに該当しているが、本年はこれを満たす馬の登録はなかった。
【結論】
表6本文で記したように、今年はオープン・重賞組に好走条件をクリアする馬がおらず、軸馬は新馬・未勝利戦組の中から選びたい。その筆頭格は、前走の阪神芝1200m未勝利戦を1.7秒の大差で勝ち上がってきたモントライゼ。登録馬の大半を牝馬が占める今年のメンバーでは、まず「牡馬」という点が一番の強みになる(表2)。前走クラス別では新馬戦組の複勝率が高かったが(表4)、未勝利戦組でもこの馬のように後続を大きく離して勝ってきた馬ならまったく引けは取らない(表5)。前走1番人気、前走から中7週という間隔も未勝利戦組の好走条件をクリア。上位人気が予想されることもプラス材料だ(表1、2)。
他の登録馬は一長一短だが、中ではアールラプチャーがおもしろい。牝馬でも、前走の小倉芝1200m新馬戦を道中2番手(以下)から勝ってきた点は好材料(表3)。新馬戦からの連闘馬は過去10年では【0.1.0.1】と2頭しかいないが(表5)、2000年以降でみれば【1.1.0.2】で2004年には同じ牝馬のコスモヴァレンチが優勝。「中2週以下」とひとくくりにさえしなければ、少なくとも減点材料にはならない。ほかに前走から中1週にはなるが、同じく小倉芝1200mの新馬戦を好位から抜け出して優勝したメイケイエールや、当日2番人気以内に推された馬(表2、牡馬なら3番人気以内)も相手候補に加えておきたい。
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