JRA-VANコラム
3連複は案外堅い? アイルランドT府中牝馬Sを分析
今週土曜日に東京競馬場でアイルランドトロフィー府中牝馬Sが行われる。エリザベス女王杯のステップレースであり、主に古馬でメンバーが構成されている。2011年にG3からG2へと格上げされ、17年からは現在のレース名称であるアイルランドトロフィー府中牝馬Sになった。今回は11年以降の過去9年のデータを分析し、レースの傾向を探っていくことにする。データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
表1は11年以降に行われた府中牝馬Sで3着以内に入った馬の一覧。人気や騎手、前走との間隔や前走レース成績も記している。16年1着のクイーンズリングは次走エリザベス女王杯を優勝し、17年1着のクロコスミアは次走エリザベス女王杯で2着と好走。18年は2着のリスグラシューが次走エリザベス女王杯を制し、19年は3着ラッキーライラックが次走エリザベス女王杯を優勝した。16年以降は3着以内に入った馬から本番(エリザベス女王杯)の連対馬が出ている。本番にとてもつながりやすいステップレースだ。
人気面をみると、1~3番人気に支持された馬が13頭いた。好走馬全体(27頭)の約半分に迫る48.1%を占める結果となった。表2は府中牝馬Sの馬連・馬単・3連複・3連単の配当一覧。12年は馬連18720円という万馬券になったこともあり、馬単は46480円、3連単も173540円という高配当になった。しかし、同年の3連複は15640円に収まった。3連複の最高配当は15年の20460円であり、全体的には控えめな印象だ。3連複は3000円以下だった年が4回もあり、平均配当(過去9年)は7953.3円だった。1~3番人気がよく馬券に絡んでいる影響で、3連複の配当が抑えられている印象だ。
表1に戻り騎手をみていくと、C.ルメール騎手が2勝2着2回で4回連対している。蛯名正義騎手は1勝2着1回3着2回と3着以内に4回入っている。また、岩田康誠騎手とM.デムーロ騎手がそれぞれ3回馬券に絡んでいる。複数の騎手が何度も馬券に絡んでいる傾向がうかがえる。
次に前走レース名、同着順、同人気をみていく。わかりやすいように表組ではレース名を色分けしている。基本的にはレースのグレードで分けているが、レースの種類が多いG3はさらに区別した。
前走クイーンS組が最も多く8頭が3着以内に入っている。そして、8頭中5頭は前走クイーンSで3着以内に好走していた。残る3頭は前走クイーンSで5~7着に敗れていたが、前走1~3番人気の支持を受けていた。
前走関屋記念組は4頭いて、こちらも前走3着以内か3番人気以内だった馬が好走していた。また、11年は前走小倉記念を勝っていたイタリアンレッドが優勝、前走マーメイドSを勝っていたフミノイマージンが3着と好走。前走G3組の全体の傾向として、「夏場の重賞で、好走した馬か1~3番人気だった馬を狙え」という馬券作戦が有力になりそうだ。
近年は前走G1組も有力で、16年以降、毎年1頭は馬券に絡んでいる。前走ヴィクトリアマイル組が2頭、安田記念組とドバイターフ組がそれぞれ1頭好走している。しかし、勝ち馬は出ていない。ラッキーライラックやリスグラシュー、ヴィブロスは海外のG1でも勝ち負けできるほどの実力馬だが、府中牝馬Sでは勝ち切れなかった。休み明けや、本番を見据えた仕上げになりやすいといった影響があるのかもしれない。夏場順調に使われていた馬に比べ、分が悪くなる可能性を認識しておきたい。
一方、前走オープン特別組が2勝2着1回と、3回馬券に絡んでいる。前走米子Sや小倉日経オープンで2着以内に好走していた馬たちだ。重賞以外でも夏場のレースで好成績を挙げていた馬には注意すべきだろう。前走オープン特別組は【2.1.0.6】という成績になっており、出走例は少ないながらも好走率は高い。
また、前走3勝(1600万)クラス組も17年1着クロコスミア(5番人気)、13年3着スイートサルサ(7番人気)の2頭が3着以内に入っている。ただ、前走3勝クラス組の成績は【1.0.1.21】。基本的には苦戦傾向で、好走確率は低いと考えておきたい。
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