JRA-VANコラム
秋華賞へ注目の前哨戦! 紫苑Sを分析する
今週から秋の中山、中京の2場開催が始まる。開幕日となる中山土曜のメインは秋華賞トライアルの紫苑S。出走馬からは2016年ヴィブロス、17年ディアドラが優勝、昨年もカレンブーケドールが2着と秋華賞での好走が目立っている。重賞に昇格した16年以降は活躍馬が多数出ており、注目度の高い一戦だ。今回は重賞昇格後の2016年以降・近4年のデータから紫苑Sのレース傾向を探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
まず表1は紫苑S近4年の人気別成績。1番人気馬は17年ディアドラら2勝で、複勝率100%と安定している。昨年は前走オークス2着のカレンブーケドールが3着に入っている。2番人気馬が一昨年のノームコア、昨年のパッシングスルーと2連勝している。勝ち馬は上位2番人気以内から出ている。
2・3着馬も上位7番人気以内から出ており、8番人気以下の激走はなかった。重賞に昇格後は出走馬のレベルが上がり、16年2着ヴィブロス、17年1着ディアドラは続く秋華賞を勝利。一昨年優勝のノームコアは昨年のヴィクトリアマイル、今年の札幌記念を快勝。昨年3着のカレンブーケドールは秋華賞・ジャパンCで連続2着と活躍馬が毎年出ている。
人気に関して、表2の単勝オッズの視点で見ていくと、勝ち馬4頭はすべて単勝オッズ5倍未満だった。中でも2.0~2.9倍の馬は3頭いずれも馬券圏内に入っている。
2・3着馬も傾向がハッキリしており、5.0~19.9倍から2・3着が3頭ずつ出ている。一方、20倍以上の馬は40頭すべて4着以下に敗れていた。近4年とサンプル数が少ないので、今年も20倍以上の穴馬が来ないとはいえないが、近年の紫苑Sは上位人気馬が来やすい傾向にあるようだ。
表3は枠番別成績。近4年はいずれも出走頭数15頭以上と多頭数で行われているが、黄色で強調したように大外の8枠に入った馬が昨年のパッシングスルーら最多の3勝をあげ、複勝率40%と高い。特に大外馬番の馬は【2.0.0.2】で16年ビッシュ、昨年のパッシングスルーと2勝をあげている。7枠からは一昨年1着のノームコアが出ており。勝ち馬は外めの7・8枠から出ている。スタートから馬群で揉まれずに進められる外の方が勝ちやすいということだろう。
3着以内馬全体を見ても、4枠から外の好走馬が目立っている。内めでは1枠が2・3着1回ずつで、2・3枠からは3着以内馬が出ていない。
表4は前走レース別成績。オークス組は16年ビッシュが勝利し、複勝率37.5%と優秀だ。昨年は2着フェアリーポルカ、3着カレンブーケドールが好走しており、17年を除いて3着以内に入っている。前走オークスで5着以内だった馬は【1.1.1.0】で複勝率100%と安定している。
フローラS組は一昨年ノームコアが勝利。その他は前走条件戦組から好走馬が出ている。
表5は前走条件戦だった馬の前走距離別成績。今回と同じ2000mだった馬が17年ディアドラ、昨年のパッシングスルーと2勝をあげており、複勝率30%と高い。連対した3頭はいずれも前走で勝利をおさめていた。前走2000mの条件戦1着馬は要注目だ。
出走数最多の前走1800m組は勝ち星がなく、2・3着1回ずつ。3着以内に入った2頭は前走函館のかもめ島特別(現2勝クラス)を使われていた。
最後に表6は生産者別成績。黄色で強調したノーザンファーム生産馬が近4年続けて勝利しており、連対率24.0%・複勝率28.0%と高い。毎年5頭以上出走しており、秋華賞の優先出走権というより1着を狙ってきている一戦だ。3着以内馬7頭中6頭は上位4番人気以内に支持されていた。
<紫苑S近4年のレース傾向まとめ>
・勝ち馬は上位2番人気以内
・3着以内馬はすべて7番人気以内で、単勝オッズ20倍未満
→上位人気馬が安定している一戦
・外めの7・8枠で4勝。4~8枠で3着以内馬12頭中10頭を占める
・前走オークス組、特にオークス5着以内馬がいれば注目
・前走条件戦組は前走2000m1着馬を要チェック
・ノーザンファーム生産馬で上位人気馬はアタマから狙える
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。
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